2024年5月30日木曜日

東京都交響楽団 第999回 定期演奏会Aシリーズ(井上道義:都響最後の演奏会)

2024-05-30 @東京文化会館



井上道義:指揮
東京都交響楽団

ベートーべン:交響曲第6番ヘ長調 op.68「田園」
ショスタコーヴィチ:交響曲第6番ロ短調 op.54




ミッキーが都響を振る最後のコンサートだった。
ベト・タコ6番で有終の美を飾ったのは何故か分からない。

田園についてはミッキーらしい仕掛けもあって大いに楽しめた。
開演前に、田園については演出上客電を暗くするという注意があった。すると4楽章では客席と舞台にレーザー光線で雷鳴を光らせるのか、と思ったが、何にもなくて、何で暗くしたのか分からない。むしろ暗い客席との因果関係は分からないが楽章間の咳払いの賑やかなのには驚いた。

驚いたと言えば、第3楽章に入る時、上手の袖から管打の6人が入場し、何か変わったことでもやるのかと思ったら、普通に演奏をした。何だよ、この演出。
要するに、3楽章からしか出番のない6人が、途中入場しただけだよ。どういう意味があったのか分からない。
でも、Tp2、Tb2、Pic、Tympは3楽章まで出番がない。
Tbについては4楽章まで出番がない、ということがよく分かった。それは、まあ、勉強になったかな。

意表を突き、かつ、効果的だったのは、弦の編成を極小にしたことだ。「運命」でも16型でやる都響が、ミッキー版「田園」では8型なのだ(8-6-4-4-2)。まるで室内アンサンブルのような弦の響は、透明感があり、シャキシャキと明瞭で、あゝこういう「田園」を聴きたかった!と思い起こさせて、実に好感を持った。

もちろん、8型で前半6番をやったなら、当然後半の6番は16型で驚かすのだろうと思ったが、果たしてそのとおりだった。

過去数回しか聴いたことがないタコ6番(直近では18年秋の都響)。ほぼ初聴きに等しい。30分強のコンパクトな作品だし、それなりに楽しめたけど、先日のN響ニールセン2番を思い出して、ニールセンの方がずっと楽しめたと思った。第一、演奏力がだいぶ違った。
いつも思うが、16型にすればリスクも増える。前半のざわざわとまとまりの悪いアンサンブルは田園の透明感に比べたら話にならない。ただ、後半は大編成が生きてきて、終わりよければすべてよし。

カーテンコールはサービス精神旺盛なミッキーショウで大いに盛り上がった。

♪2024-076/♪東京文化会館-05

ランチタイムコンサート〜音楽史の旅 2024年① 〜ブラームスのピアノ〜

2024-05-30 @かなっくホール



倉田莉奈:ピアノ
司会・解説:飯田有抄(音楽ファシリテーター)

〜オール・ブラームス・プログラム〜
●16のワルツ Op.39 第15番 変イ長調「愛のワルツ」
 <1865年=32歳>
●ピアノソナタ Op.5 第3番 ヘ短調 第1楽章
 <1853年=20歳>
●2つのラプソディ Op.79 第2番
 <1879年=46歳>
●4つの小品 Op.119
  第1曲 間奏曲 ロ短調
  第2曲 間奏曲 ホ短調
  第3曲 間奏曲 ハ長調
  第4曲 ラプソディ 変ホ長調
 <1893年=60歳>
----------------------
●3つの間奏曲 Op.117 第1番変ホ長調
 <1892年=59歳>

作曲時の年齢は1833年(生まれ)と作曲年の差




恒例「音楽史の旅」。今年の前半はブラームス。
今日、第1回目はピアノ曲。

年代別サンプル集のようなプログラムだったが、それが良かった。
ブラームスはどの分野も好きだが、曲を聴くときに作曲年代を意識して聴くことはほぼなかった。
それで、ピアノソナタなんぞ、その風格から中年以降の作ではないかとばかり思っていたけど、3曲とも20歳前後の作だったとは驚いた。因みにバイオリンソナタの3曲は40〜50歳台の作曲で、こちらはなるほどと思うが。

今日は、1曲丸ごとは最後の4つの小品Op.119だけで、他は複数曲で構成される作品の中から1曲(1楽章)のみだったが、最初の導入としてよく知られている「愛のワルツ」から始まったものの、その後は年代毎の作品を並べて、作風がどう変化するかを聴き比べることができた。

と言っても、60歳の作品「4つの小品」を除けば、年代毎の特徴を顕著に理解した訳ではないけど、やはり、およその年代を頭に入れて聴くべきだなと思った次第。

もう一つ、印象に残ったのは、ピアノの音の素晴らしさ。
昨日のフィリアのStwもきれいだったが、今日はほぼかぶりつきの正面で聴いたせいもあったろうが、何と明瞭なことか。
前から響の良いホールではあるけど、今日のYAMAHAは本領を発揮したような煌めきがあった。

♪2024-075/♪かなっくホール-01

2024年5月29日水曜日

神奈川フィルの名手による室内楽シリーズ第18回 「フォーレ&ショーソン:フランス室内楽の名品」

2024-05-29 @フィリアホール



Vn:石田泰尚/直江智沙子*/小宮直
Va:大島亮*
Vc:上森祥平*
Pf:津田裕也*

フォーレ:ピアノ四重奏曲第1番ハ短調 Op.15*
ショーソン:バイオリン、ピアノと弦楽四重奏のための協奏曲ニ長調 Op.21
--------------------
ショーソン:バイオリン、ピアノと弦楽四重奏のための協奏曲ニ長調 Op.21から第2楽章




今回は、神奈川フィルの弦メンバーの中でも石田組長ほかトップクラスが集結した。

フォーレとショーソンと言われたら、俄然フォーレが楽しみで、そのピアノ四重奏曲第1番は過去屡々聴いている(なぜか2番は聴いたことがない?)。
ショーソンの今日の作品は初聴きだ。編成が2人大きく演奏時間も長いので、後半に置かれたのだろうけど、なんとなく消化試合みたいな気持ちでいた。

前半のフォーレがまず良かった。

良席が取れず(組長が入る回は難しい。)、2階最前列正面だったが、これが音圧も十分で、案外良い響だ。でも、もしかぶりつきで聴いたたらどんなに迫力があったろう、とは思いながら聴いたが。

休憩を挟んで、初聴きのショーソン。
タイトルどおり弦楽四重奏に独奏バイオリンとピアノが加わったもの。それで組長だけは立奏した。帰宅後Yotubeで調べたら、見た限りですべて同じスタイルだった。弦楽四重奏がオケの役割を果たすバイオリンとピアノのための協奏曲なのだ。

で、始まってみると、なんとも魅力的だ。
こ難しさがなく、分かり易い。
特に弦楽四重奏部分が、通常の室内楽とは明らかに異なる役割を受け持って、Tutti、それもユニゾンの部分が何箇所も登場した。そこは、独奏のバイオリンやピアノとの”協奏”を際立てて面白い。

組長のバイオリンは、いつものとおり、繊細で美しい。

終わってみると、やはり、これはショーソンが主役だったなと実感。
アンコールで、もう一度聞いてみたいと思った中間楽章…その第2楽章をやってくれたのもとても良かった。痒い所に手が届く気配り?

♪2024-074/♪フィリアホール-06

2024年5月25日土曜日

神奈川フィルハーモニー管弦楽団 県民名曲シリーズ第20回「嗚呼、昭和のレトロ・クラシック!」

2024-05-25 @県民ホール



沼尻竜典:指揮
松田理奈:バイオリン*
松下美奈子:ソプラノ**
池辺晋一郎:司会

【第1部】
スッペ:喜歌「軽騎兵」序曲
ケテルビー:ペルシャの市場にて
レハール:ワルツ「金と銀」
ヴォルフ=フェラーリ:歌劇「マドンナの宝石」から<第2幕への間奏曲>
ポンキエッリ:歌劇「ジョコンダ」から<時の踊り>

【第2部】
ヘンデル:歌劇「セルセ」から<オンブラ・マイ・フ>**
池辺晋一郎:大河ドラマ「黄金の日日」からテーマ
エルガー:愛のあいさつ*
クライスラー:中国の太鼓*
サラサーテ:ツィゴイネルワイゼン*
スメタナ:連作交響詩「わが祖国」から<モルダウ>
-------------------------------
オッヘンバック:喜歌劇「天国と地獄」から<カンカン>




クラシック音楽自体が、そもそもレトロで”クラシック”なのだから、今回の企画は”変”ではあるけど、確かに、平成以降ほぼ聴かなくなったような音楽もあったな。

加えて、前半の<時の踊り>以外の4曲はいずれも中・高時代に吹奏楽で演奏したものなので、実に懐かしかった。

昭和マニア?の沼さんと昭和の生き字引のようなダジャレの池辺さんによる漫談擬の話も面白くて、客席も舞台も大いに盛り上がった。

後半の選曲は特に<昭和>は無理があったね。トリを飾った「モルダウ」なんて神奈川フィルで3月に「我が祖国」全曲を聴いたばかりだけど、しかし、しみじみと美しい音楽だと思ったよ。

♪2024-073/♪県民ホール-2

2024年5月24日金曜日

横浜バロック室内合奏団定期演奏会109回 〜ドイツバロックの華

2024-05-24 @みなとみらいホール



横浜バロック室内合奏団
 Vn:小笠原伸子**/有馬希和子**/藤村陽子*
 Va:大本綾子
 Vc:中垣文子
 Cb:大西雄二
 Cemb:林則子

 Ob:松岡裕雅***
 Fl:高野成之****

J.S.バッハ:オーボエとバイオリンのための協奏曲ニ短調 BWV1060*
J.S.バッハ:2つのバイオリンのための協奏曲ニ短調 BWV1043**
C.P.E.バッハ:オーボエのための協奏曲変口長調 Wq.164***
J.S.バッハ:管弦楽組曲第2番ロ短調 BWV1027****
----アンコール-----------------
J.S.バッハ:G線上のアリア
J.S.バッハ:主よ、人の望みの喜びよ
 * ** *** ****は独奏者



今日までの1週間のオケはショスタコーヴィチ10番(日フィル)、マーラー3番(読響)、ニールセン2番(N響)と息苦しいまでの大編成ばかり続いた。

今日は、最大でも8人というバロックアンサンブルがとても新鮮。
バッハ(J.S.とC.P.E.)のOb、Fl&Vnの協奏曲というよく耳に馴染んだ心地の良い、そしてどこかメランコリックな調子にも癒された。
横バロの出来としても近年出色のアンサンブルだった。

気候もあまり暑くなく、気分がいいので臨港パーク経由で家まで歩いて帰ったよ。

♪2024-072/♪みなとみらいホール-18

2024年5月22日水曜日

新国立劇場オペラ「椿姫」

2024-05-22 @新国立劇場




【指揮】フランチェスコ・ランツィロッタ
【演出/衣裳/美術】ヴァンサン・ブサール
【照明】グイド・レヴィ
【ムーヴメント・ディレクター】ヘルゲ・レトーニャ
【合唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

ヴィオレッタ⇒中村恵理
アルフレード⇒リッカルド・デッラ・シュッカ
ジェルモン⇒グスターボ・カスティーリョ
フローラ⇒杉山由紀
ガストン子爵⇒金山京介
ドゥフォール男爵⇒成田博之
ドビニー侯爵⇒近藤圭
医師グランヴィル⇒久保田真澄
ほか

ジュゼッペ・ヴェルディ:歌劇「椿姫」
全3幕〈イタリア語上演/日本語及び英語字幕付〉

予定上演時間:約2時間45分
第Ⅰ幕・第Ⅱ幕1場
 75分
 --休憩30分--
第Ⅱ幕2場・第Ⅲ幕
 60分





個人的には、イタリアオペラの中で、これほど耳に馴染んだアリアが連射されるものはない。全編、ワクワクするような興奮に包まれる…はずだが、どっこいそうはいかん。

こう言っちゃ申し訳ないけど、前回、代打で登場した中村恵理は、そういう事情もあって、まずまず受け入れられたが、2回目の登板が正しい判断だったか?
彼女はこういう役は向いていないと思う。パリの裏社交界で一際存在を放つ大物には見えない。華がないのだ。
イタリアものではミミやリューはあまり違和感がなかったが…。

外人勢2名は良かった。特にジェルモンが儲け役という感じだった。

15年から同じ演出が続いているが、大道具のシャンデリアのは良いとして、舞台にピアノ1台というのが無理。なんでピアノなのか意味不明。衣装に凝るわりに調度の粗末さがバランスを欠く。
第3幕の紗幕もやはり意味が不明だ。

♪2024-070/♪新国立劇場-07

2024年5月19日日曜日

読売日本交響楽団第134回横浜マチネー名曲シリーズ

2024-05-19 @みなとみらいホール



ユライ・ヴァルチュハ:指揮
読売日本交響楽団(16型)
女性合唱:国立音楽大学(42人)
児童合唱:東京少少女合唱隊(30人)
メゾ・ソプラノ:エリザベス・デション


マーラー:交響曲第3番ニ短調



みなとみらい大ホールが続き、昨日はミッキーの「タコ10」。今日はもっと大曲の「マラ3」。

独唱・合唱を伴う大規模曲(かつ100分の長尺!)なので、なかなか聴く機会がないと思いがちで、最新が18年の大野和士/都響だからだいぶ遠のいたが、コロナ禍を挟んでいたのでそういうことになったのだろう。記録を見れば10年に5回という頻度だ。ほぼ1年後にはF・ルイージ/N響でも予定されている。だから、昨日の「タコ10」と同じような鑑賞頻度だ。

僕は消極的アンチ・ブル・マラ派ではあるが、いくつかは聴いてみたいと思うものがあり、このマラ3はその筆頭格だ。

で、出来栄えは?
冒頭の8人(実際は+1人はアシスト?)のHrのTuttiが上手なんだけど、艶がなかった。それで期待したほどには惹き込まれなかった。

その後も全く破綻はないし、新しく就任した首席客演のヴァルチュハが巧かったのかどうか分からないけど、実に、自然に音楽が流れていった。

ただ、音楽の違いかもしれないが、昨日、同じ舞台に乗っていた日フィルの同じ16型の弦の柔らかさに比べると、おいどうした読響!という場所もあったな。

100分が少しも長いと感じさせず、良い感じにまとまった。

終曲の時。暫時沈黙。ヴァルチュハにもったいぶった気取りもなく、フラ拍もなく、自然に拍手喝采が生まれたのも良い感じだった。

余談だが、比較をすれば、16年秋のP・ヤルヴィ/N響が全般緊張を孕んですごい演奏だと思った。4K収録をしたはずのあの演奏がいまだに放映されないのは児童合唱の気の毒な事故が理由かもしれないが、NHKの技術でなんとでもカバーできるのではないかと思う。あれは是非放映してほしい。

♪2024-067/♪みなとみらいホール-17

2024年5月18日土曜日

日本フィルハーモニー交響楽団 第397回横浜定期演奏会(井上道義:日フィル最後の公演)

2024-05-18 @みなとみらいホール



井上道義:指揮
日本フィルハーモニー交響楽団
佐藤晴真:チェロ*

ショスタコーヴィチ:チェロ協奏曲第2番ト短調 Op.126*
ショスタコーヴィチ:交響曲第10番ホ短調 Op.93
-----------------
カザルス:鳥の歌*





年末で引退するミッキー(井上道義)の日フィルとの最後の公演だった。
得意のショスタコ・プロで、いやはや掉尾を飾るに相応しい充実した内容だった。

前半のチェロ協奏曲第2番は、おそらくナマでは初聴き。
大好物の第1番に比べると暗い感じが支配的で抒情性が足りない感じもするが、これは馴染んでいないからかも知れない。

彼の作品はどの分野のものでも、必ず特徴的な音列の運びがあって、僕は”タコ印”と読んでいるが、この作品にもそこここに刻印されていた。初めて聴く曲でもショスタコのものならかならず聴き分けられる気がする…とはいえ、ジャズ組曲なんかは無理だったな…😅。

開演直前ミッキーが登場して、この協奏曲について簡単な解説をしたが、弦の編成について、ショスタコ本人は16型を指定しているが、今回は井上流でやるということだった。
始まってみれば、なんと10型(第一バイオリン10-第二バイオリン8-ビオラ6-チェロ4-コントラバス4)という珍しいコンパクトな編成だった。

思い切ったなあ、と思ったが、管打鍵の編成を見ると金管はホルン2本のみ。木管も最少。ハープ2台というのが異色といったところ。これじゃあ、弦16型を指定したって本当だろうか…と思った。ともかく、ミッキーのコンパクトな編成が奏功して、各パートクリアな響でとても良かった。

冒頭の2分くらい?とところで、佐藤(独奏チェロ)の弦が切れて演奏がストップした。もちろん、すぐ張り替えて最初からやり直し。
オケ奏者の弦が切れて楽器の順送りを見たことは何度かあるが、独奏者の弦が切れたのは初めてだ。チェロの場合は首席(門脇くん)の楽器を渡すことはしないんだな。


後半の交響曲第10番。
ひょっとして初聴き?と思ったが、とんでもない。帰宅後調べたら、ショスタコ全15曲中、ダントツの5番についで10番をよく聴いているのに驚いた。と言っても最近の10年では2年に1回の割合だから、印象に残っていないのも無理はないだろう。

その代わり、新鮮な気持ちで聴くことができた、と言ってもいいか。

今日の日フィルは、ミッキーの念力に操られたみたいに実に巧い。高域弦はややもするとキンシャリの不快音を立て勝ちだが、まったく問題なし。1時間近い長尺だけど、これは音楽の楽しさというより管弦楽の面白さを味わった。みなとみらいホールで聴くことができて良った。

ミッキーの指揮は、日フィルとは最後だったが、個人的には、少なくとも、まだ、神奈川フィル、新日フィル、都響と続く。

2024-066/♪みなとみらいホール-16

2024年5月17日金曜日

みなとみらいアフタヌーンコンサート2024前期 ≪クリスタル・ヴォイス≫森麻季 ソプラノ・リサイタル

2024-05-17 @みなとみらいホール



森麻季:ソプラノ
山岸茂人:ピアノ(*ピアノソロ)

プッチーニ:私のお父様 ~歌劇「ジャンニ・スキッキ」から
プッチーニ:私が街を歩くと/ムゼッタのワルツ ~歌劇「ラ・ボエーム」から
ベートーべン:ピアノソナタ第8番ハ短調 作品13《悲愴》から 第2楽章*
山田耕筰:この道
山田耕筰:からたちの花
越谷達之助:初恋
フォーレ:ノクターン第4番変ホ長調 作品36*
ドビュッシー:星の夜
リスト:夢に来ませ
プッチーニ: 私の名はミミ ~歌劇「ラ・ボエーム」から
プッチーニ:ドレッタの夢 ~歌劇「つばめ」から
ベッリーニ:おお!幾たびか ~歌劇「カプレーティとモンテッキ」から
ショパン:ノクターン第2番変ホ長調 作品9-2*
プッチーニ:お聞きください、王子様 ~歌劇「トゥーランドット」から
プッチーニ:海にも陸にも春風はそよぎ ~歌劇「蝶々夫人」から
プッチーニ(ホジャイノフ編):《蝶々夫人》から ハミングコーラス*
プッチーニ:ある晴れた日に ~歌劇「蝶々夫人」から
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シューベルト:アヴェ・マリア
マスカーニ:アヴェ・マリア



森麻季を聴く機会は多かったけど、リサイタルは初めて。
アンコールを含め15曲を歌った。

きれいで可愛らしく、スタイルもそこそこスリムで、白雪姫のようなピカピカドレスがかくも似合う人は少ないのではないか。

P席や袖上の席のお客さんにもクルクル回りながら顔を見せ、声を通し、サービスに努め、愛想を振りまいた。
プログラムはうち8曲はプッチーニの馴染みの名曲揃い。その他も親しみやすいものばかり。

前半、イマイチ聴きどころが少なかったが「ミミ」で覚醒したかのような拡声が大ホールに轟いた。

後半は、すっかり喉の調子が良くなったか、《クリスタル・ヴォイス》とやらが本領発揮。ステージングも控えめなMCだがとても好感を与えて満足度の高いリサイタルだった。

…とここで止めておけばかわいいのに、やはり正直に書いておこう。

歌い方に独特の癖がある。
これまでは「第九」やオラトリオなどドイツものを中心に聴いてきたので、気付かなかったが、うんと近くで15曲も聴くと嫌でも森節が耳に付く。

フレーズの頭がポーンと出ない。
とても小さな声で始まり、半拍かそのまた半拍か遅れてぬ〜と声が出てくる。
そうでない歌い方も2曲くらいあったが、ほとんどが、さぐり歌いのような、歌い方で、これは気持ちが良くない。
こんな歌い方をするオペラ歌手は他に知らない。

それに、コテコテと飾りすぎる。歌の表情が濃厚すぎて違和感を覚えるのだ。もっと、フツーの歌い方で聴きたい。

2024-065/♪みなとみらいホール-015

2024年5月11日土曜日

NHK交響楽団2010回A定期 05月公演

2024-05-11 @NHKホール



ファビオ・ルイージ:指揮
NHK交響楽団

パンフィリ:戦いに生きて[日本初演]
レスピーギ:交響詩「ローマの松」
レスピーギ:交響詩「ローマの噴水」
レスピーギ:交響詩「ローマの祭り」





今日はトリプルデイで、シティ・フィルを犠牲にしてN響に出かけたが、とんでもない失敗。19時開演のつもりで、神奈川フィル終演後、みなとみらいで買い物などしてから出かけたら、ホールの前は誰もおらん。早すぎたか!と思いきやもう開演しているという。

実は、この失敗は2回目だ。時々、17時開場が午後7時開演とごっちゃになる。第一ソワレで18時開演なんて他にないもの。おまけに「松」がもう始まっている。

確か、曲順を変えるというメールが来ていたと思うが、気にもかけなかったし、かけていたって時間を間違えているんだから意味はない。「噴水」が最初だったのかな。

休憩で人が出てくるのを待ってから入った。

とにかく、三部作と言っても1番の楽しみは「松」で、それを悔しいことにホワイエで漏れ聴いた。

後半は、「噴水」、「祭り」だが、「噴水」も悪くはないけど、面白さは他の2本に比べるとイマイチだ。
それにN響の出来が良くない。マチネで聴いた神奈川フィルの方がよっぽどが美しい。
今日はよくよく外れたな、と思っていたが、だんだん良く鳴る法華の太鼓。「祭り」は派手さに救われて管弦楽の面白さここにあり。最後に楽しめて良かったよ。

それにしてもソワレは19時にしてくれ。

♪2024-064/♪NHKホール-04

神奈川フィルハーモニー管弦楽団 第395回定期演奏会

2024-05-11 @みなとみらいホール



大植英次:指揮
神奈川フィルハーモニー管弦楽団
大江馨:バイオリン*

ラロ:スペイン交響曲ニ短調 Op.21*
ラフマニノフ:交響曲第2番ホ短調 Op.27
-------------------------
カルロス・ガルデル(A.ハーデリヒ編):
 Por Una Cabeza(ポル・ウナ・カベサ)





昨日、10連休明けで聴いた新日フィル@墨鳥がとても良かったが、今日の神奈川フィルはみなとみらいホールの良さもあって、音色がとても明るくてクリアなのに、驚いた。
特にラロはオケの編成も12型とコンパクトだったのが各パートを引き立てた。
大江くんのVnも良く鳴って聴き応えあり。

後半、ラフマ2番。彼の3曲の交響曲の中ではダントツに聴く機会が多い。が、前半2楽章は好きになれない。超有名な第3楽章Adagioと賑やかな終楽章はとてもいい。

なんたって、大植ちゃんの気合いが入っていたな。後ろ姿しか見えないけど、多分、顔面紅潮させてオケを引っ張っていたのだろう。時々気になる(面白い)大植節は今回は気が付かなかったがどうだったのだろう。

神奈川フィルもよく応えて、管弦共に気持ち良く響いた。
大植ちゃんも大満足の様子で、いつものドヤ顔。

♪2024-063/♪みなとみらいホール-14

2024年5月10日金曜日

新日本フィル:すみだクラシックへの扉#23










2024-05-10 @すみだトリフォニーホール



大友直人:指揮
新日本フィルハーモニー交響楽団
前橋汀子:バイオリン*

ロッシーニ:歌劇「セヴィリアの理髪師」序曲
エルガー:愛のあいさつ Op.12* 
マスネ:タイスの瞑想曲*
サン=サーンス:序奏とロンド・カプリチオーソイ短調 Op.28*
サラサーテ:ツィゴイネルワイゼン Op.20*
シャブリエ:狂詩曲「スペイン」 
ラヴェル:クープランの墓
 Ⅰプレリュード
 Ⅱフォルラーヌ
 Ⅲメヌエット
 Ⅳリドーゴン
ラヴェル:ボレロ
---------------------------
丸山貴幸編:懐かしの青春メドレー*
 テネシーワルツ〜愛の讃歌〜川の流れのように
*バイオリン独奏とオケの共演






10連休明けのコンサート。
冒頭、オケの腕鳴らし「セヴィ理序」の出来がとても良い。11日前のN響よりずっと良い。ロッシーニの管弦楽化がうまいのか高域弦の嫌な音が全然しないので驚いた。
あとはどうかな?と思ったが今日は最後まで良いアンサンブルだった。

前半は、序曲の後はずっと前橋汀子によるバイオリンの小品集で全てオケ伴付き。御歳80とは全然見えない。テクニックもオケをバックにした音圧も十分。
もう、見栄も外連もありませんというような、大ベテランが到達した音楽をしみじみ味わった。

大友ちゃんは、1曲毎指揮台から降りて前橋の後ろに立って大先輩に敬意を表し拍手をリードしたが、これが見ていても心地良かった。

後半は、シャブリエとラヴェル2曲。全て上出来。
特に「ボレロ」の完成度が高かった。

ちょうど2年前に新日フィル@墨鳥でミッキーの「ボレロ」が狂乱する色彩という感じで面白かったが、今日は正統派で丁寧な演奏を噛み締めるように味わった。

2024-062/♪すみだトリフォニーホール-04