2023年2月11日土曜日

未来へつなぐ国立劇場プロジェクト 初代国立劇場さよなら公演 近松名作集第Ⅲ部 女殺油地獄

2023-02-08@国立劇場




第3部(18:30時〜20:57)
近松門左衛門=作
女殺油地獄 (おんなころしあぶらのじごく)
◎徳庵堤の段
 南都太夫・亘太夫・津國太夫・文字栄太夫・薫太夫
 /清𠀋
◎河内屋内の段
 口 咲寿太夫/團吾
 奥 靖太夫/清志郎
◎豊島屋油店の段
 切 呂太夫/清介

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人形役割
女房お吉⇒一輔
河内屋与兵衛⇒勘十郎
山本森右衛門⇒勘市
豊島屋七左衛門⇒勘彌
河内屋徳兵衛⇒勘壽
徳兵衛女房お沢⇒文昇
河内屋太兵衛⇒清五郎
妹おかち⇒紋臣




























今月の文楽公演は近松名作集。
「女殺油地獄」は最晩年の作(ひょっとして絶筆か)。
「心中天網島」は3時間半を超えるがこれは2時間30分と短く、話がよく纏まっていて分かり易い。

過去にも鑑賞歴があるが、歌舞伎も含め、今回の公演が一番面白かった。

今回は三段構成でそれぞれの段は趣を異にしているが、序破急の典型のようで、作劇の巧さを味わった。

一段目は、主要人物の紹介と事件端緒を野崎参りの賑やかな茶店で描き、
二段目はどうにもならない性悪与兵衛と親のとの葛藤を、
三段目は、それでも見捨てることができない親の情け。

段々と舞台は暗くなってゆく。A

親の情けを知りつつも、与兵衛は豊島屋女房お吉へ強引な金の無心。断られた与兵衛は脇差でお吉を刺す。切る。抉る。
逃げるお吉も追う与兵衛も油まみれ・血まみれの凄惨図。
油敷の床で与兵衛もお吉も思うに任せず、よく滑ること。
この迫力がコワイ。

遂に息絶えたお吉から鍵を盗み、与兵衛は金を奪って夜のしじまに消えてゆく。途中、血まみれの脇差を「栴檀の木橋」から捨てる、とある。北浜から今でいう中之島公会堂を結ぶ橋だ。個人的には懐かしい。

今日の公演は三段目までだったが、18年に観た時は、四段目「逮捕の段」があり、与兵衛は捕まるがそれで気分がスッキリするような話でもない。

今回のように、悪事を尽くして逃げ落ちるところで幕にした方が怖さも一入という気がする。

一人の悪に周りが振り回され、救いは全くない。

悄然と劇場を出た。

♪2023-024/♪国立劇場-02

神奈川フィルハーモニー管弦楽団 第383回定期演奏会

2023-02-11 @みなとみらいホール



下野竜也:指揮
神奈川フィルハーモニー管弦楽団
野田清隆:ピアノ*

尾高惇忠:ピアノ協奏曲*
ブルックナー:交響曲第6番イ長調WAB.106(原典版)
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尾高惇忠:春の足音*


先週、N響は尾高忠明から見て指揮で、忠明の父の尚忠のチェロ協奏曲を。今日は忠明の兄の惇忠のピアノ協奏曲を聴いた。6月東フィルも惇忠作品を取り上げるが、記念年だろうか?

尚忠と惇忠では1世代違うからか、音楽がだいぶ屈折的で、現代音楽撲滅協会参与としては楽しめなかった。ピアノの音はコロコロと輝いて魅力的。

オケの演奏は1曲目も良かったが、ブルックナー第6番はずっと良かった。

好きな音楽ではないけど(7番に対してらしいが、ハンスリック曰く『不自然におおげさで、病的で、破滅的である…』と書いているそうだ。全く6番も同様だと思う。)、合奏力は示した。弦はコンパクトな12型編成。良さびさにコンマスに就いた石田組長の好みを反映してか、細くて透明感を発揮。
管楽器も上出来で、管弦楽としてもの面白さは味わった。

♪2023-025/♪みなとみらいホール-04

2023年2月8日水曜日

未来へつなぐ国立劇場プロジェクト 初代国立劇場さよなら公演 近松名作集第Ⅰ部 心中天網島

2023-02-08@国立劇場


第一部
(11:00時〜14:32)
近松門左衛門=作
心中天網島 (しんじゅうてんのあみじま)
◎北新地河庄の段
 中 睦太夫/勝平
 切 千歳太夫/富助
◎天満紙屋内の段
 口 希太夫/友之助
 奥 藤太夫/團七
◎大和屋の段
 切 織太夫(咲太夫の代理)/燕三
◎道行名残の橋づくし
 小春  芳穂太夫
 治兵衛 小住太夫
     亘太夫・聖太夫
      /錦糸・寛太郎・清公・清允・清方

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人形役割
紀伊國屋小春⇒清十郎
花車⇒紋秀
江戸屋太兵衛⇒玉助
五貫屋善六⇒簑紫郎
粉屋孫右衛門⇒玉也
紙屋治兵衛⇒玉男
女房おさん⇒和生
倅勘太郎⇒勘昇
おさんの母⇒蓑一郎
舅五左衛門⇒玉輝


今月は近松名作集だ。誰の作であれ、一般的に時代物は荒唐無稽なものも少なくないが、世話物はリアルな筋立てで密度が高い。特に近松の心中物は話の歯車が外れない。

今回で3度目だが成程巧くできていると感心できたのは一歩理解が深まったか。

構成や詞章の巧さには感心できても、相変わらず、主人公の紙屋治兵衛には全く共感できない。こんな甲斐性なしの男に惚れた挙句心中する遊女小春にも同情できない。
すると、話の中心は治兵衛の女房おさんにあるな、と今回思い至った。彼女を軸に据えて脳内再構成すると話に求心力が出てきそう。

最終段「道行名残の橋づくし」は、良くできている。
ここへ来て浄瑠璃も太夫4人に三味線5人と大編成になる。
終始暗い舞台で、2人の情死行が渡る橋の名を織り込んだ義太夫節が流れる中、遂に、網島の寺の境内で全うする。少し離れて絶命するのはおさんへの気遣いらしい。
この絵が美しい。

♪2023-024/♪国立劇場-02

2023年2月7日火曜日

神奈川フィル”ブランチ”ハーモニーin かなっく Vol.6 〜神奈川フィル打楽器アンサンブル〜

2023-02-07 @かなっくホール



篠崎史門:首席ティンパニ奏者
清水由喜男:ティンパニ・打楽器奏者
堀尾尚男:ティンパニ・打楽器奏者
岡田満里子:ティンパニ・打楽器奏者

フィリドール兄弟:2組のティンパニのための行進曲
アクトン・オストリング:打楽器の為の組曲
スティーヴ・ライヒ:クラッピング・ミュージック
ジョン・ケージ:リビング・ミュージック




「神奈川フィル”ブランチ”ハーモニーin かなっく」シリーズ6回目。
今日は珍しいことに、打楽器のアンサンブルだ。かなっくHのレジデンスアーチストでもある篠崎史門を中心に4名がいろんな打楽器を使い分けて、打楽器音楽を追求する?興味深い企画だ。

このシリーズでは、神フィル主幹の榊原氏が上手なMCで進行するので面白く聴くことができる。

4人の作曲家の4つの作品だったが、最初の2人は名前も知らなかった。また音楽も予想を超えるものではなかった。

残る2人のうち、まず、ライヒ。
手拍子音楽?の発明者?
客席も参加したが僕は途中でリズムについてゆけなくなった🥵。幼稚園のお遊戯じゃないぞ…とか考えてはいけない。

最後は有名なジョン・ケージの作品。
リビング・ミュージックは一応4楽章?作品で、楽譜もある。舞台をリビングに見立ててソファーやテーブルを配置し、普段着に着替えた奏者がくつろいだ風で箸やスプーン、机を手で叩いたり、声だけの合奏もある。

こういう「音楽」に感動は無縁だが、考えさせられた。「音楽」ってな〜に?

♪2023-023/♪かなっくホール-03

2023年2月5日日曜日

名曲全集第184回 祝・ラフマニホフ生誕150周年企画第2弾! 「ピアノ協奏曲第2番」

2023-02-05 @ミューザ川崎シンフォニーホール



アレッサンドロ・ボナート:指揮
東京交響楽団
金子三勇士:ピアノ*

ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番ハ短調 op. 18*
リムスキー・コルサコフ:交響組曲「シェエラザード」op.35
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J.S.バッハ:G線上のアリア*



先月に続いてラフマ150年企画第2弾。
前回の上原彩子:パガ・ラプは実に素晴らしかった。
その前日、小菅優-日フィル:Pf協2番も大満足で、そう何度も続かないだろうとCOOLに構えていたが、この日のPf協2番も金子三勇士の緊張感漲る冒頭和音に引摺り込まれた。

1楽章の主題が2回目に登場する時のフレージングに違和感を感じたが、独自解釈か、オケとリズムが合わなかったのか、音楽の勢いというものかもしれない。

この楽章が終わった後に1F席のお客に挙動不審があり楽章間休止が間延びしたのは残念。
しかしその後はホンにピノピアノとオケの協奏に興奮!

終曲後、直ちにブラボーの声あり。
もう最近は野獣の咆哮ではなく”ブラボー”だ。
この日のミューザは満席完売だったようだが、(見える範囲で)最上階も鈴生りの盛況。カーテンコールは大いに賑わった。

アンコールがG線上のアリア。
もうなんだかありがたい神様のお告げのように聴こえたよ。

前回の名曲全集はメインのエルガー:交響曲第2番がイマイチ楽しめなかったが、今回は「シェエラザード」だ。初聴きのAボナードの棒が東響と性に合っているのか、Pf協よりさらなる名演を引き出した。小林壱成はじめ、あちこちに散りばめられたソロがうまい。
弦の透明感もまずまず。

何と言っても最大の功績はThe Brass!だ。Rコルサコフの管弦楽法の巧さでもあると思うけど、美しい音色で自在な色彩をつけてゆく。
で、今月は2本ともたらふく満足できた。

それにしても、何故、こんなにお客が入ったのだろう?
チケ完売といっても、ここまで賑わったことはないと思うなあ…。


♪2023-022/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-04

2023年2月4日土曜日

NHK交響楽団1977回A定期 01月公演

2023-02-04 @NHKホール




尾高忠明 :指揮
宮田大:チェロ*

尾高尚忠:チェロ協奏曲イ短調 作品20*
パヌフニク:カティンの墓碑銘
パヌフニク:管弦楽のための協奏曲
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瀧廉太郎:荒城の月*



初聴きが2曲。
尾高尚忠:チェロ協奏曲
約40分の大作。現代(1943)の音楽だけどとても聴きやすい音楽だった。あまり「和」を強調することなく、独墺規格で勝負したのだろうか。宮田大は尾高忠明とこの曲を以前手掛けているそうだが、チェリストにとっては大変な難曲のように聴こえた。

パヌフニク:カティンの墓碑銘。
金管はチューバのみ。8分程度の小品だが、重苦しいこと。最弱音から徐々に音量を上げて打撃音で終わる。
作曲意図は、ナチス・ファシズムへの警鐘だったようだが、その後、カティンの森事件はスターリンによる内部粛清だったと判明したらしい。殺されカティンの森に埋められたポーランドの軍人など計2万2千人。いずれにせよ悲惨。

ルトスワフスキ:管弦楽のための協奏曲。
ルトスワフスキは何度か聴いているが、ほとんどこの作品ばかり。他には交響曲3番だけ。
東響-N響-東響-N響と2つのオケで繰り返し聴いた。
とても好き!とは言えないが、管/打鍵が大勢投入された大編成オケで俗っぽく刺激に満ちた音楽はけっこう面白い。

♪2023-021/♪NHKホール-02

かなっくクラシック音楽部 フロイデコンサート2022 〜カシオペイア クァルテット〜

2023-02-04 @かなっくホール





カシオペイア クァルテット
 渡辺美穂:Vn1
 ビルマン聡平:Vn2
 村松龍:Va
 弘田徹:Vc

シューベルト:弦楽四重奏曲 第14番 ニ短調「死と乙女」D.810
モーツァルト:弦楽四重奏曲のためのアダージョとフーガ ハ短調 K.546
モーツァルト:弦楽四重奏曲 第15番 ニ短調 K.421
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モーツァルト:ディヴェルティメントニ長調 K.136から第1楽章


カシオペイア クァルテットは、かなっくホールの専属弦楽四重奏団(SQ)だ。彼らの演奏を聴くのは今日で2回目だが、コンマス(元大フィルコンマス)以外は新日本フィルとN響現役なので顔馴染み。メンバーが楽しそうに和気藹々と演奏しているのはとても好感。

モーツァルト作品がアンコール含め3曲。それにシューベルト「死と乙女」。

今回の企画は短調を聴く事?
アンコール以外はすべて短調。

普通メインに据えられる「死と乙女」が何故1番手なのか?
最後に回すと短調だらけのコンサートが短調のまま閉幕するから…と説明していたが。

確かに、ニ短調(死と乙女)⇒ハ短調(アダージョとフーガ)⇒ニ短調(SQ15番)だが最後の1小節でニ長調に転調⇒アンコールが完璧にニ長調と、暗い調子が土壇場で明転する仕掛け。
だからどうってこともないのだけど。

2曲目のSQの為のアダージョとフーガはなんとなく馴染みはあったが、じっくり聴いたのは初めて。アダージョの重苦しさはモーツァルト作とは思えない。Fuga主題にモツの面影はある。こちらはテンポがいいのでこれもちょっとした明転だ。

仲良し4人組が久しぶりの本番を嬉遊する音楽で明るく幕。

♪2023-020/♪かなっくホール-02