2019年12月26日木曜日

N響「第九」Special Consert <第九⑩>

2019-12-26 @サントリーホール


シモーネ・ヤング :指揮
NHK交響楽団
東京オペラシンガーズ 

マリア・ベングトソン:ソプラノ
清水華澄:メゾ・ソプラノ
ニコライ・シュコフ:テノール
ルカ・ピサローニ:バス・バリトン
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勝山雅世:オルガン*

ヘンデル:音楽時計のための小品集 ―「天使の飛行のためのヴォランタリー」ハ長調 HWV600、ジーグ ハ長調 HWV589*
アルビノーニ:アダージョ(原曲:オーボエ協奏曲 ニ短調 作品9-2 ― 第2楽章)*
J.S.バッハ:前奏曲とフーガ ト長調 BWV541*
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ベートーベン:交響曲第9番ニ短調「合唱付き」作品125

今年最後の鑑賞。今年最後の「第九」。
「第九」は10回も聴いたがN響を最後にしておいて良かった。これまでの9回(うちアマ2回)の不満をほぼ解消してくれる上出来だった。

さすがにN響ではある。
冒頭を聴いただけで格の違いを感じ、愈々本物が始まったと分かった。

合唱は90人と小編成だが、お客を入れないP席に配置される。独唱は指揮者周りに2人ずつ。
弦編成は16型。

見た目にもダントツに高い入場料にふさわしいラグジュアリー感があるが、見かけだけではなかった。
弦の透明感、何よりアンサンブルの美しさは格別だ。

最前列独唱陣は声部の絡みも明瞭だった。

第1、第3楽章の一部にテンポを落とすところがあったが、聴き慣れないもので、違和感を感じた。

過去のN響ではヤルヴィ、ブロムシュテットには及ばないがエッシェンバッハよりは好き。ヤノフスキーと同じくらいか。

今年は217回を数える忙しい鑑賞生活だったが、1年を締めくくるにふさわしい好演だった。

♪2019-217/♪サントリーホール-11

2019年12月25日水曜日

東京都交響楽団 都響スペシャル「第九」<第九⑨>

2019-12-25 @東京文化会館


レオシュ・スワロフスキー:指揮
東京都交響楽団
二期会合唱団

安井陽子:Sp
富岡明子:Ms
福井敬:Tn
甲斐栄次郎:Br

ベートーベン:交響曲第9番ニ短調「合唱付き」作品125

前半は音楽に集中できず考え事をしていた。途中から、これはイケナイと考え直して集中に努めたが、その前半(1、2楽章)、上の空で聴いたとはいえ弦の響に難あり。管・打も迫力不足。
都響も3日連続で疲れが出たのではないか?

これまで聴いた8回で弦編成が16型だったのは、アマの横響とやっぱり!今日の都響だけ。
大勢並んだ上に独唱4人を指揮者横に2人ずつ並べたので窮屈なこと。スワロフスキーは何度も福井敬の頭を叩きそうに見えた。4楽章バリトン独唱が入った途端指揮棒を落としかけたのは福井に指揮棒が当たりそうだったから?

3楽章以降は弦が落ち着いた響きで心地よく、都響の久しぶりに良い管弦アンサンブルを聴いた。
前方に配した独唱陣もよく声が通り、二期会合唱団もマズマズの出来。
先日の横響@県民ホールと同様、額縁舞台では合唱団を後方に配置したせいで舞台前に押し出されたオケの響が結果的にとても良かった。

♪2019-201/♪東京文化会館-10

2019年12月22日日曜日

横響第699回定期演奏会 横響・第九演奏会<横響定期第九70回記念・横響と第九を歌う会50周年記念> <第九⑧>

2019-12-22 @県民ホール


飛永悠佑輝:指揮
横浜交響楽団
横響合唱団
横響と第九を歌う会合唱団

横山和美:Sp
松浦恵:Alt
工藤和真:Tn
池内響:Br

ワーグナー:楽劇「ニュルンベルグのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲
ベートーベン:交響曲第9番ニ短調「合唱付き」作品125

「第九」はあと2回残っているが、今日のはそれらを聴かなくとも全10回中最大の「第九」であり、最高とも言えるかも。

横浜交響楽団の《第699回》定期演奏会であり、《第70回》目の「第九」だそうだ。
それほどの歴史を有するアマオケは他に存在しないだろう。毎年の最後の定期演奏会が「第九」だ。

横響の普段の定期は音楽堂だが、「第九」だけは県民ホールに舞台を移す。何しろ、合唱団が640人(今回)も並ぶのだから音楽堂では合唱だけでも入りきらない。
加えて横響の弦編成は16型。これが「最大」の所以也。

その数の迫力に圧倒されるので、他の団体の演奏では得られない不思議な陶酔感が生まれてくる。
これが「最高と言えるかも」の所以也。

実際、処々プロの演奏と聴き違えそうなフレーズにハッとした。全体としてとても良い出来栄えだった。

今日の舞台も当然拡張してあるが、昨日の神奈川フィルに比べ、オケは640人の合唱に押し出されるように、だいぶ舞台の前に位置した。この配置が響を良くしたと思う。

最後は、恒例の蛍の光を客席共々歌い、コーラスがハミングに変わるとお客はオケと合唱団の演奏を聴きながら席を立つ。
合唱団も数が多いので仲間の歌を聴きながら少しずつ袖に消えてゆく。

今年も元気で横響の「第九」を聴けて良かった…なんてお客さんの声も耳にしながらホクホク気分で帰路についた。


♪2019-215/♪県民ホール-07

2019年12月21日土曜日

神奈川フィルハーモニー管弦楽団特別演奏会 ベートーベン「第九」<第九⑦>

2019-12-21 @県民ホール


下野竜也:指揮
神奈川フィルハーモニー管弦楽団
神奈川フィル合唱団

石橋栄実:Sp
林美智子:Ms
谷口洋介:Tn
久保和範:Br

マルティヌー:リディツェへの追悼
ベートーベン:交響曲第9番ニ短調「合唱付き」作品125

管・弦・声楽のバランスの良い演奏…というより、プロセニアム・ホールの良さが発揮されたのかな。4方を反響板に囲まれたステージからはとても心地の良い響きが届いた。残響不足で硬い音になりがちだが、今日は合唱団が後ろに並び、オケはピットを潰して拡大舞台。
その分、前に出ていたのが良かったのかも。

神奈川フィルも健闘した。シャカリキではなく、かなり抑えた調子だったがほとんど破綻がなかった。

欲を言えば、終楽章のレシタは下野氏独自の速いテンポで始まったが、前半僅かに15人の呼吸が合っていなかった。

声楽独唱は大舞台の奥からだがよく通った。

その独唱はどこで入場したか?今年6回聴いていずれも2楽章の後だ。
しかし今日は違った。3楽章が終わっても登壇しない!
低弦レシタの開始前に静々と登場したのは如上の経緯から当然予期されたが多分初体験だ。

「2楽章の後に入るが拍手禁止」とお願いされた演奏会も過去に経験しているが、まさか拍手を嫌って?

♪2019-214/♪県民ホール-06

2019年12月20日金曜日

みなとみらいクラシック・マチネ~名手と楽しむヨコハマの午後〜 北村朋幹(ピアノ)

2019-12-20 @みなとみらいホール


北村朋幹:ピアノ

【第2部】
ブラームス:6つの小品 Op.118
ベルク:ピアノ・ソナタ Op.1
ブラームス:4つの小品 Op.119
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ラッヘンマン:「子供の遊び」から第7曲「影のダンス」

みなとみらいホールのクラシック・マチネは2部・2公演でどちらか一方を購入しても、両方聴いてもいいが、通しだと元から安い料金がなお安くなり、年間セット券を買うとさらに安くなる。僕はセット券組だ。なので、いつもは第1部から聴いているが、今回は寝坊して間に合わず2部から。

北村朋幹はこれまでオケとの共演や室内楽で何度か聴いていたが、ソロは初めて。
プログラムは両部ともブラームスがヴェーヴェルンorベルクを挟む構成で、楽しみのブラームスは3つの間奏曲集などは1部で聴き逃したが、6つの小品、4つの小品を聴いた。いずれも曲集として聴く機会の少ない作品なので満足。

それにしても、愛想のない青年である。1セットが終わっても客席に顔を向けず、客席も拍手もして良いのかどうか迷う。
パラパラの拍手を聞きながらもう次の作品に取り掛かり、以下同様。流石に最後は立ってお辞儀をしていたように思うが。

まあ、演奏家に愛想の良さは求めないけど、拍手は受けるべきだ。

このシリーズは、大抵演奏者がマイクを持って曲の説明をしてくれたりするが、それもなく(1部は?)、ひたすら孤高の求道者の如しであった。
アンコールが聴き慣れぬ作曲家の作品で、ピアノ線に何か挟んで、高音部の1つのキーをひたすらリズミカルに叩きつけるだけ。
プリペアド・ピアノの一種なのだろう。しかし、これって音楽じゃないぞ!と保守的な僕は思う。

♪2019-213/♪みなとみらいホール-58

2019年12月19日木曜日

新日本フィル「第九」特別演奏会<第九⑥>

2019-12-19 @サントリーホール


大友直人:指揮
新日本フィルハーモニー交響楽団
栗友会合唱団(合唱指揮=栗山文昭)

ソプラノ:砂川涼子  
メゾ・ソプラノ:加納悦子
テノール:藤田卓也(笛田博昭の代役)
バス:妻屋秀和
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安住素子:オルガン

【第1部】〈オルガン独奏〉オルガン=安住素子
J.S.バッハ:トッカータとフーガ ニ短調 BWV565
ベートーベン:音楽時計のための5つの小品 WoO33から スケルツォとアレグロ
【第2部】〈第九〉
ベートーベン:交響曲第9番ニ短調「合唱付き」作品125

昨日に続いてサントリーホールで新日フィルを数列後ろの同番号席で聴く。
ソプラノが我がマドンナ砂川涼子というだけで嬉しいが、全体としても期待どおりの出来栄えだった。
合唱団(栗友会)もこれまで5団体聴いた中で高域が一番良く出ていた。
その合唱団の前にオケが並ぶので、やはり管の歯切れは今一つだったが。

これは新日フィルだけでなくどのオケでも同様。

第九はあと4回残っているが、合唱団をP席に並ばせるの(が可能な)はサントリーのN響だけだ。人垣の前と反響板の前で管の音色がどう変わるかしっかり聴いてみよう。

この共通問題を除いて、今日も新日フィルは高水準の演奏だった。すみだトリフォニー、みなとみらいホール、サントリーホールとどこで聴いてもまず外れがない。

指揮の大友氏は滅多に聴かないけど、これまた正統派の第九だ。もし音楽監督の上岡氏が振っておればきっとタダでは済まない演奏になったろうに、ちと残念。
欲を言えば、終楽章の低弦のレシタティーヴォ、前半の呼吸が少し乱れたやに聴こえたが。
今日は事件・事故もなく、安全・安心の第九だった。

♪2019-212/♪サントリーホール-10

2019年12月18日水曜日

読響「第九」特別演奏会<第九⑤>

2019-12-18 @サントリーホール


アイヴァー・ボルトン:指揮
読売日本交響楽団
新国立劇場合唱団(合唱指揮=三澤洋史)

ソプラノ:シルヴィア・シュヴァルツ  
メゾ・ソプラノ:池田香織
テノール:小堀勇介  
バリトン:トーマス・オリーマンス
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福本茉莉:オルガン

【第1部】〈オルガン独奏〉オルガン=福本茉莉
J.S.バッハ:コラール「目覚めよ、と呼ぶ声あり」BWV645
ブルーンス:前奏曲 ト長調
【第2部】〈第九〉
ベートーベン:交響曲第9番ニ短調「合唱付き」作品125

昨日に続いて同じ読響をサントリーで聴く。席もほぼ同じ。
藝劇のように音が籠るようなことはないのだけど、ホルンに関しては今日もメリハリがなかった。
指揮者の好みかもしれないが、ホルン奏者にすれば合唱団を背中にしては音が吸い込まれて表に反響しづらと思うが…。

2楽章終盤に珍しい事故が起こった。
ティンパニーの皮が破れたのだ。
小節の頭にドンと打った途端ピシーッという聴き慣れぬ音が。

その後の奏者の挙動で皮が破れたと分かったが、その後は残る2個で演奏したようだ。

まあ、そんな事故もあったが、TV収録は昨日済ませているし(26日放映)、ナマゆえの珍事もベートーベンの偉大さをちっとも損ねることはなく、むしろ、客席も舞台上も和やかな空気になって、怪我の巧妙だったかも。

♪2019-2110/♪サントリーホール-9