2014年2月10日月曜日

第31回神奈川トヨタ・クラウン・クラシック・コンサート

2014-02-10 @みなとみらいホール

川﨑智子(ピアノ)
金聖響指揮:神奈川フィルハーモニー管弦楽団

●ベートーベン:「レオノーレ」序曲第3番Op72-b
●シューマン:ピアノ協奏曲イ短調Op54
●ベートーベン:交響曲第3番Op55「英雄」
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アンコール
●モーツァルト:「ディベルティメント」K138第2楽章


昨日の消防音楽隊の演奏会も定員の2.3倍の申し込みがあったと言っていたが、今日はもっと凄い。
2,000人の枠に7,300人が応募したというから3.65倍だ。
キネ旬の表彰式は、まあ古参定期購読者として優先招待されているとはいえ、3日間連続して、ひとつくらい落選してもおかしくないような競争の下で全部当選したというのは、まあ、よくよく運が良かったのだろうけど、これが序の口で、年末にはジャンボ宝くじの数億円大当たりが待っているならうれしいが、逆にこの程度で運の使い果たしになるとすればいささか寂しい。

さて、当日会場で指定席に交換というシステムだ。かなり早めに着いたつもりだったが、既に時遅く行列のお尻に付く羽目になった。それでも、まだ1階席は空いているだろうと思ったが、残念なことに2階LC3列(舞台寄りのバルコニー席)だった。

しかし、演奏が始まってみると、この席、決して悪くない。
舞台下手が視界にはいらないのだけど、指揮者の表情は概ね見えるし、ピアノコンチェルトの鍵盤をちょうど角度よく見下ろす場所で、華麗な指先もよく見える。
いや、何より原音と残響の交じり合ったかつダイナミックレンジの広いサウンドで、これはこれで捨てがたい味わいだ。
今度から、この席も毛嫌いしないで積極的に選択してみようかと思ったが、それもそのはず、みなとみらいホールの座席表を見たらS席扱いなんだ。うむ。悲しいかなガッテン!

ベートーベンはいい。でも理想的に序曲を組み合わせるなら「エグモント」を選曲して欲しかった。
もちろん「レオノーレ」が悪いわけじゃないけどね。
シューマンのピアノ協奏曲やベートーベンの「エロイカ」が続くなら、負けないくらいの濃厚味の「エグモント」のほうが似合っているんじゃないか、ということなんだけど。

シューマン!おおシューマン。
数多(あまた)のピアノ協奏曲の中で、指折りのロマンティシズムとセンチメンタリズム。溢れかえるようなむせ返るような情感は、23歳も若いブラームスが24歳頃に完成したピアノ協奏曲第1番(第2番はその22年後の作品)の大人ぽさと比べると、むしろシューマン(36歳の作)の作品の方に若々しさがみなぎっている。
とりわけ冒頭のピアノの強奏と続く甘いメロディに、シューマンのクララへの想いを重ねて聴く時に、ゾクゾクせずにはおれない。

ベートーベンの交響曲第3番。
明らかに第1番2番とは隔絶した新境地の革新的音楽。
ここで交響曲は古典派の枠組みから飛翔したんだなあ。
今日は、久しぶりの生の3番に、あらためてベートーベンの巨人ぶりに感じ入った。
絶対音楽が絶対音楽のまま形而上学に昇華した記念碑なのかもしれない。

♪2014-14/♪みなとみらいホール08