2015年8月5日水曜日

フェスタ サマーミューザ KAWASAKI 2015 東京都交響楽団 激動の時代に書かれた傑作

2015-08-05 @ミューザ川崎シンフォニーホール


大野和士:指揮
東京都交響楽団

プロコフィエフ:バレエ音楽「シンデレラ」組曲第1番 作品107
ショスタコーヴィチ:交響曲第5番ニ短調作品47「革命」 

ずいぶん久しぶりの都響だった。
昔はきちんと記録していないので何年ぶりか分からない。
だが、最近、NHKのクラシック音楽館で大野和士&都響を聴いて(放送ながら)うまいんだなあ、と思ったので、今回が楽しみだった。

で、本当にうまい。
管・打も実に見事な安定感だが、弦が格別にいい。
大編成ということもあるし、曲目にもよるのだろうけど、弦楽合奏の厚みを堪能できた。特にショスタコの第1、2楽章の強力な弦の響は久しぶりに聴いた感じがする。

プロコフィエフの「シンデレラ」はナマで初めて聴いたが、事前に調べてみたら、プロコフィエフ自身に同名の作品が数多くあることを知ってびっくりした。
本家がバレエ組曲「シンデレラ」作品87。
これを元にして演奏会用組曲(管弦楽版)にした作品が、「シンデレラ」組曲で第1番から第3番まで(作品107-109)ある。
さらに「シンデレラ」の中のワルツのほか他の自作品からのワルツを加えたワルツ組曲 作品110。
ほかにもピアノ用に組曲化した、バレエ「シンデレラ」からの3つの小品(作品95)、同10の小品(作品97)、同6つの小品(作品102)があり、加えてチェロとピアノのための「アダージョ」(作品97bis)というのもある。
一つの素材からたくさんの副産物を生み出しているのは、よほど愛着があったのだろうか。

本日演奏された組曲第1番は全8曲から構成され、いずれも短く程よく派手で分かり易く、いかにもバレエ音楽といった感じでその舞台を彷彿とさせるものがあった。同じプロコフィエフのバレエ音楽でも「ロメオとジュリエット」よりだいぶ親しみやすい感じだ。


ショスタコーヴィチの交響曲第5番、いわゆる 「革命」はショスタコの全作品の中で一番人気だろう。コンサートで聴くショスタコの作品中ダントツに多い。
しかし、どこのオケで聴いてもたいてい満足できる。
交響曲、管弦楽の魅力が詰まっているのだ。

今回オケの楽器配置がよく見える場所(=音響的にもとても好ましいと信じている。)で聴いていると、改めて弦楽器を魅力的に使っているのがよく分かった。
第1、2楽章では弦が力強く歌い始め、第3楽章では繊細に音楽を始める。その第3楽章はバイオリンは3パートに、ビオラ、チェロはいずれも2パートに分かれている。通常3パートであるところを7つのパートに分けて微妙な音色を聴かせる。金管が使われず木管のみだ。この静けさが、第4楽章の他に類を見ないような激しいアレグロを一段と引き立てている。

パーヴォ・ヤルヴィの解釈では、反骨・反逆の音楽ということらしい。最終楽章の華やかなクライマックスも強制された歓喜だそうだが、そういう見方もできるだろうけど、そんなストーリーを考えなくとも純粋に音楽として楽しんでもいいのではないかと思う。

上述のように都響の演奏は素晴らしかった。
大野和士の指揮も生では初めての経験だったが、後ろ姿にもカリスマが漂っている。

ショスタコが終わるや否や、館内からはどっと歓声と拍手が巻き起こったが、これがいつもの儀礼的なものではなく、シンから良い音楽を体験できたという共感あふれたブラボーの表現だった。

都響、恐るべし!


♪2015-75/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-14