2018-06-04 @サントリーホール
ダニエーレ・ルスティオーニ:指揮
東京都交響楽団
フランチェスカ・デゴ:バイオリン*
モーツァルト:歌劇『フィガロの結婚』序曲 K.492
ヴォルフ=フェラーリ:バイオリン協奏曲ニ長調 op.26*
R.シュトラウス:交響的幻想曲《イタリアから》op.16
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アンコール
パガニーニ:24のカプリースから第13曲
折込チラシで予定されていたコンマスの矢部くんが急病で、神奈川フィルソロ・コンマスの﨑谷くんが代打に立った。こういう場合の代打コンマスって、オケ(の演奏)にどの程度関与しているのだろう。ひょっとしてゲネプロからの参加…なんてことはないだろうけど、十分リハーサルもできていないだろうし、そうまでして外部からコンマスを迎える必要があるのだろうか。都響には矢部くん以外にも四方、山本の2人のコンマスが居るのだからそのどちらかを使えばいいのではないか、と不思議に思う。
「フィガロの結婚」は元気の良い出だしだったが、テンポが良すぎたか、細かいフレーズの粒立ちが悪かった。
ヴォルフ=フェラーリのバイオリン協奏曲は初聴きだった。
だいたい、フェラーリって作曲家を知らない…と思っていたが、間奏曲「マドンナの宝石」 の作曲なんだ。有名な曲だけど、作曲者については知らなかったなあ。「乙女の祈り」を知っていても作曲者のバダジェフスカ(子供の頃は「バダルゼフスカ」と覚えていたな。)は知らないようなものだ。
フェラーリは1876年生まれ(1948年没)なので、ラヴェル(1875年)、ファリャ(76年)、レスピーギ(79年)などとほぼ同時代。作品はほとんど20世気に入ってから作曲されており、このバイオリン協奏曲も初演は1944年だそうな。
それにしては、全曲がロマン派の初期〜中期ぽくて、完全な調性音楽で、しかも甘美で親しみやすい。
また、独奏バイオリンのフランチェスカ・デゴはほぼ2年ぶりに聴いたが、前回の東響とのショスタコ協奏曲第1番の時と同様、実に迫力がある。楽器の音色もとてもきれいで、良く鳴って華やかで、先月のテツラフ(N響)やハンスリップ(読響)と比べても聴き劣りしない名演だった。まだずいぶん若そうだが、実力の程はアンコールの無伴奏でも納得させてくれた。
不思議なことに、この時東響を振ったのが、今日のダニエーレ・ルスティオーニだった。彼のお好みでデゴを指名したのかもしれないな。
メインがR.シュトラウスの交響的幻想曲「イタリアから」**だった。これも僕は初聴きだったと思う。冒頭のハーモニーがレスピーギのローマ三部作を彷彿とさせるいかにもイタリアっぽい響で始まった。オケの編成もやたら大きく、ここまで弦5部を膨らませる必要があるのか、とも思ったが、部分的にはその大編成が奏功して厚みのあるアンサンブルを聴かせてくれた。
ゲストコンダクターのルスティオーニは、終曲と同時に指揮台の上でくるりと身を翻し客席に向いた。どうだ、良かったろう!と言わんばかり。この派手な身のこなしが観客に受けてカーテンコールは歓呼の声に包まれた。御本人も満足の出来栄えだったようで、非常に喜んでいる姿に好感できた。
**プログラムには「イタリアより」と書いてあったが、fromの意味なので「から」が正しい。「より」では、イタリアよりどこか良いところがある…という意味ならそれでもいいけど。同じくドボルザークの「新世界から」を「新世界より」と表記する例が少なくないが、どうも気分が悪い。
♪2018-063/♪サントリーホール-06