2022年4月16日土曜日

名曲全集第176回 演奏活動60周年!前橋汀子のメンデルスゾーン

2022-04-16 @ミューザ川崎シンフォニーホール



小林研一郎:指揮
東京交響楽団

前橋汀子:バイオリン*

メンデルスゾーン:バイオリン協奏曲ホ短調 op. 64
ドボルザーク:交響曲第9番ホ短調 op. 95 「新世界から」
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J.S.バッハ:無伴奏バイオリン・ソナタ第3番ハ長調 BWV1005から ラルゴ*
ドボルザーク:交響曲第9番 ホ短調 op. 95「新世界より」から 第4楽章の最終部分


前橋汀子は演奏活動60周年だそうだ。御年78歳には見えない。尤もコバケンの方は82歳というから驚く。

この2人のメンコンが存外良かった。

初めは独奏Vnの音が小さく、これは如何なものかと思っていたが、だんだん良くなる法華の太鼓。徐々に味わいが出てきた。

もう、彼女の形が完全に出来上がっているんだと思った。
コバケンは指揮台を45度下手に回し、ほとんどの間、前橋の方を向いて指揮をした。時々のアイコンタクトは息を合わせるというより、前橋がキューを出しているかにみえたよ。

2人合わせて160歳のメンコンが何やら心温まるひとときになった。

後半は「新世界」。

コバケンの「新世界」は初めてではないが、7年ぶりだ。その時は終楽章を弄り回して遊んでいたのでがっかりしたことを覚えているが、最近はほぼ遊びを封じている。
とは言え、終楽章はやはり、かなりタメを効かせたコバケン節が垣間見えたが、むしろ、好感を以って楽しんだ。

東京”マスク”交響楽団は、僕が定期会員になっている9オケのうち最もマスク着用率が高い。弦楽器のほぼ全員(前半3-後半4人を除く)がマスクをして呼吸困難な演奏をするが、皆んな感染しているのか?
それにしては、今日は良い響きだった。

な訳で弦奏者は顔が分からん。
Vcの首席が見慣れぬ顔。ひょっとして?と後で訊いたら、やはりカルテット・アマービレの笹沼くんだった。

♪2022-053/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-11

2022年4月15日金曜日

第1952回 NHK交響楽団 定期公演 池袋C-1

2022-04-15 @東京芸術劇場大ホール


クリストフ・エッシェンバッハ:指揮
NHK交響楽団

マーラー:交響曲第5番 嬰ハ短調


この日マチネとソワレの二本立てで、疲れていたのが残念な印象を生んだ原因でもある。
とは言え、エッシェンバッハとは予てから相性が悪い。表現が過剰ではないかと前から思っている。

今回は、冒頭のTpが素晴らしく、その後の弦も豊かで、これは期待できるかなと、思ったが…。

N響らしい重厚な響きや時折の透明感など、概ね好感を持って聴いたが、終わってみると、迫力の演出は見事だが表現が大袈裟。疲れる。

N響の経験で言えばPヤルヴィやブロム翁が時々見せる毛細血管の先まで神経が行き届いているような緻密なアンサンブルの美しさは何処に?

周囲の熱狂的なカーテンコール(CC)の嵐の中で、1人置いてけ堀を食って白けていた。
どこのオケでもマーラーがかかるといつもCCでは大勢が熱狂するのが分からん。あんな音楽で熱狂するなら、ブラームスやベートーベンならバタバタ卒倒して死人が出てもいいくらいだと思うよ。

♪2022-052/♪東京芸術劇場大ホール-02

新日本フィル:すみだクラシックへの扉#6

2022-04-15 @すみだトリフォニーホール




久石譲:指揮
新日本フィルハーモニー交響楽団
リーウェイ・キン:チェロ*

ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲
サン=サーンス:チェロ協奏曲第1番 イ短調 op. 33*
ムソルグスキー:組曲「展覧会の絵」(M.ラヴェルによる管弦楽編)
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ソッリマ:アローン*
J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲第4番サラバンド*
ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ


「雨の日はホールが良く鳴る」が当たった日。そんな訳か、3作品とも楽しめた。オケは良い出来だったと思う。

久石譲の指揮に関しては、以前ベト2本立を聴いた時に感じた違和感が今回は全然なし。
非独墺・近代の作品は彼自身の作風に近いものがあるのかもしれない。

初めて聴くチェロのリーウェイ・キン(中国系豪州人/チャイコ銀)はとても繊細で綺麗な音を出したが、惜しむらくは音量が小さかった。
冒頭のユニークな掴みで聴衆を掴みきれなかった?

「展覧会の絵」も管・弦が良く鳴って楽しく聴いた。

昨年末のデスピノーザ+N響とは比べない事にする。

♪2022-051/♪すみだトリフォニーホール-03

2022年4月14日木曜日

音楽堂アフタヌーンコンサート2022前期 「上岡敏之 plays Piano」 上岡敏之 ピアノ・リサイタル

2022-04-14 @県立音楽堂



上岡敏之:ピアノ

ショパン:バラード第1番 op.23
スクリャービン:ピアノ・ソナタ第9番「黒ミサ」
ショパン:ノクターン ホ短調 op.72-1
ショパン:ポロネーズ第6番「英雄」変イ長調 op.53
ドビュッシー:ヒースの茂る荒れ地(前奏曲集第2巻から)
ドビュッシー:花火(前奏曲集第2巻から)
ドビュッシー:エレジー
ショパン:スケルツォ第1番 op.20
プロコフィエフ:ピアノ・ソナタ第8番「戦争ソナタ」
----アンコール----
ヘンデル(ケンプ編曲):クラヴィーア組曲第1番からメヌエット
シューベルト:楽興の時 第2番 Op. 94-2
J.S.バッハ:平均率クラヴィーア曲集第1巻第1番からプレリュード
スクリャービン:3つの小品から「アルバムの綴り」Op.45-1


上岡敏之のピアノは、かつて室内楽で聴いたことがあったが、単独リサイタルは初めて。
指揮者としてもユニークだが、ピアノ・リサイタルも独特の雰囲気を醸して非常に面白かった。

何しろ、会場は真っ暗闇。
鍵盤部分にのみライトが当たっている。
ご本人の登場もピアノの傍に来て初めて確認できる。

1曲目のショパンが終わっても指は鍵盤を離れず、そのままスクリャービンに突入。以下、前半の8曲は絶妙な間合いで連続演奏した。

この独自なスタイルこそ上岡流なのだろう。

ショパン以外は初聴きだったが、次第に彼の構築する世界に惹き込まれて行った。

プログラミングの意図は分からないが終わってみれば不思議なもので、途中なんの違和感も感じなかった。緻密な計算があったのだろう。

後半は、プロコの戦争ソナタ8番。これも初聴き。

ワクワクするような音楽じゃないけど、ピアニズムを駆使した感じで楽しく聴けた。
プロコフィエフはドネツィク(「ドネツク」はロシア読み)州生まれだそうで、彼の手になる戦争ソナタを聴くとは感慨無量。

♪2022-050/♪神奈川県立音楽堂-04

2022年4月12日火曜日

R.シュトラウス「ばらの騎士」

2022-04-12 @新国立劇場


【指 揮】サッシャ・ゲッツェル
【演 出】ジョナサン・ミラー
【美術・衣裳】イザベラ・バイウォーター
【照 明】磯野睦

【合唱指揮】三澤洋史
【合唱】新国立劇場合唱団
【児童合唱】多摩ファミリーシンガーズ
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

【元帥夫人】アンネッテ・ダッシュ
【オックス男爵】妻屋秀和
【オクタヴィアン】小林由佳
【ファーニナル】与那城敬
【ゾフィー】安井陽子
【マリアンネ】森谷真理
【ヴァルツァッキ】内山信吾
【アンニーナ】加納悦子
【警部】大塚博章
【元帥夫人の執事】升島唯博
【ファーニナル家の執事】濱松孝行
【公証人】晴 雅彦
【料理屋の主人】青地英幸
【テノール歌手】宮里直樹
【帽子屋】佐藤路子
【動物商】土崎譲


R.シュトラウス「ばらの騎士」
全3幕〈ドイツ語上演/日本語及び英語字幕付〉

予定上演時間:約 4時間10分
第Ⅰ幕        75分
     休憩25分
第Ⅱ幕                        60分
     休憩25分
第Ⅲ幕                        65分



残念な部分もあったが、良かったところだけ書こう。

なんと言っても、5年ぶり尊顔拝謁のアンネッテ・ダッシュが、まさに元帥夫人の気品を漲らせて◎。

テノールには重要な役が全く振られていない変わったオペラだが、役としてはなくともいいような小さい「テノール歌手」役の宮里直樹が短い出番ながら朗々と歌って◎。

ピットに入ったのはS.ゲッツェル+東フィル。

客席との仕切りが通常より低かった(東フィル仕様)ので、ゲッツェルの背中まで見えたが、彼の指揮姿が実に美しい!

その美しい指揮が東フィルから見事な響きを引き出していたように思う。ピットの音とは思えないほど弦の透明感が美しかった。
これは、ピットの仕切りが低かった事も関係しているだろう。

やはり終盤の三重唱にはゾクゾクしたが、ゲッツェルの見事な棒捌きも大いに寄与したはず。

今回、改めてR.シュトラウスの才気を感じた。

終始ウィーンワルツ風の軽やかさを保ちながら、皮肉や冗談を精密な管弦楽技法に塗り込んでいる。

余録だが、森谷真理(マリアンネ)がさほど大きな役でもないのに出演していたが、もったいないような使い方だな。

以前、森谷の元帥夫人を二期会で観たこともあるのだけど。

その一方で、人材不足も感じたよ。どの役とは言わないけど。


♪2022-049/♪新国立劇場-05

2022年4月3日日曜日

Le Billet Doux 恋文2e/神話と詩人と薔薇

2022-04-03 @かなっくホール


Sp:吉府充希子
Fl:吉岡次郎
Vc:藤森亮一
Pf:横山美里

ラヴェル:ロンサールここに眠る
ルーセル:ロンサールの2つの詩
ルーセル:笛吹たち
ドビュッシー:シランクス
ドビュッシー:ビリティスの3つの歌
ドビュッシー:チェロソナタ
ラヴェル:マダガスカル島民の歌


気取ったタイトルのマニアックなプログラムの演奏会だった。
主宰者本人も言う<自己満足的プロ>で、ラヴェル・ドビュッシー・ルーセルの作品のみ全7曲。
うち初聴きが5曲…というか、それらは存在さえ知らなかった。

しかし、プログラムには懇切な解説が添えてあり、MCを兼ねた主宰者でもあるソプラノの吉府女史の逐一の説明もあって、嫌味はなかった。

そのソプラノの出来はどうか?と思ったが、他のフルート、ピアノ、チェロはいずれも達者で、特にチェロの藤森氏(N響首席)の腕前を室内楽では初めて聴いたが、トリオを組んでいるというピアノの横山女史とのチェロソナタは、キビキビとして、実に新鮮な演奏だった。

シランクスを独奏したフルートの吉岡氏もドビュッシューが活躍した時代の楽器で演奏したが、この音をドビュッシーも聴いたのか、と思うとありがたさも加わって味わい深かった。

♪2022-048/♪かなっくホール-03

2022年4月1日金曜日

東京・春・音楽祭2022 塩貝みつるVn &江尻南美 Pf ブラームス バイオリン・ソナタ全曲演奏会

2022-04-01 @旧奏楽堂


バイオリン:塩貝みつる
ピアノ:江尻南美

ブラームス:
 バイオリン・ソナタ《F.A.E.》ハ短調 WoO.2 からスケルツォ
 バイオリン・ソナタ第1番ト長調《雨の歌》 op.78
 バイオリン・ソナタ第2番イ長調 op.100
 バイオリン・ソナタ第3番ニ短調 op.108
----アンコール-------------------
ブラームス:5つの歌 op.105から 第1曲 調べのように私を通り抜ける


ブラームスのバイオリン・ソナタ全曲は、前回、小林美樹で聴いて以来半年ぶり。塩貝の演奏は、当たり前だけど、小林とは様子が違った。

あまり表情を変えず、淡々と流れる(技術の確かさ!)が、処々に思いが籠っていて、ブラームスの叙情的な部分がフイと顔を見せる。

ソナタ3曲とも好みに甲乙つけ難いが、今日は、僕にとって3番が特別良かった。2楽章以降の聴き古した中に発見があって、ブラームス音楽の大きさを再確認できたのが良かった。

アンコールはとても好きな小品。
これも小林美樹の別のリサイタルで聴いたし、その後もCDでよく聴いていたので、嬉しかった。

不満もあり。
旧奏楽堂の響きの硬さは兼ねてから経験しているが、今日は特に響かなかった。残響の問題だけではないと思う。音に潤いがなくなるのが残念だ。
もし、文化小ホールならもっと心に響く豊かな音楽体験ができたろうに残念。
まずは舞台と客席のカーテン類をなんとかできんか!


もう一点。
収録用にマイクが舞台や客席床に何本か立っていたが、その中に、こともあろうに舞台中央下に高さ4m程のマイクが聳え立っているのには参った。
見苦しいだけでなく、演奏家の顔や楽器がマイクの陰に入るのでは、音楽への没入が妨げられる。

専門バカというのはこういう仕事をする職人達だ。

♪2022-047/♪旧東京音楽学校奏楽堂-01