2022年12月10日土曜日

かなっくクラシック音楽部 テノールトリオdeクリスマスコンサート

2022-12-10 @かなっくホール


澤原行正(テノール)
金山京介(テノール)
濱松孝行(テノール)
石野真穂(ピアノ)

フランク:ミサ曲 op.12から〈天使の糧〉
藤井清水:忍路
杉山長谷夫:出船
武満徹:小さな空
カンツォーネメドレー
 デンツァ:フニクリ・フニクラ
 クルティス:泣かないお前
 トスティ:かわいい口元
 モドゥーニョ:ヴォラーレ ( お空の中の青さ )
 ファルヴォ:彼女に告げてよ
 カプア:私の太陽
カッチーニ:アヴェ・マリア
サン=サーンス:アヴェ・マリア
トスティ:アヴェ・マリア
C=M.シェーンペルク:《レ・ミゼラブル》から〈彼を帰して〉
N.ブロドスキー:《ニューオリンズの美女》から〈私の恋人に〉
N.ロータ:《ゴッドファーザー》から〈愛のテーマ〉
ドニゼッティ:《連隊の娘》から〈ああ ! 友よ ! 何と楽しい日〉
ドニゼッティ:《アルヴァ侯爵》から〈清く美しい天使〉
ドニゼッティ:《ドン・パスクアーレ》から〈哀れなエルネストよ〉
----------------------------------
ヴェルディ:《リゴレット》から〈あれかこれか〉
レオンカヴァッロ:《道化師》から〈衣装をつけろ〉
プッチーニ:《トスカ》から〈妙なる調和〉
シューベルト:アヴェ・マリア



3人の歌手とピアニストの名前に記憶がなかったが、記録に照らせばいずれも新国立劇場立、日生劇場・県民ホールなどで聴いていた。歌手は準主役級なのだろうか?

かぶりつきで聴いたせいもあって、3人いずれもの音圧が凄い。
身体に溜まっていた悪いものを吹き飛ばしてくれたような爽快さ。

XMasコンサートといっても、それらしいのはアヴェ・マリアが4曲。
それ以外は普通に歌曲・民謡・映画音楽・オペラアリア。合わせてなんと22曲。3人で交代(時に3重唱)だから可能な大サービス。
みんな同じように巧いので誰がどうとも言えないけど、生舞台未経験の「連隊の娘」のハイCを聴いたのは初めて。

声楽は、技術は磨かれているが音楽のジャンルの中で打楽器と並んで最もプリミティヴな表現方法だ。それだけに、伝わるものがそれこそ直接的・生理的で心地良い。

ところで、この手の会で「〜寝てなならぬ」「星は〜」を聴かなかったのは誠に珍しいが、十分満足できたし、オペラの本番が待ち遠しい。
-----------------
カッチーニの「アヴェマリア」は20世紀ロシア人(ウラディーミル・ヴァヴィロフ)の作品ということで今では決着がついているが、今日のMC役は知らなかったみたいでカッチーニの説明をしていた。ま、どうでもいいけど。誰の作であれ、この曲はホンにしみじみとするよ。


♪2022-188/♪かなっくホール-14

横浜バロック室内合奏団定期演奏会103回 〜バロックのクリスマス

2022-12-09 @みなとみらいホール


横浜バロック室内合奏団
Vn:小笠原伸子、有馬希和子、茂原大朗、藤村陽子
Va:大本綾子、眞中望美
Vc:間瀬利雄、中垣文子
Cb:大西雄二
Cemb:山口範子
Fl:高野成之*

ビバルディ:協奏曲集「調和の霊感」作品3から第1番 4つのバイオリンの為の協奏曲ニ長調
ビバルディ:フルート協奏曲第2番ト短調 作品10-2「夜」*

コレッリ:クリスマス協奏曲ト短調 作品6-8
J.S.バッハ:主よ、人の望みの喜びよ
J.S.バッハ:G線上のアリア
ビバルディ:フルート協奏曲ニ長調 作品10-3「ごしきひわ」
ジュゼッベ・サンマルティーニ:クリスマス協奏曲卜短調 作品5-6
----------------------------------
ビバルディ:協奏曲集「調和の霊感」作品3から第10番 4つのバイオリンの為の協奏曲ロ短調 第1楽章
J.S.バッハ:主よ、人の望みの喜びよ(Fl入り)*


横浜バロック室内合奏団今季の定期演奏会最終回がようやくみなとみらいの小ホールに戻ってきた。
代打の上大岡ひまわりの郷も良いホールだったが、なんといってもここが落ち着く。

12月ということで、コレッリとサンマルティーニ(兄のジュゼッペ)のクリスマス協奏曲が中心。これにビバルディとバッハの定番小品も加わって多彩な番組。

弦9人とチェンバロ1人にフルートがいつもの客演(東響の高野氏)。この規模でバロックを聴くのはホンに心地良い。

7人が女性で、全員いつも色とりどりのドレス姿だ。
今日は3人が赤、2人が緑、白と黒が各1ということはクリスマス仕様らしい。

このアンサンブルはコロナ最盛期でも、今でもNo Maskを完徹しているのが嬉しい。

♪2022-187/♪みなとみらいホール-09

2022年12月7日水曜日

「第九」2022-❶ 神奈川フィル/特別演奏会「第九」

2022-12-07 @ミューザ川崎シンフォニーホール



三ツ橋敬子:指揮
神奈川フィルハーモニー管弦楽団
プロ歌手による神奈川フィル合唱団

富平安希子:ソプラノ
山下裕賀:メゾソプラノ
村上公太:テノール
三戸大久:バスバリトン

ベートーべン:交響曲第9番ニ短調「合唱付き」作品125



今年の「第九」の嚆矢を飾るのは神奈川フィル by 三ツ橋(沼さんの「第九」は24日に)。

弦編成は12型。P席に陣取った合唱は39人、当然No Mask。
他に舞台周りの4ブロックを閉鎖していたが、そこまでする必要は全くないのに!と神経過敏な劇場側を叱りたい!

声楽陣は高域から富平安希子/山下裕賀/村上公太/三戸大久。村上は東響&都響でも聴くことになっている。

第1-2楽章はやや速目のテンポ。小振りのオケはまとまりよくシャキシャキと小気味良し。管も巧い。トランペットなんか、出番が多いが音符一つも間違えない。見事なものだ。
ホルン(4番?)の3楽章Soloにもう少し明瞭さが欲しかった。

少ない合唱団も意外と迫力。

ま、そんな程度で全体として満足度が高かった。

残念なのは弦奏者の7割近くがマスクだ。N響や新日フィルなどは16型でも5-6人だけどな。その5-6人だって着用する意味はないと思うが。

さて、ビオラ首席がどう見ても東響の青木氏のそっくりさんだったよ。
ティンパニーも客演だった。

12月、「第九」の季節。先生方は走り回っているんだ。
ま、みつばち先生も今月は25公演?なんて忙しいんだ。

今日は、小学生〜18歳を無料招待していたそうだ。どこにいたのか分からなかったが静かに聴いていたのだろう。むしろ、僕の席の前では紙袋の音や後ろからは荷物を落とす音など。おばさん達、やめてケロ。

演奏好感度★80点★/100点満点

♪2022-186/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-46

2022年12月6日火曜日

神奈川フィル”ブランチ”ハーモニーin かなっく Vol.5 〜神奈川フィル首席チェリスト 門脇大樹による 朝のチェロ名曲〜

2022-12-06 @かなっくホール

門脇大樹:チェロ
ゴウ芽里沙:ピアノ

エルガー:愛の挨拶
フォーレ:シシリエンヌ
プーランク:愛の小径
フォーレ:夢のあとに
ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ
サン=サーンス :く動物の謝肉際>から「白鳥」
フォーレ:エレジー
ドビュッシー:ピアノとチェロのためのソナタ
-------Enc--------------
ドビュッシー:美しい夕暮れ



2月に一度の神フィル面子によるシリーズ。
今日はチェロ首席の門脇大樹のリサイタル。
サッカーで朝まで起きていて睡眠時間極少なのに11時からの演奏会って辛い。

が、その第一声の見事な事。
身体中の全器官がいっぺんに覚醒した。

チェロ&ピアノは、5日前に堤剛/萩原麻未をみなとみらい大ホールで聴いたばかり。そのやや重のプログラムも聴き応えがあったが、今日はかなっくホールの良い響きに乗せてチェロとピアノの生々しい美音で綴る仏音楽の魅力を味わう。

やはり器楽リサイタルは小ホールに限るな。
大ホールとは別次元の体験だ。

英国製「愛の挨拶」は本当の”挨拶”代わりだったのだろう。
その後は全作仏製でお馴染みの小品名作ばかり。最後は技術的にも骨のあるドビュ・ソナタだが、これも12分程度。
楽器の音色が繊細で指板を指が滑る音、ピアノのペダルを離す際の微かな摩擦音までクリア。

曲調とも相俟って艶めかしく悦楽の1時間。


♪2022-185/♪かなっくホール-13

2022年12月4日日曜日

第13回 音楽大学オーケストラ・フェスティバル2022[東京音大/国立音大]

2022-12-04 @ミューザ川崎シンフォニーホール


広上淳一:東京音楽大学
尾高忠明:国立音楽大学

東京音楽大学シンフォニーオーケストラ
国立音楽大学オーケストラ

東京音大:
ストラヴィンスキー:バレエ組曲「火の鳥」(1919年版)
R.シュトラウス:交響詩「死と変容」作品24 Trv158

国立音大:
シベリウス:交響曲第2番ニ長調 作品43


以前は4回券買って踏破したものだけど、今年は今日だけ。
東京音大は広上淳一指揮で「火の鳥」と「死と変容」。
国立音大は尾高忠明で「シベリウス2番」。
前者は管のソロに僅かな瑕疵あり。
後者は語尾の処理でやや残念賞。
とはいえ、相変わらず音大オケはうまい。

今日の発見。
❶これまでプロの演奏を何度聴いても面白くなかった「死と変容」にちょっと楽しみの足がかりができた。
広上センセが母校に愛の鞭を振るったか終盤のアンサンブルの美しさに驚いた。まるでミューザの大オルガンが鳴っているかのように透明感のある管弦の交わり。思わずオルガンを見上げたよ。オルガニストはいなかった。

❷前半が終わって休憩から席に戻る時、前を歩くのが金子信雄(仁義なき戦い!)のそっくりさんだった。
非常に小柄である。
これまで何度も見ている。
フィリアの白熱教室ではかなり近くで。
今日は無防備な後ろ姿ゆえかあまりに小さいので驚いた。
それがちょこんと指揮台に乗るとそうは感じさせないところが凄い!親近感が湧いたよ。僕も小さいから。

❸シベリウス2番は中学時代に吹奏楽部で「フィンランディア」を演奏した縁で聴き始めて大好きに。その後アマオケでも下手なVcで格闘した思い出の曲だ。
これまで数えきれないほど聴いていたが、どの楽章も条件反射的にアドレナリンが噴出する。

しかし、今日は終楽章が長過ぎた!
尾高氏の呼吸と合わなかったのだろう。

♪2022-184/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-45

2022年12月3日土曜日

NHK交響楽団1971回A定期 12月公演

2022-12-03 @NHKホール


ファビオ・ルイージ:指揮
NHK交響楽団
藤村実穂子:メゾ・ソプラノ*



ワーグナー:ウェーゼンドンクの5つの詩*
ブルックナー:交響曲第2番ハ短調(初稿/1872年)
 Ⅰアレグロ。かなり速く
 Ⅱスケルツォ:速く-トリオ:同じテンポで
 Ⅲアダージョ:厳かに、いくぶん動きをもって
 Ⅳ終曲:より速く


東響マチネに続いてN響ソワレ。東響は好きなプログロムでおまけに砂川涼子❤️姫の登場で寝ているどころではなかったが、N響の番組は眠りを誘うではないか。
最初のウェーゼンドンクの5つの銅貨…じゃなくて、5つの赤い風船…でもなくて、5つの詩が、いやはや5つの子守唄に。

演奏は透明感のある良いアンサンブルだった。下を向いて対訳を読みながら聴いていたら3曲目あたりでプログラムを落としそうになって慌ててお尻に敷いた。

ブルックナー2番は演奏機会が少ない。ところが、続くときは続くもので、10月に東響で聴いたばかりだ。

その時は、ノットのいつもの気まぐれか思いつきか戯れか知らないが、急に予告の2稿から初稿に変え、部分的に2稿も使った。
はいはい、お好きにどうぞ。

その前はと言うと2016年に遡る。P.ヤルヴィ+N響だが、その時は2稿でやった。これが素晴らしい演奏でブルックナー好きでもない僕をも唸らせた。

今回のルイージは予告どおりの初稿で。と言っても2-3楽章の入替えのほか違いが分からないのだが。

演奏はやはり素晴らしい。N響のアンサンブルの見事さで、音楽それ自体は安っぽい劇伴音楽みたいなところがあちこちに顔を出し、あまり高尚な音楽だとは思えないけど、大掛かりな管弦楽として聴きどころが多い。最後の金管の長い長い同音連続は聴いていても酸欠になりそうだ。

♪2022-183/♪NHKホール-04

名曲全集第182回 藤岡幸夫のオール・フレンチ・プログラム

2022-12-03 @ミューザ川崎シンフォニーホール




藤岡幸夫:指揮
東京交響楽団
合唱:東響コーラス**

砂川涼子:ソプラノ*
与那城敬:バリトン*

フォーレ:パヴァーヌ 作品50(合唱付き)**
フォーレ:レクイエム ニ短調作品48(1893年版/ラター校訂)* **
ラヴェル:組曲「マ・メール・ロワ」
ラヴェル:ボレロ


前半フォーレ、後半ラヴェルだが、前半だけでも良かったし、それじゃ時間が短すぎるなら前後順番を変えてレクイエムで幕を降ろす方が良かったように思うけど、オケの都合も考えるとそうもいかなかったのかな。

パヴァーヌも上出来だったが、なんといってもレクイエムが出色。

僕は今日の版(2稿1983年版ラター校訂)を聴くのは初めてで、実に新鮮な響きだった。

フォーレ・レクイエム自体が平均すれば数年に一度。
たまたま昨年も都響で聴いているがこの時は第3稿だったし、それ以前も全て3稿だったように思う。

今回の版はオケ編成が初稿と3稿の中間で、弦5部は高域から順に、1-0-8-6-4。つまりバイオリンは独奏1のほかtuttiはなし。ビオラが2部に分かれていたやに思う。
高域弦が事実上ないが、その代わりをするのが合唱だと思う。
東響コーラス約90人がNo Mask、No Scoreで良い仕事。
そしてオルガン。


これらが良く溶け合って、管・弦・声の織りなす響が美しい。
バイオリン独奏が合唱に埋もれがちだったが、あれは弱音器を付けていたのだろうか。コンマスが最後列で受け持ったが、出番が少ないしこの曲に限ってはビオラが大将だからやむを得まい。
バリトンは舞台上手前方に立ち、我がマドンナ砂川涼子❤️姫は下手後方って変なの!

しかし、さすがです。出番は「Pie Jesu」だけだが、息を呑む美しさ。この曲は、ボーイソプラノや合唱が歌うこともあるが、やはり女声ソプラノが歌ってこそありがたみも一入(ひとしお)だ。

後半のボレロ(ソロがねっとり)も良かったが、5月に「道義のボレロ」を聴いているからなあ。それに若干食傷気味でもある。

♪2022-182/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-44