2021年10月16日土曜日

日本フィルハーモニー交響楽団 横浜第371回定期演奏会

2021-10-16 @カルッツかわさき



アレクサンドル・ラザレフ:指揮
日本フィルハーモニー交響楽団

宮田大:チェロ*

ドボルザーク:チェロ協奏曲ロ短調 op.104
ブラームス:交響曲第2番 ニ長調 op.73
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カザルス編:鳥の歌*
ブラームス:ハンガリー舞曲第2番二短調


18年の秋以来(記録ミス?)という久しぶりのラザレフはかなり劇的!に登場した。

オケより早く1人で登場してパントマイムショーで客席を笑わせたが、どうやら待機期間が不足していたらしい。

入退場は孤独に、指揮台周りは広く侵入禁止エリアが設定されていていた。


先月のPヤルヴィの場合はまろ氏が付き添っていたが、ラザレフは芸人だから1人無言コントで終演まで間を持たせ客席を沸かせた。


指揮台と独奏者宮田大との距離は間にVn1プルト入れても余るくらい離れている。コンマスは遥かに遠い。そのせいもあったか、ドボコンの出来はイマイチだった。


会場の響きの悪さが第一の原因で、音楽が薄っぺらく聴こえてしまう。宮田の音の良さは何度も経験しているが、カルッツではその美音に潤いがない。オケの響きも同様にとてもドライだ。


しかし、一方で気づきもあった。

ホールの響きが悪いと演奏だけでなく作品の出来まで露見させてしまう…ドボルザークとブラームスの音楽の差だ。


後半のブラームス交響曲第2番は、響きのハンデを乗り越えてしまう重厚なアンサンブルに圧倒される思いだった。これぞ本来の日フィルの底力。ラザレフは見事にそれを引き出していた。久しぶりとは言え、彼の指揮で聴くのはずいぶん回数を重ねているが、今日は、この人の底力も強く感じた。素晴らしい音楽を聴かせてくれた。終曲時に、これは珍しいことではないが、タクトを振り下ろすと同時にくるりと身を翻して客席にドヤ顔を見せる。いやはや、今日の演奏は本気でドヤ顔が似合ったよ。


ところで、ドボルザークとブラームスは管弦楽に対する考え方・作曲技法等に違いがあるのは当然として、それが作品に刻印されているが、決定的には才能が違うのではないか。

それゆえに顕れる音楽そのものの持つ力の差を、響の悪いホールのお陰で感じ、今更乍らブラームスの偉大さが身に沁みた。


♪2021-112/♪カルッツかわさき-02

2021年10月15日金曜日

横浜バロック室内合奏団定期演奏会99回 〜モーツァルトの魅力

 2021-10-15 @ひまわりの郷



横浜バロック室内合奏団

Vn小笠原伸子、有馬希和子、梅原真希子、眞中望美
Va小森佳奈、櫻井すみれ
Vc間瀬利雄、中垣文子
Cb大西雄二

小笠原伸子:独奏バイオリン*
百武由紀:独奏ビオラ*

早川昭三:バロック風「日本の四季」から「秋」
モーツァルト:セレナーデ第13番ト長調 K525「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」
モーツァルト:バイオリンとビオラの為の協奏交響曲 K364*
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モーツァルト:ディヴェルティメント第17番ニ長調K334(320b)からメヌエット

今回も早川正昭:「バロック風日本の四季」から今回は「秋」。

これがホンに大傑作だ。3楽章形式で、用いられた原曲は「虫の声〜荒城の月〜村祭り」だが、いずれもビバルディをパロったバロック風仕上げが良くできていて、思わず笑ってしまう。次回「冬」も楽しみだ。いずれは全4曲を通しで聴きたいものだ。


今日は総勢8+1人の弦楽合奏。

横浜バロック〜は熟年婦人中心の合奏団だが、中に20歳台のお嬢さんが2人。

彼女達は「村祭り」を知らなかったそうだ。リハーサルの際にそれを知った主宰の小笠原女史が「世代間ギャップにとても驚きました!」と言っていたが、今の小学校の音楽教育はどうなっているんだ?日本文化でもあるこれらの名曲を是非とも次代に伝えていって欲しいね。


アイ・クラはこの1月で3回目。1月前に聴いた弦楽5重奏版がスリリングで面白かったが、今回も小編成ならではの面白さを楽しんだ。


後半はモーツァルト「バイオリンとビオラの為の協奏交響曲」。

第2楽章Andanteはちょいと泣かされそうに美しい。


独奏ビオラの音がガット弦らしく柔らかで実に綺麗な音だが独奏Vnとは合わない。

後で聞いたら、案の定、1&4弦だけガットを使っていたそうだ。こだわりの音作りだ。

であるなら、独奏バイオリンもガットで聴きたかったね。


♪2021-111/♪ひまわりの郷-3

2021年10月11日月曜日

ロッシーニ「チェネレントラ」<新制作>

2021-10-11 @新国立劇場



【指 揮】城谷正博
【演 出】粟國淳
【美術・衣裳】アレッサンドロ・チャンマルーギ
【照 明】大島祐夫
【振 付】上田遙
【舞台監督】髙橋尚史

【合唱指揮】三澤洋史
【合 唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

ドン・ラミーロ⇒ルネ・バルベラ
ダンディーニ⇒上江隼人
ドン・マニフィコ⇒アレッサンドロ・コルベッリ
アンジェリーナ⇒脇園彩
アリドーロ⇒ガブリエーレ・サゴーナ
クロリンダ⇒高橋薫子
ティーズベ⇒齊藤純子

ロッシーニ「チェネレントラ」<新制作>
全2幕〈イタリア語上演/日本語及び英語字幕付〉

予定上演時間:約3時間15分
第Ⅰ幕 105分
  休憩25分
第Ⅱ幕 65分



元々、話は分かりやすく、アリアや重唱は変化に富んで明るい調子ばかり。なので、何にも手を加えずに順番に歌って行っても面白い。


でも、演出がNG。


大抵オペラをつまらなくするのは演出だ。粟國淳の演出は過去何度も観ているがどれも正統的で満足できたのに。


映画を作ると言う二重構造の設定で、劇中劇としてオペラ「チェネ〜」が進行する。


辻褄合わせに、字幕を一部変えたり、カメラマンや監督が劇中劇にもパントマイムで登場するが、目障りなだけ。


せめて、幕尻に「カット!」の声でも掛かれば工夫しているなと思うけど。


その無意味な演出には目を閉じて劇中劇を楽しめば、冒頭書いた様になかなかの傑作なのだ。


チェネレントラ役の脇園彩はハマり役だった。過去に新国ではドン・ジョヴァ、セビリアを観ていたが今回が一番魅力的(ま、誰が演じても良い結果になると思うが)。


大柄で舞台映えもするので、海外勢にも全く見劣り・聴き劣りなし。

むしろ、あちこちで長年Dマニフィコを歌っているAコルベッリに弾けたところがなかった。


ダンディーニの上江隼人も上出来で、存在感を示した。


下手な演出さえなかったらもっと楽しめたろうと思うと残念なり。


♪2021-110/♪新国立劇場-08

2021年10月10日日曜日

マエストロの白熱教室2021 指揮者・広上淳一の音楽道場

2021-10-11 @フィリアホール



広上淳一:指揮&指導
東京音楽大学学生
東京音楽大学特別オーケストラ

シューベルト:交響曲第5番変ロ長調 D485

厳密にはコンサートではない。

オケのリハでもなく、指揮者の卵のオケ付きレッスンだ。


2度の休憩を除き正味3時間余。

誠に白熱教室だった。


シューベルトの5番を材料に、卵が入れ替わり8人かな?

指導は広上師に加えて、東京音大の現役の教授陣。


現役の教授陣7〜8人が加わる事で引き締まった感じがある。

広上センセだけでは無駄なお喋りが長い。


オケのリハではないので響きを作るという作業はない。

音楽を作るという作業も今回は見られず、もっぱら、音楽にどう取り組むかといった抽象的な内容で、期待した面白さはなかったが、シュベ5を、もう散々聴いた。


3時間のレッスン中音が鳴っていたのは2時間超(全曲6回分に相当)だろう。

ずっと聴いていたのだけど、その魅力がだんだんと染み込んできたよ。


最後に、学生に混じってビオラを弾いていた先生曰く「シューベルトこそウィーンの音楽だ」。そういえば!と思う処もあり。


♪2021-109/♪フィリアホール-05

2021年10月8日金曜日

若き音楽家たちによるフレッシュ・オペラ ヴェルディ:ラ・トラヴィアータ(椿姫)

2021-10-08 @サントリーホール




指揮:村上寿昭
演出:田口道子
舞台装置:大沢佐智子
照明:西田俊郎(ASG)
舞台監督:幸泉浩司

桐朋学園オーケストラ
サントリーホール オペラ・アカデミー
新国立劇場合唱団

ヴィオレッタ:大田原瑶(ソプラノ)
アルフレード:石井基幾(テノール)
ジェルモン:町英和(バリトン)
フローラ:佐藤路子(ソプラノ)
アンニーナ:三戸はるな(ソプラノ)
ガストン子爵:高柳圭(テノール)
ドゥフォール男爵:宮城島康(バリトン)
ドビニー侯爵:的場正剛(バス)
医師グランヴィル:五島真澄(バス)

ヴェルディ「椿姫」
(全3幕/イタリア語上演・日本語字幕付)

計3時間10分
第1幕 35分
<休憩20分>
第2幕 75分
<休憩20分>
第3幕 40分


海外キャストを招いた本格的舞台の合間に、舞台セット等利用できるものは利用して、カバーキャスト等で1日だけ開催されたものだ。


これまで、演奏会形式のオペラはサントリーホールを含めあちこちで見ているが、今回は様子が違った。

ホールオペラ®️というサントリーホールの登録商標付きのオペラなのだ。


みんな、本格的な衣装を纏い、演技をし、P席を取り払って簡易な舞台が作られ、照明も、プロジェクトマッピングも駆使して、かなり本物の舞台に近い作りなので、まずは、驚いた。


独唱者達は、中には何度も舞台で聴いている人が数人いたが、ほとんどが初聴きだった。しかし、当然みんな巧い!


ホールオペラ®️はかなり魅力的だ。

1階席からは舞台がやや高い。字幕はもっと高い。

ので、むしろ2階席からの方が楽ちんに鑑賞できるかもしれない。

ともかく、お客には手頃な料金で、若手歌手には得難い舞台経験を与える良い企画だ。

独立公演は無理だろうから今回の様な谷間の利用はとてもいい。


♪2021-108/♪サントリーホール-13

新日本フィル:すみだクラシックへの扉#2

2021-10-08 @すみだトリフォニーホール



秋山和慶:指揮
新日本フィルハーモニー交響楽団
エマニュエル・リモルディ:ピアノ*

トドボルザーク:序曲「謝肉祭」op.92, B.169
ショパン:ピアノ協奏曲第2番ヘ短調 op.21*
シベリウス:交響曲第2番ニ長調 op.43
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ラフマニノフ:10の前奏曲 Op23 から10番*


恐縮して前もってお断り。前日の長尺映画鑑賞と震度5弱の為睡眠不足にて観賞。

Eリモルディは初聴きでショパン2番。悪くなかった。

問題は前後の2本。

まとまりに精彩を欠いた印象。

特にシベ2に繊細さが不足した。最近、これは良かった!と思うのは大抵12型以下。


編成が大きくなれば合わせにくいのは当然。DLは広く迫力もあるのだけど(終楽章のうねりなどとても好感)、終始ざわつき感が払拭できなかった。

秋山御大は6月の都響以来。

その時もシベ2本で、金川真弓を独奏に迎えたVn協が素晴らしかった。

それだけに満を辞しての交響曲2番に期待したが…。


♪2021-107/♪すみだトリフォニーホール-06


S席1階15列19番-20番

2021年10月3日日曜日

トップコンサートPart33 第37回かながわ音楽コンクール 入賞者が奏でる協奏曲

2021-10-03 @県立音楽堂



上野正博:指揮
神奈川フィルハーモニー管弦楽団

加藤亜咲美:ピアノ
堺日和:フルート
杉山和駿:バイオリン

ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番ハ短調 作品18
バーバー:バイオリン協奏曲 作品14
ジョリヴェ:フルート協奏曲第1番


37回かながわ音楽コンクール入賞者+神奈川フィルの協奏曲演奏会。才能のある若い人の音楽を聴くのはとても楽しい。

驚いた事が幾つか。

独奏者3人のうち、2人が参加した全国学生音楽コンクール全国大会に僕も横浜市民賞選定委員(希望すれば大体OK)として聴きに行き、審査をしたのだ!

当時の高校生の演奏を、大学/院生となった今再び聴くことになるとはうれしい縁である。今後もこの楽しみが続きますように。

最年少はピアノの加藤嬢、17歳。
YAMAHAが協賛している事もあり、今日のPfは同社のC3X espressivoという新製品で、まあよく鳴ること。でも、最高級というわけではないらしい。中低域の響きに物足りなさもあったが、十分、良い音で、特に音楽堂の良い響が一層輝かせた。


ジョリヴェのフルート協奏曲は初聴きだ。現代の作家らしい。
オケが弦8型の計23人のみの編成。そこにフルートが良い対比を聴かせた。

ラフマニノフのピアノ協奏曲とバーバーのバイオリン協奏曲は弦10型+管打等。

つまりオケは3曲とも小編成だった。

神奈川フィルは石田コンマスを始め精鋭を揃えて見事なバックアップ。
弦が美しいと管がダメにする事があったり、その逆も。
しかし、今日の神フィルはなんて巧いのだ!
管弦の交わりも美しく、処々の管楽器のソロもミスなく(特にラフマニノフ1楽章のホルンのきれいな事)、聴いていてホンに気持ちが良かった。

神奈川フィルは、最近…と言ってもここ数年、本当にレベルを上げていると思うが、今日の演奏は首都圏オケの中でも3-4を争う上出来だったのではないか。今後が益々楽しみだ。


♪2021-106/♪神奈川県立音楽堂-06