2014年1月25日土曜日

神奈川フィルハーモニー管弦楽団第295回定期演奏会

2014-01-25 @みなとみらいホール



バイオリン:石田泰尚
チェロ:山本裕康
サッシャ・ゲッツェル:指揮

神奈川フィルハーモニー管弦楽団

●ブラームス:バイオリンとチェロのための二重協奏曲イ短調作品102
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●ワーグナー:歌劇「タンホイザー」序曲
●R.シュトラウス:「バラの騎士」組曲

アンコール
●ヘンデル(ハルヴォルセン編):「パッサカリア」
(Vn & Vc)
●J.シュトラウスⅡ:「狂乱のポルカ」




ブラームスの二重協奏曲はお気に入りの一つだ。
ブラームスは、当初、この作品を5番目の交響曲として構想していたそうだ。
50歳代半ばの作品で、結果的に最後の管弦楽作品となった。
いわば、枯淡の境地に至って作曲した訳だが、出だしを聴く限りそうは思えない。
若々しく情熱的で、それが少し悲劇的に、バイオリンとチェロの超絶技巧を伴って展開される。

それでいて、やはり全体としてブラームスらしい禁欲主義が貫かれているように思える。
溢れそうで溢れない。流されそうで踏みとどまる。
シューベルトのように情熱が勢い余って駆け巡るということはない。

この限度を弁えているというところがブラームスの大人の魅力だ。

しかし、そこに僕の「思い」が、あるいは「感性」が至ったのは40歳を過ぎてからだったように思う。
それまではブラームスは敬遠していた。聴き手の精神年齢も要求されるのだ。もちろん、若くして、この味わいを知る人も多いだろうけど。

いったん自分なりの鑑賞の緒(いとぐち)を発見すると、芋づる式に楽しさは広がってゆく。
ブラームスはあまりたくさんの作品を残していないので、CDで入手できる作品はほぼ全曲集めた。歌曲にまだ未踏の地が残されているが、まあ、焦ることはない。


指揮のサッシャ・ゲッツェル氏は神奈川フィルの首席客演指揮者ということらしいが、実質的な共演は今日が初舞台だとプログラムに書いてあった。


しかし、今日の指揮ぶりはオケを完全掌握して堂々としている感じがした。
ウィーン生まれだそうで、今日のプログラムはドイツ・オーストリアで固めていわば自家薬籠中のものなのだろう。
特に、アンコールの「狂乱のポルカ」は、指揮台の上で飛び跳ねてごきげんだった。
今日の曲目がすべて満足できる出来だったのだろう。表情豊かでとても愛想もいい。
これからも神奈川フィルメンバーとお客さまに愛されてゆくのだろう。
とてもいいスタートだったように思う。
聴衆の満足度も相当高かったと思う。
やんやの喝采やブラボーの声にはあながち義理とも思えない熱気があった。



あれこれ感ずることがあったが、明日も全く同じ演奏家で同じプログラムを舞台を移して(ミューザ川崎シンフォニーホールで)聴くことにしているので、それは明日の鑑賞記に回そう。



♪2014-09/♪みなとみらいホール06