2016年3月18日金曜日

みなとみらいアフタヌーンコンサート2016前期 ≪楽興の時≫上原彩子ピアノ・リサイタル

2016-03-18 @みなとみらいホール


上原彩子:ピアノ

モーツァルト:フランスの歌「ああ、お母さん聞いて」による12の変奏曲 ハ長調 K265
シューベルト:「楽興の時」 Op94 D780<全6曲>
クライスラー(ラフマニノフ編):「愛の悲しみ」、「愛の喜び」
ラフマニノフ:楽興の時 Op16<全6曲>
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アンコール
チャイコフスキー:「四季」から「3月ひばりの歌」
同(上原彩子編):「くるみ割り人形」から「花のワルツ」


上原彩子が日本の楽壇でどのように評価されているのか知らないけど、経歴を読むと、実に多くの有名コンクールで上位入賞している。その中でも白眉は第12回チャイコフスキー国際コンクールピアノ部門第1位獲得だろう。女性の第1位は彼女が史上初だったそうだ。また、日本人が第1位になったのもこの時の彼女が最初。その後も2015年までピアノ部門では日本人は入賞さえしていない(第13回のバイオリン部門では神尾真由子が第1位、有希・マヌエラ・ヤンケが国籍はドイツだが3位だった。)。

このクラスになるとメカニカルな技量に驚くのではなく、音楽表現の豊かさ、確かさ、のようなものこそ聴き取らなくてはいけないのだろうけど自信がない。
ま、共感できるとか違和感を感ずるとかその程度の受け止め方しかできないけど、まずは、演奏家が拓いてくれる音楽世界に素直な気持ちで臨むことが肝心かな。

事前の情報や当日配られたプログラムをみると、シューベルト&ラフマニノフの2つの「楽興の時」を軸に据えた軽めの構成と思いきや、ラフマニノフが編曲したクライスラーのミミタコのような小品2曲でガラッと様子が変わった。
ラフマニノフがバイオリンとピアノのための原曲をピアノ独奏用に編曲したものは、少なくともナマで聴くのは初めてだったが、これがなかなか興趣に富んだ大作風仕上がりで、クライスラーの「愛の~」シリーズに抱いていたピアノ発表会用小品というイメージが覆って驚いた。

続くラフマニノフの「楽興の時」も、どうせ知っている曲だろうと軽く構えていたが、どうもこれも初聴きらしい。シューベルトの「楽興の時」とは全然様相が異なって、いかにもラフマニノフらしい絢爛豪華なピアノテクニックが繰り広げられる。


ここまで来て、チャイコフスキー・コンクール第1位らしい選曲だなあ、と納得した。
さらにアンコールの2曲めが素晴らしい。
チャイコフスキーの有名な「花のワルツ」が超絶技巧風で圧巻なのだ。
終演後、ロビーに貼りだされたアンコール曲目を読んでもっとびっくり。なんと「花のワルツ」は上原彩子自身の編曲だった!
やっぱり、只者ではない。 


♪2016-029/♪みなとみらいホール-09