2021年3月30日火曜日

ランチタイムコンサート オルガン連弾〜サン=サーンス没後100年〜

 2021-03-30 @ミューザ川崎シンフォニーホール



パイプオルガン:渋澤久美、小野なおみ

オール・サン=サーンス・プログラム
●前奏曲 変ホ長調 Op.99-3
●「動物の謝肉祭」から
 序奏とライオンの行進
 象
 水族館
●ブルターニュの賛歌による3つのラプソディー Op.7から第1番
●幻想曲 変ホ長調
●「動物の謝肉祭」から
 森の奥のかっこう
 化石
 白鳥
 フィナーレ

オルガン連弾で没後百年のサン=サーンス特集。

オルガン連弾用に編曲された「動物の謝肉祭」ではいろんな動物のオルガンならではの音色の弾き分けが面白かったが、やはりピアノ2台+室内楽やオケ版には敵わない。

オリジナルのオルガン曲の方が、全部初聴きにもかかわらず、これぞパイプオルガン!の魅力を発揮して好感した。

♪2021-031/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-03

2021年3月29日月曜日

東京・春・音楽祭2021 Trio Accord―白井圭、門脇大樹c、津田裕也

 2021-03-29 @石橋メモリアル


トリオ・アコード
 バイオリン:白井圭
 チェロ:門脇大樹
 ピアノ:津田裕也

ドボルザーク:ピアノ三重奏曲第1番変ロ長調 op.21
マルティヌー:ピアノ三重奏曲第2番二短調 H.327
ドボルザーク:ピアノ三重奏曲第4番ホ短調 op.90 《ドゥムキー》
----ENC-------------------
ドボルザーク:我が母の教え給いし歌





トリオ・アコードを聴くのは3回目だが、門脇・津田のコンビは石田組長と組んだトリオでもよく聴いている(し、来週もフィリア・ホールで「大公」ほかを聴く予定。)。

いつも大抵聴き終えて満足度が高い。
この日も、3人ともとてもきれいな音で繊細なアンサンブルを聴かせてくれた。

しかし、大満足とは言えず。

理由その1:
《ドゥムキー》はドボルザークのピアノ・トリオ全4曲中、僕が唯一馴染んでいる曲だけど、何を隠そう、何度聴いても素直に共鳴できないでいる。

全6楽章はいずれも民族舞踊風で親しみやすいが、全体として構成感に欠けるので落ち着かない。

理由その2:
また、この日のホールは響きすぎで、絡み合う中にも各自の音が際立つ面白さに乏しかった。

♪2021-030/♪石橋メモリアル-01

2021年3月28日日曜日

日生劇場<オペラを知る>シリーズ2021 6月オペラ プレコンサート -プッチーニ作曲「ラ・ボエーム」・「蝶々夫人」から-

 2021-03-28 @日生劇場

ソプラノ:迫田美帆
ソプラノ:相原里美
テノール:岸浪愛学
バリトン:市川宥一郎
構成・ピアノ・お話:園田隆一郎

●プッチーニ
「ラ・ボエーム」から
 なんて冷たい手:ロドルフォ⇒
岸浪
 清らかな君よ、やさしい目:ミミ⇒迫田/ロドルフォ⇒岸浪
 街行く私を見て:ムゼッタ⇒相原
「外套」から
 最新の歌が聴きたいのはどなた?:流しの歌唄い⇒岸浪/合唱⇒相原、迫田
「蝶々夫人」から
 愛か気まぐれか分からない:ピンカートン⇒岸根/シャープレス⇒市川
 ある晴れた日に:蝶々夫人⇒迫田
 この子を?この子を忘れられるとでも?〜母さんはお前を腕に抱いて:
 蝶々夫人⇒迫田/シャープレス⇒市川

●マスカーニ
「イリス」から
 私はダンジューロ!〜哀れな私、いつも一人でここに:ディーア⇒
相原/キョート⇒市川

●プッチーニ
「ラ・ボエーム」から
 さよなら、暁の甘き目覚めよ:
 ミミ⇒
迫田/ムゼッタ⇒相原/ロドルフォ⇒岸根/マルチェッロ⇒市川

NISSAY OPERA 6月の「ラ・ボエーム」と「蝶々夫人」のプレコンサートに参加した。

日生劇場では全公演作品ではないと思うが、公演に先立つレクチャーやコンサートを無料又は低廉(今回は500円!)で開催してくれるのが嬉しい。

今日は、本番でも指揮をする園田隆一郎の構成・解説で4人の歌手が登場した。

既にチケット入手済みの「ラ・ボエーム」の本公演はWキャストだが、前に彼女の「蝶々夫人」を観て好感した迫田美帆がミミを歌う日の公演を選んだ。

今日はその迫田も登場し、園田の楽しく人柄の良さを感じさせるMCとピアノ伴奏でプッチーニの世界をNonStop 80分楽しんだ。

会場が7階の大会議室なので、ほとんど残響というものがない。いわば”素”の歌唱だが、さすがはプロだ。音の高低大小を問わず、きっちり聴かせてくれるのは日頃の訓練の賜物だな、と改めて感心した。

来週は「ラ・ボエーム」に特化したレクチャーコンサートがあり、我がマドンナ砂川涼子姫も登場。

今回の6月の公演は2017年の公演の再演で、その初演でミミを歌ったのが彼女だ。今回は出演しないが、そういう縁でレク・コンにも出てくれるのだろう。とても楽しみだ😍。

♪2021-029/♪日生劇場-01

2021年3月26日金曜日

新日本フィル:#38ルビー<アフタヌーン コンサート・シリーズ>

2021-03-26 @すみだトリフォニーホール


鈴木秀美:指揮
新日本フィルハーモニー交響楽団

バイオリン:崔文洙(弟)*
ピアノ:崔仁洙(兄)*
チェロ:長谷川彰子*


ベートーベン:バイオリン、チェロとピアノのための三重協奏曲ハ長 調 op. 56*
ベートーベン:交響曲第5番ハ短調 op. 67 「運命」
-----アンコール-----
ベートーベン:ピアノ三重奏曲第4番変ロ長調「街の歌」から第2楽章*
ベートーベン:12のメヌエット WoO.7から第11番


オール・ベートーベン・プロ。

まずは、バイオリン、チェロとピアノのための三重協奏曲がとても良かった。

昨秋、都響が豪華な独奏陣で華やかに聴かせてくれたが、今日の新日フィルの独奏者はほぼ自前。
しかし、土台となる弦楽アンサンブルが美しいので、3人の独奏がとても引き立った。

三重協は、正直なところ退屈な曲だけど、今日は、音楽の見通しが良く、独奏陣の演奏が各人ともしっかり聴こえたこともあり、これ迄で一番好感を持って聴くことができた。

いつもはチェロの首席として弾いている長谷川嬢が舞台最前面で時折笑顔を見せながら表情豊かに演奏しているのは見ていても楽しい。


鈴木秀美の「運命」は14年に神奈川フィルで聴いた際に、驚速で疾走する「運命」に驚愕すると共に実に爽快であった(その半年後、Jノセダ+N響の全速力で疾走する「運命」も忘れられない。)。

果たして、今回も秀美流に更に磨きをかけた指揮ぶり。

オケもきっちり意を汲んで、速いだけではなく細かい部分まで正確なリズムを刻んだ。特に弦は透明で明瞭な響を聴かせ、3楽章の低弦がガリガリ弾き切るところは興奮の坩堝だ。

こいういう「運命」を聴いていると、「音楽はスポーツだ!」という気がしてくる。

速ければ良い訳ではないが、緻密に積み重ねた音楽の疾走は爽快ではある。

♪2021-028/♪すみだトリフォニーホール-03


2021年3月25日木曜日

東京都交響楽団 都響スペシャル2021

 2021-03-25 @東京文化会館

下野竜也:指揮

東京都交響楽団

ドビュッシー:交響組曲《春》
ブルックナー(スクロヴァチェフスキ編):アダージョ(弦楽五重奏曲ヘ長調 WAB112から第3楽章)
ブラームス:交響曲第1番 ハ短調 op.68


前半2曲は多分初聴き。

ドビュッシーの作品は学生時代のもの。

全然ドビュッシーらしくなく面白くなかった。

初演当時はこの程度でも諸先輩の顰蹙を買ったらしい。

4’33”を経験している身には何だって驚くことはないけど。


ブルックナー「アダージョ」は弦楽合奏だが重い!


後半のブラームス交響曲第1番。

冒頭の弦が打って変わって綺麗。しかも弦16型の大編成(都響は2月のマーラーでも16型だった。)。


出だしが良かったので、気持ちを入れ替えて透明感あるアンサンブルを期待したが、長くは続かなかった。先月は良い出来だったのに。


ラストは特大音圧が凄まじかったが…。


♪2021-027/♪東京文化会館-02

2021年3月21日日曜日

小笠原伸子コンチェルトシリーズvol.6 三大協奏曲演奏会

 2021-03-21 @県立音楽堂


小笠原伸子:バイオリン
中山育美:ピアノ

ベートーベン:バイオリン協奏曲ニ長調 作品61
メンデルスゾーン:バイオリン協奏曲ホ短調 作品64
チャイコフスキー:バイオリン協奏曲ニ長調 作品35
-----------------------
ビバルディ:バイオリン協奏曲第1番ホ長調 RV269「春」から第1楽章


ベートーベン+メンデルスゾーン+チャイコフスキーの三大バイオリン協奏曲を1人で弾く演奏会。これで6回目。

僕は一昨年に初めて参加した。

昨年は中止になり、今年は手勢の横浜バロック合奏団との共演ではなく、ピアノ1台との協奏になったが、いわばすっぴんの協奏曲がなかなか面白かった。

協奏曲は時に独奏がオケに埋もれる事があるが、ピアノ相手ではその心配はなく、その代わりどんなに小さい音でもはっきり聴こえるので、両者の緊張関係が面白い。

1曲目のベートーベンでは少し崩れるところがあったが、その後はだんだんよく鳴る法華の太鼓で、最後のチャイコが一番良い出来だった。

それにしても、休憩除いても約100分。

立っているだけでも結構きついだろう。

もうすっかり身体に染み込んでいるのだろうが全曲暗譜というのも凄い。 おたまじゃくしの数は全部でいくつあるんだろう?

♪2021-026/♪神奈川県立音楽堂-04

2021年3月20日土曜日

神奈川フィルハーモニー管弦楽団定期演奏会 県民ホール名曲シリーズ 第10回

 2021-03-20 @県民ホール


川瀬賢太郎:指揮
神奈川フィルハーモニー管弦楽団
二期会合唱団*

青木エマSP*
高野百合絵Ms*
大山大輔Br*
加耒徹Br*

ヴェルディ:歌劇「運命の力」序曲
プッチーニ:歌劇「マノン・レスコー」から"間奏曲"
シュミット:歌劇「ノートルダム」から"間奏曲"
ベートーベン:ウェリントンの勝利 Op.91

音楽劇による「レ・ミゼラブル(ヴィクトル・ユゴー原作)」~若者たちの60分のレ・ミゼ~*
構成台本:田尾下哲 Les Misérables

①大橋晃一編曲:ラ・マルセイエーズ
②ジョルダーノ:歌劇「アンドレア・シェニエ」から"Nemico della partia"
③グノー:歌劇「ファウスト」から“宝石の歌”
④ミュージカル「レ・ミゼラブル」から"A heart full of love"
⑤ミュージカル「レミゼラブル」より “On my own"
⑥ミュージカル「レ・ミゼラブル」から “One day more"
⑦ミュージカル「ジキルとハイド」から“This is the moment"
⑧プッチーニ:歌劇「蝶々夫人」から“ハミングコーラス"
⑨レハール:喜歌劇「メリー・ウィドウ」から “Lippen schweigen"
⑩マスカーニ:歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」から“間奏曲”



前半に序曲・間奏曲など小品が4曲。

後半に<若者たちのレ・ミゼ〜>って一体どういうコンセプト?と思ったが、
前半は「レ・ミゼ〜」の世界の雰囲気作りというかなり強引な構成。
後半はミュージカル「レ・ミゼ〜」の3曲を含む色んな歌劇のアリアの寄せ鍋。

…と書くと不満があるように読めるけど、聴いてみれば大傑作だった。

まずは神フィルは今年に入って4連勝だ。

いずれの回も素晴らしい演奏が続いているが、今回はとりわけ見事。管打も良かったが、今回はゲストコンマス(東フィルから三浦文彰のパパ、三浦章宏)の起用が奏功したのか、いつになく、弦の透明感が高く美しい。


「ウェリントンの勝利」は先月同じ賢太郎氏が都響で振ったが、演奏は神フィルに軍配。
尤もべートーベンにしてはつまらない曲だが。


後半が4人の歌手に8人の合唱が加わって、演出家の田尾下によるコゼット、エポニーヌら若い世代を中心に「レ・ミゼ〜」の物語を新たに構成した音楽劇。

パッチワークのような作品だったが、Brの大山大輔が歌のほか語りも務めて分かり易く、あちこちから寄せ集めた音楽も不思議と違和感なく一つの物語に溶け込んでいた。

これなら、いっそ前半の音楽も物語に組み込んで「60分のレ・ミゼ」ではなく100分版をやってくれたらもっと感動できたかも。

それはともかく、「音楽の力」、「歌の力」を強く実感して高揚した気分で県民ホールを後にした。

♪2021-025/♪県民ホール-03

2021年3月13日土曜日

日本フィルハーモニー交響楽団 第365回横浜定期演奏会

 2021-03-13 @県民ホール


阪哲朗:指揮
日本フィルハーモニー交響楽団

ピアノ:伊藤恵*

ドボルザーク:歌劇《カーチャと悪魔》序曲
ドボルザーク:ピアノ協奏曲ト短調 op.33(原典版)*
ドボルザーク:交響曲第9番ホ短調 op.95 「新世界から」
-----アンコール-----
ドボルザーク:管弦楽版「スラブ舞曲」作品72から第2番ホ短調マズルカ


3曲ともドボルザーク。
しかも最初の2曲が初聴きという珍しいプログラムだった。

序曲「カーチャと悪魔」はまずまず。

伊藤恵さん❤️を独奏に迎えたピアノ協奏曲も初聴きだったが、こちらは、うーむ、な出来かな。
ピアノ協奏曲にしては、あまり、ピアノの名人芸が発揮される作品ではないようだ。

それが物足らないと思うピアニスト(が多いので演奏機会が少ないらしい。)によって、ピアノ独奏譜を華麗に編曲した版がいくつかあるらしいが、今日はドボルザークが書いたままの原典版だった。

ピアノの超絶技巧は発揮されないが、作曲家の魂に乗り移ったような恵さんを眺めているだけでも幸福感に満たされたよ。

さて、苦しい時の「新世界」?

昨秋以来聴く機会が多い(今日で4回目)がいずれも高水準の出来なのはどのオケも演奏回数が多いからかな。

しかし、今日の日フィルはこれまでの「新世界」とは一線を画す名演だった。3曲ともに通じたが弦の響きが格別に美しい。

「雨の日のホールは良く鳴る」のせいもあったかも。

いや、もちろん日フィルの弦は元々レベルが高いが、今日は県民ホールとの相性も良かったか、透明で、かつ明瞭だった。

管楽器も実に明瞭。

そして、管・弦の明瞭+明瞭が決して濁らず、その交りの生み出す管弦楽ならではの「交響」に酔った。

♪2021-024/♪県民ホール-02

2021年3月11日木曜日

R.ワーグナー:楽劇「ニーベルングの指環」第1日 『ワルキューレ』全3幕

 2021-03-12 @新国立劇場


R.ワーグナー:楽劇「ニーベルングの指環」第1日
『ワルキューレ』全3幕〈ドイツ語上演/日本語及び英語字幕付〉

予定上演時間:約5時間10分
第Ⅰ幕 65分
 休憩 40分
第Ⅱ幕 95分
 休憩 35分
第Ⅲ幕 75分

指揮:大野和士
演出:ゲッツ・フリードリヒ
美術・衣裳:ゴットフリート・ピルツ
照明:キンモ・ルスケラ

管弦楽:東京交響楽団
(アルフォンス・アッバスによる管弦楽縮小版

ジークムント⇒村上敏明(1幕)/秋谷直之(2幕)
フンディング⇒長谷川顯
ヴォータン⇒ミヒャエル・クプファー=ラデツキー
ジークリンデ⇒小林厚子
ブリュンヒルデ⇒池田香織
フリッカ⇒藤村実穂子
ゲルヒルデ⇒佐藤路子
オルトリンデ⇒増田のり子
ヴァルトラウテ⇒増田弥生
シュヴェルトライテ⇒中島郁子
ヘルムヴィーゲ⇒平井香織
ジークルーネ⇒小泉詠子
グリムゲルデ⇒金子美香
ロスヴァイセ⇒田村由貴絵

コロナのせいで主要歌手の多くに加え、指揮の飯守御大(体調不良)までもが降板・交代した。

ギリギリで決まったジークムント役は2人で1-2幕を分担し、オケは縮小版と、もう満身創痍の「ワルキューレ」だったが、蓋を開けたら見事な初日で、観客は最後は満場総立ちで歌手達の健闘を讃えた。

前半の最重要歌手・ジークリンデ役の小林厚子という人は初めてだったが、もう1幕冒頭の第一声と佇まいでこれはヨシッ!と思った。経歴から見て、今回は大抜擢なのかも…としても見事な歌と演技だった。






後半の最重要歌手・ブリュンヒルデは琵琶湖リングで経験済みの池田香織で安定感。
最初は色気不足を感じたが、色気は「ジークフリート」で発揮してくれたらいいや。

それより、ラストのヴォータンとの別れ。父と娘(この関係は怪しいぞ)が抱き合い、父はブリュンヒルデから神性を奪い長い眠りにつかせるところで、僕は「リング」史上初めて落涙しそうになった。





問題のオケは管弦とも本数では約6割。

大野監督がYouTubeで解説しているが、管の不足は持ち替えでカバーしているそうで確かに不満は感じなかった。

しかし、弦が本来型より23本少ないので部分的に響の薄さを感じたが、これも最初からアッバス版と知って聴くのでそう思ったのかもしれない。

まずもって東響は善戦した。

ともかく、不安要素の多い幕開けだったが、なんてことはない。堂々たる「ワルキューレ」を心底楽しんだ。

あと4公演あるので、もう一度、今度は安い席で観ようかとチェックしたらいずれの公演日もS席が僅かしか残っていなかったので諦めたが、オペラファンとしては喜ばしい限りだ!

♪2021-023/♪新国立劇場-03

2021年3月9日火曜日

3月国立劇場 歌舞伎公演

2021-03-09 @国立劇場


令和3年3月歌舞伎公演『時今也桔梗旗揚』
《歌舞伎名作入門》

●入門 歌舞伎の“明智光秀”

●四世鶴屋南北=作
中村吉右衛門=監修
時今也桔梗旗揚(ときはいまききょうのはたあげ)三幕

序 幕 饗応の場
二幕目 本能寺馬盥の場
大 詰 愛宕山連歌の場


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●「入門 歌舞伎の“明智光秀”」
ご案内                片岡亀蔵

●『時今也桔梗旗揚』
武智光秀              尾上菊之助
小田春永              坂東彦三郎
光秀妻皐月          中村梅枝
森蘭丸                  中村萬太郎
光秀妹桔梗          坂東新悟
森力丸                  中村鷹之資
山口玄蕃              中村吉之丞
住職日和上人        片岡亀蔵
連歌師宇野丈巴    河原崎権十郎
安田作兵衛            中村又五郎
                                          ほか


「時今也桔梗旗揚」(ときはいまききょうのはたあげ)

光秀が信長のパワハラに我慢ならぬと謀反を起こす物語。

初見だったが楽しめた。


主人公光秀役の菊之助(初役)のほかに信長役の彦三郎、片岡亀蔵、又五郎、梅枝、新吾などいずれも口跡の良いシャキシャキした中堅と若手が清新に舞台を引き締めた。


重鎮は一人も配役されていなかったが、役者の気合十分で、緩むところがなかった。


菊之助は白塗りがよく似合う。

彦三郎はホンに憎らしや!


この作品、本篇中に義太夫が全然使われていない。

鶴屋南北の作品には珍しくないみたいだが、寂しくもあり、一方で科白劇として分かり易かったのかもしれない。


本編に先立って、解説を片岡亀蔵が面白おかしく勤めたが、これもなかなかの見もの・聴きもので、夏の鑑賞教室のような構成だ。


それにしても、平日昼間なので、もとより観客層は限られるが、空席が目立った。こんな面白い芝居をもったいないことだ。


♪2021-022/♪国立劇場-03

2021年3月7日日曜日

新国立劇場オペラ「悩める劇場支配人」

 2021-03-07 @新国立劇場



ドメニコ・チマローザ:オペラ「悩める劇場支配人」

作曲:ドメニコ・チマローザ
台本:ジュゼッペ・マリア・ディオダーティ

【全1幕 イタリア語上演/字幕付】
予定上演時間: 約1時間50分(休憩なし)

指揮:辻博之
演出:久恒秀典
装置:黒沢みち
照明:稲葉直人(ASG)
衣裳コーディネーター:増田恵美(モマ・ワークショップ)

管弦楽:新国立アカデミーアンサンブル

出演:新国立劇場オペラ研修所
第21期生、第22期生、第23期生

フィオルディスピーナ⇒井口侑奏
メルリーナ⇒和田悠花
ドラルバ⇒杉山沙織
ドン・ペリツォニオ⇒仲田尋一
ドン・クリソーボロ⇒井上大聞
ジェリンド⇒増田貴寛
ストラビーニオ⇒森翔梧


新国立劇場研修生によるオペラは昨年コロナで流れたので一昨年の「ドン・ジョヴァ」以来だったが、このレベルは半端じゃなくて巧いと思う。

でも、今回のオケは少数だったか、迫力に欠けた。

明後日の「ワルキューレ」も管弦楽縮小版だというから心配になってきたよ。


「劇場支配人」(モーツァルトの音楽劇)ならぬチマローザの「悩める劇場支配人」は初めてだった。

上演されるようなオペラなら大抵、観賞経験があるか、映像ディスクを持っていると思っていたが、この作品はこれまで縁がなかった。果たして今回が日本初演だという。

AmazonでもYoutubeでも見当たらないのも宜なるかな。


お陰で予備知識なく臨んだが、そのせいもあって話が飲み込めず、音楽的魅力もいまいちであまり楽しむことはできなかった。


1幕ものとはいえ休憩なしで2時間近く、それが11景にも分かれる。レシタティーヴォがやたら多く、長く、オペラというより、これも音楽劇みたいだ。


そういえば、モーツァルトの音楽劇「劇場〜」も同年に発表されている。この当時の劇場支配人は辛いことが多かったのか!


♪2021-021/♪新国立劇場-02

2021年3月6日土曜日

モーツァルト・マチネ第44回「壮年期 X 名手モーツァルト」

2021-03-06 @ミューザ川崎シンフォニーホール



小菅優:ピアノ+弾き振り
東京交響楽団

ベートーベン:ピアノ協奏曲第0番変ホ長調 WoO4
モーツァルト:ピアノ協奏曲第23番イ長調 K. 488


ベートーベン、噂のピアノ協奏曲第0番を初めて生で聴いた。

13-4歳の作品だそうな。正直なところモーツァルトやハイドンとの違いが分からない。

繰り出される旋律はほぼ全て既視感ならぬ既聴感のある馴染み易いものばかり。だけど、独自の「発明」が感じられなかったのは若作りのゆえか。

ところで、ピアノ独奏部分以外は未完成だそうだが、今日の版はいったい誰の補筆なのか?解説には何にも書いてなかった。


後半はモーツァルトピアノ協奏曲第23番。

これはモーツァルト全27曲の中でも指折りの名曲ではないかな。昔、アマオケ時代に弾いたこともあってとりわけ愛着を感じている。


さて、演奏はどうだったか?

東響の弦の編成は対抗配置で6-6-4-3-2とこじんまり。

このサイズでは最近、神フィル@音楽堂での名演を聴いているので、つい比べてしまうが、やや残念な出来だったな。


小編成のオケは輪郭が明瞭なので好きだけど、この日はうまく響きが広がらなかったようだ。

名手小菅優も弾き振りなのでピアノは中央に縦に置いてお客に尻を向けている。反響板もない。そのせいか、ピアノの響もあまり美しくなかった。


♪2021-020/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-02