2019年3月2日土曜日

日本フィルハーモニー交響楽団 第345回横浜定期演奏会

2019-03-02 @みなとみらいホール


ダレル・アン:指揮
日本フィルハーモニー交響楽団
周防亮介:バイオリン*

【輝け!アジアの星☆第11弾】
マイアベーア:歌劇《預言者》より「戴冠式行進曲」
ラロ:スペイン交響曲ニ短調 op.21*
ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲
ラヴェル:《ダフニスとクロエ》第2組曲
-----アンコール-----
タレガ:アルハンブラの思い出(無伴奏バイオリン版)
サティ(ドビュッシー編):ジムノペディ第1番(管弦楽版)

マイアベーアって、名前は知っているけど作品に関しては全く知識がなかったが「戴冠式行進曲」は聴き馴染みのある曲だった。とはいえ、オーケストラ演奏で聴くのは初めてだ。おそらく、吹奏楽で聴いたことがあるのだと思う。Youtubeで探してもHitするのはほとんど吹奏楽版だ。

そのせいか、どうか、日フィルの演奏もまるで吹奏楽のようだった。そういう譜面なのだからそれでいいのだけど。

さて、今日のプログラムは、スペイン交響曲以下ドビュッシーもラヴェルも華やかな管弦楽技法が駆使されているものばかり。その華やかさの大部分は増強された多彩な管楽器と珍しい打楽器が担っている。
その華やかな<管・弦楽>を、最初に聴いたマイアベーアの<吹奏楽>の印象をそのまま引き摺って聴くことになってしまった。
つまり、本日の演奏は<日フィル吹奏楽団>に弦楽アンサンブルが付属したような感じに終始した。

そういう音楽なのだから、それが悪い訳ではないし、華やかなオーケストレーションを楽しむことができたのだけど、どうも弦楽アンサンブルの部分が弱く聴こえてしまう。
以前なら、同じ音楽を聴いてなんの違和感もなかったし、これぞ管弦楽の楽しさと受け止めていたのに、この日の演奏は、いつも鳴りの良い日フィルの弦楽パートの魅力はほとんど発揮されない。
そんな不審を抱きながら聴いていると、ラロもドビュッシーもラヴェルも、音楽の良い部分はほとんど管楽器に任せ、弦は音楽の下支えだったり、ボリュームを付けることにしか使っていないような気がしてきたけど、本当かなあ。

ところで、スペイン交響曲で独奏バイオリンを担当した周防(すほう)亮介は初聴きだった。
名前から男だと分かっていたが、チラシなどの写真では女性のようでもある。衣装や靴もおよそ男らしさがない。そういう趣味らしい。それをよしとする生き方を認めなければならない面倒な世の中だ。男なら男らしくしろ!なんて時代錯誤なことを言っていたらこの社会からつまみ出されそう。バイオリンさえ上手に弾いてくれたらそれでよし。

…ところが、出だしのソロの音程が微妙に外れた。
ここでも最初の印象に最後まで引き摺られ、注意深く音程チェックしながら聴くことになってしまった。そして、全体として音程に甘い、という結論に達した。

最初に<音程事故>がなければそんな聴き方はしないのだけど、これはお互いに不幸なことだ。

ま、音程の少々の甘さはさほど問題にはならない。
生演奏だし、どんな名人・上手にも稀にはあることだ。そういうことを気にせず弾きまくる大ベテランを聴いたことがある。ロストロポーヴィチも晩年は大甘だった。そんなことよりもっと大切なものがあると言わんばかりだ。
そうかもしれない。
でも、そう言えるのは熟成して良い味が出るようになってからだろう。

僕にとっては、どんな味よりも先ず以てピッチが大切だけど。

♪2019-025/♪みなとみらいホール-01