2017-10-24 @国立劇場
平成29年度(第72回)文化庁芸術祭主催
四世鶴屋南北=作
奈河彰輔=監修
国立劇場文芸研究会=補綴
通し狂言 霊験亀山鉾<れいげんかめやまほこ>四幕九場
― 亀山の仇討 ―
序 幕 第一場 甲州石和宿棒鼻の場
第二場 同 石和河原仇討の場
第三場 播州明石網町機屋の場
二幕目 第一場 駿州弥勒町丹波屋の場
第二場 同 安倍川返り討の場
第三場 同 中島村入口の場
第四場 同 焼場の場
三幕目 播州明石機屋の場
大 詰 勢州亀山祭敵討の場
(出演)
片岡仁左衛門⇒藤田水右衛門/古手屋八郎兵衛実は隠亡の八郎兵衛
中村歌六⇒大岸頼母
中村又五郎⇒石井兵助/石井下部袖助
中村錦之助⇒石井源之丞
片岡孝太郎⇒源之丞女房お松
中村歌昇⇒若党轟金六
中村橋之助⇒大岸主税
中村梅花⇒石井家乳母おなみ
片岡松之助⇒藤田朴庵/縮商人才兵衛
上村吉弥⇒丹波屋おりき
坂東彌十郎⇒掛塚官兵衛/仏作助
中村雀右衛門⇒芸者おつま
片岡秀太郎⇒石井後室貞林尼 ほか
10月4日に第1回目を観たが、なにしろ全4幕9場もあり、人間関係の飲み込めない部分もあって、本来の面白さを堪能できなかった感じもしたので再度観ることにした。
今度は2回目であるから話の筋はよく分かった。
悪の化身ともいうべき藤田水右衛門(仁左衛門)がそもそも卑怯な闇討ちで殺した石井右内の係累による仇討ちを、悪知恵を働かせ、卑怯な手段を用いて次々と返り討ちにしてゆく。
まずは弟石井兵介には正式な敵討ちの場で毒を盛ることで斬殺。
右内の養子石井源之丞と右内の部下であった轟金六を騙しておびき寄せ、落とし穴に脚を落としたところを多数で斬り掛かり斬殺。
源之丞の子を身ごもっていた愛妾おつまも腹の子もろとも刺し殺す。その後、水右衛門は憎々しげに指折りながら一体何人殺したものかとほくそ笑む。
石井右内の係累はもはや少なく、孫の源次郎は奇病を患い立つこともできない。果たして…。
仁左衛門の芝居はこれまでも何度も観ているけど、大きな役としては「毛谷村」の六助ぐらいのもので、どういう訳か巡り合わせが悪くてこういう通し狂言での主役の仁左衛門を見るのは初めてだった。2度も同じ舞台を観て、なるほど、人気者の仁左衛門だと得心した。
また、ほかの役者では、やはり雀右衛門が巧いな。今回は仁左衛門演ずる八郎兵衛とも水右衛門とも斬り合う場面があるが、そういう場面でもまったくもって女性としか思えない身体の動きに大いに感心する。また、顔立ちよくてきれいだから得をしているな。その点、片岡孝太郎などは顔立ちで損している。父親の仁左衛門は端正な顔立ちなのに…。
ほかに好きなのは彌十郎と又五郎。とくに又五郎はスッキリはっきりしていていい。
♪2017-166/♪国立劇場-16