2015年8月26日水曜日

みなとみらいクラシック・クルーズ Vol.70 読響メンバーによる室内楽

2015-08-26 @みなとみらいホール


瀧村依里:バイオリン
渡邉千春:ビオラ
唐沢安岐奈:チェロ
瀬泰幸:コントラバス
倉田優:フルート*
浦丈彦:オーボエ*
柴欽也:クラリネット*
武井俊樹:ファゴット*
山岸博:ホルン*

J.S.バッハ:コラール「目を覚ませと呼ぶ声が聞こえ」*
L.シュポア:九重奏曲 ヘ長調 作品31
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J.シュトラウスⅠ(野本洋介編):ラデツキー行進曲


バッハのコラールで1番有名なのは「主よ、人の望みの喜びよ」だろう。ついで有名なのが「目を覚ませと呼ぶ声が聞こえ」だろう。

今日は、これを珍しい木管五重奏で聴いた。
ホルンは金管楽器だけど、慣習的に木管五重奏と言われている。

曲名の意味は、聖書からテキストを採ったものなのでなんとなく分かったつもりでいたけど、解説を読んで想像とはだいぶ違うことが分かっておかしかった。

マタイ伝第25章10人の花嫁の譬えから引用されているそうだ。
10人の花嫁が花婿の到着を待っていたが、うち思慮深い5人は油を用意していた。花婿の到着が遅れてみんな寝込んでしまった。
夜中になって「目を覚ませと呼ぶ声が聞こえ」たので花婿の到着を知って10人は対面の準備をしたが、油を用意していなかった5人は慌てて買いに出たが、戻ってきた時には門が閉められていた。だから、いつもちゃんと用意をしていなさいという教えなのだけど、こんなに即物的で具体的な意味があるとは知らなかった。

さて、メインはシュポアの九重奏曲(ノネット)だ。木管五重奏に弦四部が加わる。ここで弦は、弦楽四重奏で一般的な編成ではなく、第2バイオリンの代わりにコントラバスが入る。まあ、木管五重奏と一緒なので、チェロだけでは低音部が弱いからだろう。
室内楽としては最大限度の編成であり、オーケストラとしては最小限度の編成だ。いずれにせよ、こういう編成は演奏する方としては楽しくてしようがないだろうな。みんなSOLOなんだもの。


ところでルイ・シュポアって誰?
生年はベートーベンとシューベルトの間。ドイツ人でウィーンで活躍。手持ちの「クラシック作曲家大全」では古典派の一番最後に取り上げられている。当時最も名高い音楽家の1人だったそうだ。
どうでもいいような話だが、バイオリンの顎当てを発明し、最初に指揮棒を使った人でもあるそうだ。
多作だけど今日ではほとんど演奏されない。そういう人って、音楽家だけでなくいくらでもいるんだね。才能はあっても運が悪く歴史に埋もれてしまう人。いや、そういう人の方が圧倒的に多いんだが。

で、その音楽だけど、やはり、その時代のドイツ音楽…というよりウィーン風なのかな。屈託のない明るさだ。ヘ長調だが、途中で短調に変わる部分があるかと思ったが、気が付かなかったなあ。徹頭徹尾長調に終始した気がする。
そんな訳で、いかにもサロン音楽という感じ。楽しいけど軽い、かな。


♪2015-80/♪みなとみらいホール-22