2015年4月4日土曜日

気軽にオペラ!コジ・ファン・トゥッテ

2015-04-04 @みなとみらいホール


指揮・チェンバロ:田島亘祥
演出:今井伸昭
ピアノ:朴令鈴
ヘアメイク:星野安子

舞台監督:渡邊真二郎

フィオルディリージ:針生美智子(S)
ドラベラ:堀万里絵(Ms)
フェランド:大川信之(T)
グリエルモ:増原英也(Br)
デスピーナ:鷲尾麻衣(S)
ドン・アルフォンソ:鹿野由之(Bs)
合唱: コロ・ルナ

モーツァルト作曲 歌劇「コジ・ファン・トゥッテ」
全2幕・原語(イタリア語)上演・日本語字幕付


昨年も同じ時期に「セヴィリアの理髪師」を気軽!に楽しんだが、毎年1回のこのシリーズ。今年はモーツァルトの「コジ・ファン・トゥッテ」だった。

音楽はいい。とても印象的なアリア、というのは残念ながらないと思うけど、デュエットから6重唱までのアンサンブルが楽しい。
モーツァルトならではの陽気さに溢れている。

伴奏はピアノ1台と指揮者が自ら弾くハープシコード(レシタティーヴォ用)1台だけという簡素なものだし、舞台装置もしかり。
でも、音楽の面では何の不満も感じなかった。
歌手たちはみんな上手だった。
特に、デスピーナを演じた鷲尾麻衣さんは役柄にもピッタリで良かった。

みなとみらいホールは、時に残響が大きすぎるように思うけど、今回のような声楽には好都合だったようだ。


しかし、である。
オペラを生で聴く(観る)機会は少ないけど、「コジ・ファン・トゥッテ」は極めて稀なことに2回めだった。
だいぶ昔に日生劇場で観たが、その時も、そして、最近放映されたMETの録画を観た時も、そして今回の鑑賞でも、物語の意図については、やはり、よく分からない。

モーツァルトの意図、というより脚本を書いたダ・ポンテの意図というべきかもしれないが、モーツァルトも、この脚本に満足して作曲したのだろうから、半分くらいは彼にも責任があるだろう。


「コジ・ファン・トゥッテ」は「女はみんなこうしたもの」という意味だそうだ。
2人の青年が老哲学者にそそのかされて、他人に変装してそれぞれの相手の許嫁(姉妹)に求愛して口説き落とせるか、という賭けをする。青年たちは自分の許嫁の貞節を信じているが、友人の許嫁を相手にしては求愛にも熱が入ってくる。

果たして…という物語で、大変不道徳な、非倫理的な、はたまた女性に大変失礼な話である。

僕が分からないのは、よくぞこういう物語をオペラ化したものだというダ・ポンテやモーツァルトの本音だ。
18世紀のヨーロッパ貴族社会において、スワッピングは文学的モチーフとしては非常に好まれたと書いたものを読んだ記憶がある。
そういう事情を背景にした、これは、単なる悪ふざけ、軽口程度の話なのだろうか。
あるいは、深い精神性や智慧に発するものなのだろうか(最後の哲学者のアリアはそのような含みもないでもないが。)。

青年たちと姉妹はとうてい気持ちを整理できるとは思えないのだけど、かなり強引なハッピーエンド。

立派な古典の名作だ。その辺りの疑問を解き明かしてくれる解説はいくらでも表されているのだろうが、ネットで探す限り見当たらないでいる。





♪2015-26/♪みなとみらいホール-11