2014年4月10日木曜日

歌舞伎座新開場一周年記念 鳳凰祭四月大歌舞伎

2014-04-10 @歌舞伎座


一 壽春鳳凰祭(いわうはるこびきのにぎわい)   
女御: 時蔵/女御:扇雀/大臣:橋之助/大臣:錦之助/女御:梅 枝
ほか

二 鎌倉三代記(かまくらさんだいき)
  絹川村閑居の場
佐々木高綱:幸四郎/時姫:魁春/母長門:歌江/おくる:
歌女之丞
ほか

三 壽靱猿(ことぶきうつぼざる)
  鳴滝八幡宮の場
猿曳寿太夫:三津五郎
奴橘平:巳之助
女大名三芳野:又五郎
ほか

坂田藤十郎一世一代にてお初相勤め申し候
四 曽根崎心中(そねざきしんじゅう)
お初:藤十郎/平野屋徳兵衛:翫雀/油屋九平次:橋之助/天満屋惣兵衛:東蔵/平野屋久右衛門:左團次
ほか



チケット購入時には知らなかったけど、2週間ほど前だったか、NHK-TVの9時のニュースで藤十郎の「曽根崎心中」が取り上げられていたが、それは藤十郎が今回の舞台を以って「お初」の役から降りるということだった。
それで演目に「一世一代」が冠されたそうだ。
82歳というが、色艶もよく言語も明瞭で、もっと続けられそうな気もするし、現に鑑賞後もそう思っているけど、素人が思っているほど楽な役ではなさそうだ。
藤十郎が扇雀の時代に復活初演し、60年を超えて演じ続けてきたいわば「家」の芸というより「自分」の芸だ。
初めて観る僕にとっても一世一代の「曽根崎心中」になった。

ニュース番組でも紹介されていたが、女形(お初)が立役(徳兵衛)の手をとって花道を行く場面(このような形は従来の歌舞伎ではありえなかった演出だそうだ。)や、天満屋の縁に腰掛けて煙草を吸いながら(平静を装いつつ)、縁の下に隠した徳兵衛との間で、片足で互いに心中の覚悟を伝え合う場面など、なるほど印象深い名場面だ。人間国宝藤十郎の最後の「お初」を観られたことはまことに幸運だった。



三津五郎(「武士の一分」!)が病気入院後久しぶりに舞台に立つというのも話題となっていたが、「壽靱猿」の面白いこと。

元は狂言「靱猿」らしいが、大名の内儀が奴を連れて神社に代参し、そこに迷い込んできた小猿<子役>を見つけ、ちょうど靭(矢の入れ物)の皮に好都合と弓で射ち殺そうとする。
そこに小猿を探していた主人(猿まわし芸人<三津五郎>)が現れ、「おやめください」と懇願するも、内儀は聞く耳持たず。
諦めざるをえない主人は、ならば、弓で射抜いては皮に傷がつくし、自分の手で殺したいと願い、その了解を得る。

主人は何にも事情が飲み込めていない小猿に因果を含めて説明し、自ら殺そうとするが、主人のそうした行為が、芸を求められていると勘違いする小猿が必死の芸を見せる。

あまりに無邪気な様子にさすがの内儀も同情し靭にすることを諦める、という話だけど、この小猿が実に可愛らしくてあどけなくて、小さい体で、短い足を投げ出して見得を切るのもいとおかし。



「壽春鳳凰祭」では長唄、「鎌倉三代記」、「曽根崎心中」では浄瑠璃、「壽靭猿」では常磐津と、伴奏音楽?の聴き比べが勉強になった。

ぎりぎり開演5分前!に駆けつけたので食事の予約は間に合わず、手まり寿司弁当を幕間の席で食べた。

♪2014-28/♪歌舞伎座-02