2017年8月25日金曜日

読響サマーフェスティバル2017 ≪ルイージ特別演奏会≫

2017-08-25 @みなとみらいホール


ファビオ・ルイージ:指揮
読売日本交響楽団

R.シュトラウス:交響詩「ドン・ファン」
ハイドン:交響曲第82番「熊」
R.シュトラウス:交響詩「英雄の生涯」(第1稿)

8月はどこのオケも定期演奏会はお休みだが、代わりに「夏祭り」の類の演奏会が結構多い。なかなか休ませてはくれないようだ。

読響の場合は、「読響サマーフェスティバル2017」と題して東京・横浜で3種類のプログラムで4日間の演奏会があった。
うち、2回は、夏休みの子供もターゲットにしたのか、いわゆる「名曲コンサート」だったが、一味違うのが、東響と横浜で開かれた≪ルイージ特別演奏会≫だった。
R.シュトラウスの「ドン・ファン」と「英雄の生涯」に間にハイドンを挟んでいるが、それも82番の「熊」だ。大抵の人は知らないのじゃないだろうか。かくいう僕もCDは持っているので、事前に聴いてはおいたが、生演奏は初めてだった。

メインに据えられたR.シュトラウスだって、さほどポピュラーとはいえない。つまり、「通好み」の選曲だ。ま、そこが良かったから、聴きに行こうと思ったのだけど。

ルイージは4月にN響で聴いて、複雑な思いをしたところだ。マーラーの1番を見事に俗っぽくケレン味たっぷりに振ったので、大いに驚いたのだが、しかし、あれこそ、マーラーのあるべき解釈かも、と後日になって思い始めたりしているが。
その時の演奏はNHKクラシック音楽館で放送したものを録画してあるので、落ち着いたときにじっくり聴き直したいと思っているが、なかなかその隙がない。

さて、今日のR.シュトラウスは、全く、文句のつけようのない素晴らしい演奏だった。リハーサルの時間は決して十分とはいえなかったろうと思うが、ハイドンも含め、ルイージの音楽が細部に至るまで、毛細血管が指の先まで血液を巡らせるように行き渡っているのを感じた。指揮とオケの呼吸の一体感も聴き手に伝わってくる。

もとより、R.シュトラウスのオーケストレーションは凝りに凝っていて、「英雄の生涯」のように超特大編成(4管編成で弦は16型?)から繰り出される重量級の厚みのある弦の響やブラスの咆哮は聴き手にアドレナリンを大量放出させる。
一方で、繊細なバイオリンソロや終曲の僅かに聴き取れるチェロのピチカート(CDでは聴こえないと思う。)に至るまで、静謐な中にも力は漲っていた。

久しぶりに、素晴らしい”管弦楽”の愉しさを、みなとみらいホールという名機で堪能するまで味わうことができた。

ますます、ルイージのマーラーを聴き直さねばならないな。

♪2017-141/♪みなとみらいホール-31