2016年3月22日火曜日

三月大歌舞伎 中村芝雀改め五代目中村雀右衛門襲名披露三月大歌舞伎<昼の部>

2016-03-22 @歌舞伎座


一 寿曽我対面(ことぶきそがのたいめん)
工藤祐経⇒橋之助
曽我五郎⇒松緑
曽我十郎⇒勘九郎
化粧坂少将⇒梅枝
近江小藤太⇒廣太郎
八幡三郎⇒廣松
喜瀬川亀鶴⇒児太郎
梶原平次景高⇒橘太郎
梶原平三景時⇒錦吾
大磯の虎⇒扇雀
小林朝比奈⇒鴈治郎
鬼王新左衛門⇒友右衛門

二 女戻駕(おんなもどりかご)/俄獅子(にわかじし)
〈女戻駕〉
吾妻屋おとき⇒時蔵
浪花屋おきく⇒菊之助
奴萬平⇒錦之助
〈俄獅子〉
鳶頭梅吉⇒梅玉
芸者お孝⇒孝太郎
芸者お春⇒魁春

三 鎌倉三代記(かまくらさんだいき)
絹川村閑居の場
時姫⇒芝雀改め雀右衛門
佐々木高綱⇒吉右衛門
おくる⇒東蔵
富田六郎⇒又五郎
母長門⇒秀太郎
三浦之助義村⇒菊五郎

四  団子売(だんごうり)
杵造⇒仁左衛門
お福⇒孝太郎


芝雀が雀右衛門を襲名する披露の公演だが、襲名の口上は夜の部で行われるので昼の部だとピンと来ないけど、仕方がない。
鴈治郎襲名公演の時は昼の部でも劇中襲名口上というのがあったが、今回はそれもなかった。

芝雀(=雀右衛門)と言えば、いつも女形なので、あまり印象に残っていないけど、去年の11月の「神霊矢口渡」の娘お舟の芝居は良かった。物語自体が面白いのだけど、演技力あってこそ集中できたのだと思う。

今回は「鎌倉三代記」の時姫が雀右衛門襲名披露の役だったが、歌舞伎の世界では三姫(鎌倉三代記の時姫、本朝廿四孝の八重垣姫、祇園祭礼信仰記の雪姫)の一つとして重要な役柄だそうだ。確かに、敵の武将に恋をしてその武将から実父を討てと迫られて引き受けてあの世で添い遂げましょうという話だからなかなか難しいのだろう。
甲斐甲斐しいお姫様ぶりは良しとして、父親を討つ覚悟に至る芯の強さのような気配はあまり感じられなかったのだけど、見逃したのかな。
この芝居で言えば、吉右衛門の存在感が大きかった。

ほかの芝居では、「壽曽我対面」での橋之助に貫禄が出たなあと思った。松緑はもっと本格的な芝居を見たかった。


女戻駕と俄獅子は前者が常磐津、後者が長唄による舞踊劇だ。踊りのことは分からないけど、音楽としては心地よい。特に、前者が終わって舞台暗転後に囃子連中?が大勢で舞台一面に並んで聴かせる長唄は華やかな舞台にピッタリでこれは面白かった。

団子売も竹本による舞踊劇。
団子の素になる餅つきから始まるが、その餅が柔らかそうで、あれは一体何で出来ているのだろう。最後はちぎって丸めて客席に投げ込んでくれたら面白いのに、そういう展開ではなかった。


♪2016-033/♪歌舞伎座-02