2014年1月26日日曜日

神奈川フィルハーモニー管弦楽団 名曲シリーズ「オーケストラ 名曲への招待」サッシャ・ゲッツェル首席客演指揮者就任記念公演

2014-01-26 @ミューザ川崎シンフォニーホール



ヴァイオリン:石田泰尚
チェロ:山本裕康

サッシャ・ゲッツェル指揮:神奈川フィルハーモニー管弦楽団

●ブラームス:バイオリンとチェロのための二重協奏曲イ短調作品102
------------
●ワーグナー:歌劇「タンホイザー」序曲
●R.シュトラウス:「バラの騎士」組曲

アンコール
●ヘンデル(ハルヴォルセン編):「パッサカリア」
(Vn & Vc)
●J.シュトラウスⅡ:「狂乱のポルカ」






昨日と全く同じ演奏家、同じプログラム、開始時刻まで同じ。
違うのはコンサートホールだけ。
でも、ここが大切で、演奏場所まで同じなら、さすがにチケットを買おうとはしなかったろう。

音響効果の良いコンサートホールとして夙に有名なのが、このミューザ川崎シンフォニーホールだ。
ほかにもサントリーホール、みなとみらいホール、すみだトリフォニーなども挙げられているが、県立音楽堂も東洋一!という評判を聞いたりするし、人によってはサントリーの音はひどいという人もあって、さまざまだ。
その道の専門的知識はないが、どこもそれほど違いはないのではないかという気がする。
人によって評価が大きく異なったりするのは、結局、そのホールのどこで聴くか、によるのではないかと思う。何を聴くか、聴いた時の体調や精神状態も影響するだろう。

ミューザがおしなべて高評価なのは、キャパシティ2000弱という比較的小ぶりで、複雑な非対称のヴィンヤード形式が舞台をぐるっと取り囲んでいるので、どの席からの距離も比較的短く、どこで聴いても大きな差がないということに尽きるのではないかと思う。


果たして、音は違うか?
そんなことは分からなかった。上述したようにあちこちの場所で聴いてみないと簡単に判断はつかないし、いや、それでも分からないかもしれない。
鈍感な僕の耳には昨日のサウンドも今日のサウンドも違いは分からなかった。

それより、昨日といい、今日といい、神奈川フィルのオケとしての鳴り方がすごくいい。
いや、だんだん良くなってきた。これは場所のせいではない。
ブラームスの「ダブルコンチェルト」もR・シュトラウスの「バラの騎士」のいずれも立ち上がりはトゥッティ(全合奏による強奏)ではじまるけど、それが、…え!こんなにうまかったの?と思うくらい柔らかで透明だ。ひょっとすると僕はこれまで神奈川フィルの実力を過小評価していたのかもしれない。

「バラの騎士」はこれまで馴染みの少ない曲だったけど、要するに雑多な音楽のてんこ盛りで、オーケストレーションも凝っていて、見ても!楽しい作品だとじわじわ分かってきた。
R・シュトラウスはこのような管弦楽曲(組曲、交響詩)で名を馳せているけど、実はピアノソナタなどにもとて親しみやすい作品を残していて、ロ短調のソナタや作品3のピアノのための5つの作品なども、管弦楽作家のR・シュトラウスとはまた異なる面を見せてくれて楽しい。

♪2014-10/♪ミューザ川崎シンフォニーホール01

2014年1月25日土曜日

神奈川フィルハーモニー管弦楽団第295回定期演奏会

2014-01-25 @みなとみらいホール



バイオリン:石田泰尚
チェロ:山本裕康
サッシャ・ゲッツェル:指揮

神奈川フィルハーモニー管弦楽団

●ブラームス:バイオリンとチェロのための二重協奏曲イ短調作品102
------------
●ワーグナー:歌劇「タンホイザー」序曲
●R.シュトラウス:「バラの騎士」組曲

アンコール
●ヘンデル(ハルヴォルセン編):「パッサカリア」
(Vn & Vc)
●J.シュトラウスⅡ:「狂乱のポルカ」




ブラームスの二重協奏曲はお気に入りの一つだ。
ブラームスは、当初、この作品を5番目の交響曲として構想していたそうだ。
50歳代半ばの作品で、結果的に最後の管弦楽作品となった。
いわば、枯淡の境地に至って作曲した訳だが、出だしを聴く限りそうは思えない。
若々しく情熱的で、それが少し悲劇的に、バイオリンとチェロの超絶技巧を伴って展開される。

それでいて、やはり全体としてブラームスらしい禁欲主義が貫かれているように思える。
溢れそうで溢れない。流されそうで踏みとどまる。
シューベルトのように情熱が勢い余って駆け巡るということはない。

この限度を弁えているというところがブラームスの大人の魅力だ。

しかし、そこに僕の「思い」が、あるいは「感性」が至ったのは40歳を過ぎてからだったように思う。
それまではブラームスは敬遠していた。聴き手の精神年齢も要求されるのだ。もちろん、若くして、この味わいを知る人も多いだろうけど。

いったん自分なりの鑑賞の緒(いとぐち)を発見すると、芋づる式に楽しさは広がってゆく。
ブラームスはあまりたくさんの作品を残していないので、CDで入手できる作品はほぼ全曲集めた。歌曲にまだ未踏の地が残されているが、まあ、焦ることはない。


指揮のサッシャ・ゲッツェル氏は神奈川フィルの首席客演指揮者ということらしいが、実質的な共演は今日が初舞台だとプログラムに書いてあった。


しかし、今日の指揮ぶりはオケを完全掌握して堂々としている感じがした。
ウィーン生まれだそうで、今日のプログラムはドイツ・オーストリアで固めていわば自家薬籠中のものなのだろう。
特に、アンコールの「狂乱のポルカ」は、指揮台の上で飛び跳ねてごきげんだった。
今日の曲目がすべて満足できる出来だったのだろう。表情豊かでとても愛想もいい。
これからも神奈川フィルメンバーとお客さまに愛されてゆくのだろう。
とてもいいスタートだったように思う。
聴衆の満足度も相当高かったと思う。
やんやの喝采やブラボーの声にはあながち義理とも思えない熱気があった。



あれこれ感ずることがあったが、明日も全く同じ演奏家で同じプログラムを舞台を移して(ミューザ川崎シンフォニーホールで)聴くことにしているので、それは明日の鑑賞記に回そう。



♪2014-09/♪みなとみらいホール06 

2014年1月24日金曜日

三橋さゆり メゾ・ソプラノリサイタル

2014-01-24 @かなっくホール


三橋さゆり Ms
梅村百合 Pf


●フォーレ
リデノア
夢のあとに
マンドリン
水のほとりにて

月の光
●ドビュッシー
パンの笛
眠りの森の美女
●アーン
クローリスに
信じない人
私があの家にとらわれていたとき
愛される人
●プーランク
モンパルナス
パリへの旅
愛の小径
―――――――――――
●山田耕筰
この道
待ちぼうけ
ペチカ
●中田喜直
未知の扉
むこうむこう
霧と話した
サルビア
あなたとわたし
悲しくなったときは 



歌手のソロ・リサイタルは初めての経験だった。
三橋さゆりって人のことも何にも知らない。
メゾ・ソプラノってちょっと地味だなあ…と思いつつも、家から徒歩8分のかなっくホールで、料金も安価だったから、ちょいと聴いてみるかな、という気持ちだった。

三橋さんというのは、東京藝大の博士課程在籍中だそうで、今日のリサイタルが、いわばプロデビューとなるのかな。

容姿端麗で、声も可愛らしい。
歌っている間はずっと声楽的発声?なので地声は分からないけど、プログラムが全部終了してから、あいさつしたのは、やはり可愛らしい声、それも細い声だ。
あんなか細い地声でも長い時間の訓練の積み重ねで身体全部を楽器にしてしまうんだな。

帰宅後声部の音域について調べてみたけど、弦楽器が4種類に分かれている程には厳密なものではなさそうだ。声質や歌い手の得意声域で便宜的に分けているらしい。
今日の三橋さんもメゾ・ソプラノといいながら結構ハイトーンも出していたなあ。むしろ低い音が難しそうだった。



山田耕筰の3曲とフォーレの「夢のあとに」以外は(たぶん)初めて聴く曲ばかりだった。
「夢のあとに」はチェロやバイオリンの小品として定着しているけど本来は歌曲だったんだ、とこれも初めて知った。


♪2014-08/♪かなっくホール-01 

2014年1月23日木曜日

第181回オルガン・1ドルコンサート~ 芸術の花開く都市、フランス・パリへの旅 ~

2014-01-23 @みなとみらいホール



春日朋子(オルガン)

♪ M.デュプレ:行列と連祷
  Marcel Dupré (1886-1971) : Cortège et Litanie Op.19 no.2
♪ M.ラヴェル:妖精の園(童話『マ・メール・ロワ』より)
  Maurice Ravel ( 1875-1937 ) : Le Jardin féerique (extrait des Contes de "Ma Mère l' Oye")
♪ L.ヴィエルヌ:「ウェストミンスターの鐘」(『幻想小品集 第3巻』作品54-6 )
  Louis Vierne ( 1870-1937 ) : Carillon de Westminster Op.54 no.6
♪ フォーレ:「シシリエンヌ」(『ペレアスとメリザンド』 作品80より)
  Gabriel Fauré ( 1845-1924 ) : Sicilienne ( extrait de "Pelleas et Mélisande" Op.80 )
♪ C.フランク:コラール 第1番
   César Franck(1822-1890): Choral no.1




わずか100円で、みなとみらいホール大ホールのパイプオルガンコンサートを楽しめるという誠にありがたい企画だ。

こういう時こそ財布の中の硬貨を減らす良い機会なのに普段小銭入れを持ち歩かないので、しっかり忘れてしまった。
しかし、モギリにはちゃんとSuicaの読み取り機が置いてあって、Suicaでも入場できるのがうれしい。
ワンコインならぬワンタッチコンサートだ。

パイプオルガンは、オーケストラと一緒に演奏される場合もある。

最近では読響のヘンリー・ウッド版ムソルグスキー「展覧会の絵」、日フィルのレスピーギ「ローマの祭」、神奈川フィルのホルスト「惑星」等もパイプオルガンが活躍していたが、たまにはソロ?でも聴いてみたい。

今日のプログラムは、2013年度の企画「ルーシー*と世界を旅しよう!」の一環で、フランス音楽をオルガンで聴くという構成だった。

オルガンオリジナルやオーケストラ作品のオルガン用編曲が取り上げられたが、フォーレの「シシリエンヌ」以外は初めて聴くものばかりだった。「シシリエンヌ」にしても、普段はチェロとピアノで聴いており、オルガンでの演奏は初めてだった。

蚊の啼くような小さな音から椅子ごと震えるような大音響まで出せるすごい楽器だなあと改めて体感。
3歳以上なら子供もOKというコンサートなので、曲間にはおしゃべりも聞こえてきたが、バ~ンと鳴り始めるとおしゃべりどころではなくなるようだ。1曲終わる度に何にか喋らずにはおれないような興奮があるのだろうな。

*「ルーシー」はパイプオルガンの愛称

♪2014-07/♪みなとみらいホール大ホール-05  

2014年1月19日日曜日

読売日本交響楽団第69回みなとみらいホリデー名曲シリーズ

2014-01-19 @みなとみらいホール


下野竜也指揮:読売日本交響楽団

●J.S.バッハ(オネゲル編):前奏曲とフーガ ハ長調 BWV545
●J.S.バッハ(レーガー編):「おお人よ、汝の罪の大いなるを嘆け」 BWV622
●J.S.バッハ(ホルスト編):ジーグ風フーガ BWV577
●J.S.バッハ(ラフ編):「シャコンヌ」 BWV1004
------------
●ムソルグスキー(ヘンリー・ウッド編):組曲「展覧会の絵」

アンコール
●J.S.バッハ:G線上のアリア(ストコフスキー編)


今回は「トランスクリプション・プログラム」。つまり、広い意味では「編曲もの」特集。

前半の4曲はいずれもバッハの(そのうち1~3はオルガンやチェンバロ曲を、4のシャコンヌは無伴奏バイオリン組曲第2番の最終曲)を管弦楽に編曲したもの。

そしてアンコールで演奏されたのもバッハの所謂「G線上のアリア」で、この名前でポピュラーになっているけど、原曲は管弦楽組曲第3番ニ長調BWV1068 第2楽章「アリア」だ。

19世紀後半に活躍した某バイオリニストがG線(バイオリンの一番低音の弦)1本で弾けるように編曲したバイオリンとピアノのための「アリア」がとても有名になって「G線上のアリア」という名前の独立曲として広く知られるようになった。

今日、演奏されたのはバッハの編曲を多数手がけているレオポルド・ストコフスキー(映画「オーケストラの少女」、「ファンタジア」にも登場)によるトランスクリプションだが、彼が、元々管弦楽(正確には弦楽合奏)のための作品をなぜ、同じ弦楽合奏に焼き直したのかは知らない。ひょっとして、既にピアノとバイオリンのための作品に編曲されている「G線上のアリア」をベースに再度弦楽合奏に編曲したのかもしれない。

さて、メインディッシュは「展覧会の絵」だが、原曲はムソルグスキーのピアノ曲。しかし、ラヴェルが管弦楽に編曲したものが大成功して、今では「展覧会の絵」と言えばほぼラヴェル版を指しているといえるだろう。

ところが、素材が元々「絵画」的であるから、いろんな色付けが可能なのだろう、後続する作・編曲家が相次いだ。今では一体何十種類の編曲が存在するのか分からない。

ストコフスキーも手がけているし、冨田勲のシンセサイザー版、山下和仁のギター版には驚いたが、もっとびっくりはELPのロック版だ(ずいぶん前に渋谷公会堂で彼らのライブを聴いた。あまりの強烈な爆音に席を立ってしまった!)。もちろん吹奏楽にも編曲されているし、室内楽用もあるらしい。

で、今日の「展覧会の絵」はヘンリー・ウッド編曲版だ。

そんな作曲家がいるとは知らなかったが、むしろ指揮者として名を成した人らしい。
英国の「プロムス」の第1回からの指揮者で、100年余続く世界最大の音楽祭の立役者らしい。

その彼が「展覧会の絵」を管弦楽版に仕立てたのはラヴェルより7年も早かったという。
しかし、上述のように今ではラヴェル版が大勢を占めている。

今日の演奏会では、敢えて珍しい編曲を取り上げたのだろう。

冒頭はトランペットのファンファーレ風でラヴェルと一緒だ。というより、ラヴェルが真似をしたのだろう(因みにストコフスキーは、うろ覚えだが、バイオリンのみで「プロムナード」を演奏させている。)。

しかし、曲がだんだん進むに連れて聴き慣れたラヴェルの編曲とは様子が異なってくる。

もし事情を知らずに一部分だけを聴いたら「展覧会の絵」だとさえ気付かないかもしれないような変わり様もある。

パイプオルガンやハープも入って音色は多彩。

打楽器はその種類が非常に多く、見た目も楽しませる。

管弦楽に編曲するということはこういうことだ、と言わんばかりの派手なオーケストレーションだ。

これまであまりにもラヴェルに馴染んでいるために、全体としては少々の違和感を拭えなかったが、CDを入手して何度も繰り返し聴いて耳に馴染めば、これはこれでラヴェルとは別の面白さを発見できるのだろう。

♪2014-06/♪みなとみらいホール大ホール-04 

2014年1月13日月曜日

小山実稚恵 華麗なるコンチェルト With 東京交響楽団

2014-01-13 @みなとみらいホール

ピアノ:小山実稚恵
ロッセン・ゲルゴフ指揮:東京交響楽団


●モーツァルト:「フィガロの結婚」 序曲 K492
●ベートーベン:ピアノ協奏曲 第5番 変ホ長調 Op73 「皇帝」
--------------
●ラフマニノフ:ピアノ協奏曲 第2番 ハ短調 Op18

アンコール
●ラフマニノフ:前奏曲Op32-5

いつもぎりぎりに駆けつけるけど、今日はゆとりを持って出かけたら、1階ロビーは満員の盛況で行列入場中。
昨日のコンサートもチケット完売と書いてあったが、今日も完売の看板が。


ピアノの小山実稚恵さんは生では初めて聴くが、放送では何度か聴いている。特に「名曲探偵アマデウス」では演奏者・解説者としてよく登場していたので、その人柄に好感を持っていた。
コンサートでも愛想の良い腰の低い人でますます好感度UP。

腕前の方は、ショパン・コンクールとチャイコフスキー・コンクールの両方に入賞している日本人唯一のピアニストという折り紙つき。

1曲めのフィガロは一昨日も日フィルで聴いたばかりだが、気のせいか、日フィルよりよく鳴っていたなあ。

その後小山さん登場。
ピアノ協奏曲が2曲。
最初に「皇帝」。休憩をはさみお色直しもして次はラフマニノフ。

2番はラフマニノフの4つのピアノ協奏曲の中で一番ポピュラーで、映画でもよく使われている。
特に、デヴィッド・リーンの名作「逢びき」はこの音楽が終始鳴り続け、切なさを大いに煽られてしまう。

映画「七年目の浮気」でも使われているがこちらはコメディだ。

昨年の6月にも同じ場所で中村紘子の演奏を聴いている。
その時はショパンの1番の協奏曲との組合せで、やはりラフマニノフがトリだった。


「皇帝」の方が華麗で堂々とした大曲なのにどうしてこちらを先に持ってきたのかな?と疑問に思ったが、ラフマニノフの2番を聴いて「見る」と納得した。

耳からだけではなかなかその難曲ぶりが分からないが、演奏ぶりを見ていると、これは相当大変なのだろう。
帰宅後調べたら冒頭の和音は1小節目を除いて一度に9つの音を弾かなければならず、左手は4つの音を含む10度の間隔(例えば、ドとそのオクターブ上のミの間に2個の音が入っている。右手はオクターブの間隔で5本の指全部)を要求される。
その後もものすごく早い分散和音など、超絶技巧が必要なんだ。
ベートーベンが易しいという訳でもないだろうが、まずは技術的にはこちらが大曲なんだね。

それに、「皇帝」は、ラストがピアノの強奏では終わらない。
ピアニストとしてはコンサートの最後を両方の手でガツンと叩き終えたいだろう。そういうこともラフマニノフをトリにした理由ではないか、と思った。

観客のオベーション(ovation)は強烈で、素晴らしいひとときを過ごさせてもらったという感謝の気持が満席の大ホールにみなぎった。


<小山さんの今夜のツィート>


♪2014-05/♪みなとみらいホール大ホール-03

2014年1月12日日曜日

YOKOHAMAグリーンオーケストラ第9回定期演奏会

2014-01-12 @みなとみらいホール



ソプラノ:白川佳子
アルト:前田真木子
テノール:浅原孝夫
バリトン:武田直之

安彦善博指揮:YOKOHAMAグリーンオーケストラ
青葉区民合唱団 女声合唱団紗綾 男声合唱団きこり 他

●ブラームス:大学祝典序曲 ハ短調
●ベートーベン:交響曲 第9番 ニ短調 「合唱付き」

アンコール
●モーツァルト:「アヴェ・ヴェルム・コルプス」ニ長調、K.618

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横浜には一体いくつアマオケがあるのか分からないが、東京に次いで多いらしい。知らないオケもいっぱい、と言うより、知っているオケの方が少ない。

YOKOHAMAグリーンオーケストラなんてのも全く知らなかったが、渡世の義理でチケットを買うことになった。
まだ、年に一度の定期演奏会が9回目。というから大したレベルではあるまい…と期待せずに出かけた。

初っ端のブラームスで、ホルンの音がひっくり返った。
弦楽器と違ってホルンという楽器はいまだに完成されていない楽器だ。プロでさえ、時に音を外すくらいだから、よほど難しいらしい。まあ、1曲めは音慣らしだ。


いよいよメインイベントの「第九」。
こちらは練習も行き届いて、それなりの出来。
まあ安心して聴いていられるアマチュアのレベルだ。

ただ、昨年11月に聴いた神奈川セリエスオーケストラの方ができたてほやほやだったが、レベルが高かったなあと改めて思った。学生主体のオーケストラだから練習も行き届いているのかもしれない。

まあ、アマチュアはそんなに頑張ってうまくならなくともいい。仲間と一緒に音楽を創ってゆくのが喜びだもの。
聴く方もそこを心得て聴かなくちゃいけないな。

ソリストはプロ。彼らはさすがに声量豊かで何の不満もなかった。

「第九」の演奏会でアンコール演奏があったのは始めてだ。びっくりした。

演奏されたのはモーツァルトの弦楽合奏と混声四部合唱のための「アヴェ・ヴェルム・コルプス」だった。
モーツァルト晩年の傑作と言われている。実に清澄な音楽だ。
これこそ生で聴く機会がない曲で、今回初めて生演奏を聴くことが出来たのは幸運だった。

♪2014-04/♪みなとみらいホール大ホール-02

2014年1月11日土曜日

日本フィルハーモニー交響楽団第294回横浜定期演奏会

2014-01-11 @みなとみらいホール


バイオリン:木野雅之[ソロ・コンサートマスター]
阪哲朗指揮:日本フィルハーモニー交響楽団

●モーツァルト:《フィガロの結婚》序曲
●シベリウス:バイオリン協奏曲
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●J.シュトラウスⅡ:《こうもり》序曲
●ヨゼフ.シュトラウス:鍛冶屋のポルカ
J.シュトラウスⅡ:ワルツ《芸術家の生涯》
J.シュトラウスⅡ:トリッチ・トラッチ・ポルカ
J.シュトラウスⅡ:美しく青きドナウ

アンコール
J.シュトラウスⅠ:ラデツキー行進曲


今日のプログラム中大曲といえるのはシベリウスのバイオリン協奏曲だけど、この選曲には違和感があった。

もちろん、この名曲は僕も大好きで、シベリウスらしい北国の氷原を思い起こさせる張り詰めた緊張感の中で詩情たっぷりにバイオリンが咽び泣くのはとても好感。演奏も悪くなかった。

しかし、今日は、日フィルの横浜定期演奏会としてはニューイヤー・コンサートになるので、全体としては、それらしいプログラム構成なのに、シベリウスが混じってはどうも落ち着かない。これは他の機会に回してモーツァルトの軽め?の交響曲でも組合せてくれたほうが良かった。

で、後半のプログラムは、5日の神奈川フィル・ニューイヤー・コンサート(県立音楽堂:金聖響)の演目と、第1曲めと最終曲が同じ。さらにアンコールもやっぱり「ラデツキー行進曲」で同じ。
つまりは典型的なウィーン風ニューイヤー・コンサートだった。
<これはNETから拝借>

それにしては、やや、気分が乗り切れないまま終わってしまった。県立音楽堂の2倍のキャパシティがあるみなとみらいホール大ホールで、ほぼ満席のお客さまの気持ちを乗せるには指揮者も容易では無いだろう。

数日違いでほぼ同じ内容のコンサートを聴き比べる結果になったが、音楽性とか技量とかは別にして、やはり、千人前後のコンサートホールでオーケストラを聴くというのが、かなり贅沢な楽しみであるなあと実感するとともに、金聖響のスター性を改めて再確認した…かな。




<一階ロビーからホール内へ入るには数段の階段がある。
その注意掲示板。このデザインに座布団3枚あげたい。>

♪2014-03/♪みなとみらいホール大ホール-01

2014年1月8日水曜日

平成26年初春歌舞伎公演:通し狂言「三千両初春駒曳」(さんぜんりょうはるのこまひき)

2014-01-08 @国立劇場大劇場



尾上 菊五郎 / 中村 時蔵 / 尾上 松緑 / 尾上 菊之助 / 河原崎 権十郎 / 市村 萬次郎 / 市川 團蔵 / 坂東 彦三郎 / 澤村 田之助 ほか

辰岡万作=作『けいせい青陽●』より (●は集に鳥)
尾上菊五郎=監修
国立劇場文芸研究会=補綴
通し狂言「三千両初春駒曳」(さんぜんりょうはるのこまひき)六幕




150年ぶり!の復活上演だそうな。
いやはや本当に伝統芸なんだ。国立劇場ならではの演目。
現代風に少しアレンジ(補綴)されているそうだが、150年前の舞台を観た人はいないものね…。

基本の話は憤死した織田信長の後継者争いだから、題材としては三谷幸喜「清須会議」と同じだが、ぶっ飛び方がぜんぜん違う。歌舞伎の方が数段話がべらぼうになっている。

講談(小説?)の作り話「宇都宮吊り天井」も盛り込まれ、高麗国のお姫様(菊之助)や石川五右衛門まで登場し、織田家家宝の刀探しも加えられ、面白くなるなら何を加えても良いという闇鍋的ドラマ構成!
まさに、庶民の娯楽、歌舞伎の魅力。


敵も味方もそれぞれに「実は…」というどんでん返しが用意され、「実は、実は…」にそのうち訳が分からなくなるが、まあ、真剣に筋を追ってもしかたがないような話でもある。

六幕九場もあり、あちこちに見せ場が用意されているが、中でも三幕目第三場の「元の柴田旅館吊り天井の場」は真柴久吉に抵抗する柴田勝重(勝家=尾上松緑)の計略により、舞台に作られた旅館の大きな部屋の天井が落ちてきて真柴の軍勢が圧死するというスペクタクル!
これはなかなかの見応えあり。
新劇の手抜きで!粗末な舞台装置と違って歌舞伎は舞台装置の点でも見せ物になっている。

また、タイトルに援用されている第四幕「住吉大和橋馬切りの場」も楽しい一幕で、これは単独でも上演されているそうだ。

真柴久吉(羽柴秀吉のこと)が信長の弔いに使う予定の三千両を積んだ馬ごと石川五右衛門の家来に盗まれたが、そこに浪人が現れ、盗人たちをバッタバッタと切り倒す。その後駆けつけた真柴家の重職たちが浪人に金を返せと言うが、この浪人こそ「実は!」全篇の主人公と言ってもよい小田信孝(菊五郎)*で、小田家の為に使う金なら信長の息子である自分がもらってもよかろうと言い放ち、ひれ伏す重職たちを尻目に三千両を積んだ馬を曳いて花道に消える(彼は廓通いの資金に窮していた!なんというキャラクター設定だ!)。

この斬り合いのアクションが、今風に言えばコントショーのようで、大いに笑えるのだ。
いやはや「初笑い」でもあった。





♪2014-02/♪国立劇場-01

2014年1月5日日曜日

神奈川フィル・ニューイヤー・コンサート 〜デュオ・グレイスを迎えて〜 

2014-01-05 @神奈川県立音楽堂

Pfデュオ:デユオ・グレイス(高橋多佳子&宮谷理香)
金聖響指揮神奈川フィルハーモニー管弦楽団


































●サン=サーンス:「動物の謝肉祭」全14曲…2台のピアノと管弦楽版
第  1曲「序奏と獅子王の行進曲」
第  2曲「雌鶏と雄鶏」
第  3曲「騾馬」
第  4曲「亀」
第  5曲「象」
第  6曲「カンガルー」
第  7曲「水族館」
第  8曲「耳の長い登場人物」
第  9曲「森の奥のカッコウ」
第10曲「大きな鳥籠」
第11曲「ピアニスト」
第12曲「化石」
第13曲「白鳥」
第14曲「終曲」

●アンコール
モーツァルト:2台のピアノのためのソナタ(第1楽章)

--------------
J.シュトラウスⅡ:ウィンナー・ワルツとポルカ集
喜歌劇「こうもり」序曲
狂乱のポルカ
ワルツ「加速」
ポルカ「雷鳴と稲妻」
ワルツ「千夜一夜」
新ピッツィカート・ポルカ
ワルツ「美しく青きドナウ」

●アンコール
J.シュトラウスⅠ:「ラデツキー行進曲」


2014年コンサート事始め。
ニューイヤー・コンサートは数々あれど、これを選んだのは、県立音楽堂が便利ということもあるけど、なんといっても「動物の謝肉祭」を聴きたかったから。

遊び心溢れた名(迷)曲集で、CDではよく聴いているけど生演奏で全曲聴いたことがなかった。
聴くと見るとは大違い、でもないけど、色々発見があって、ますます好きになりそうだ。

もっとも有名な曲は「白鳥」。チェロを始めた動機もこれを弾きたいということにあった…^^;
次に「ピアニスト」、「象」、「水族館」かな。
「ピアニスト」や「化石」が「動物」扱いされているところがおかしい。

今日は神奈川フィルにとっても多分新年の弾き始めだったのだろう。
ニューイヤー・コンサートということで、女性陣は各々カラフルなドレスで登場し、24色クレヨンのごとしで華やかなムードだった。
演奏も素晴らしい出来。
今日はCD用の収録演奏会ということもあるのだろう。
各パートエース級を送り込んだのか、これまでにない豊かでかつピュアなサウンド!
どの場所で聴いても音響の良い音楽堂の面目躍如でもあった。

女性ピアノデュオ「デュオ・グレイス」は知らなかったが、2人ともショパンコンクール入賞者というから技量は申し分ないのだろう。
「動物の謝肉祭」の中の「ピアニスト」は、下手くそなピアニストが「ハノン」のような指使い練習曲を弾いている様子からスタートするのだけど、上手な人が下手に弾く。しかも2人が全然揃っていない!ここがおかしい。
でも、だんだんと腕を上げテンポも2人の息も合うようになってめでたしめでたし。

ピアノデュオだけでアンコールに弾いてくれた曲は知らない曲だった。
モーツァルトの作であることは一聴瞭然だけど、2台のピアノのための作品に心覚えがない。
終演後、会場を出る時に、彼女たちもお客さまの見送りに立っていたので直接聞いてみた。
するとやはりモーツァルトで「2台のピアノのためのソナタ」です、と教えてくれた。
音楽堂のコンサートのとても寛げる雰囲気がうれしい。

ワルツ、ポルカもほとんど馴染みの曲ばかりで楽しめた。
最後にオーケストラのアンコール。
多分、こう来るだろうと思っていたよ。
ニューイヤー・コンサートのお約束みたいな、ヨハン・シュトラウスⅠ世の「ラデッキー行進曲」をお客さまも手拍子で盛り上がって満喫した。金聖響はなかなかの役者でもあるなあ。



♪2014-01/♪県立音楽堂-01