2020年12月23日水曜日

東京交響楽団 東響オペラシティシリーズ第119回「第九」❺

 2020-12-23 @東京オペラシティコンサートホール


秋山和慶:指揮
東京交響楽団
合唱:新国立劇場合唱団

ソプラノ:森野美咲
メゾソプラノ:鳥木弥生
テノール:小原啓楼
バリトン:大山大輔

ベートーベン:「エグモント」序曲
ベートーベン:交響曲第9番ニ短調「合唱付き」op.125


今年5回目の「第九」。

1曲目、序曲「エグモント」の弦の強奏が力強く美しく響いて、今日の出来栄えを予感させた。
秋山御大が東響で第九を振るのは100回どころじゃないだろう。
同じ指揮者とオケの組み合わせでかくも続いているのは他に例がないのでは?

されば御大の呼吸がオケの呼吸になる。

そんな両者の息のあった抜群の安定感。なんら不安要素のない「秋山第九」を今年も堪能できた。

これまではこの組み合わせによる「第九」はミューザで聴いてきた。

オペラシティコンサートホールでは初めてだったが、このホール、とても響きが良い。今日は特段に響きが良くて弦の透明度が高く、管弦の混ざり具合も絶妙で、生ならではのアコースティックなシンフォニックな音の美しさを味わった。

秋山御大の指揮は、遅過ぎないが、ゆったりとしたテンポ。
全体に緊張感を求めない穏やかさ。

4楽章の低弦のレシタティーヴォは無限に表情の付け方があると思うが、御大の呼吸感が自然でいい。

インテンポに終始するかに見せて時に溜(タメ)を作り、直後の強奏が際立つ。

第3楽章から第4楽章への流れは、なぜかこの頃少なくなった、一呼吸の間も置かずになだれ込むスタイルが健在でこれは嬉しい。

合唱団は男女同数計40人。

入場した時は全員マスクをしていたのでがっかりしていたが、いつの間に外したのか出番では全員マスク無し。

こうでなくちゃ!

マスクを付けて歌った日フィルの場合(東京音大合唱団48名)より人数は若干少ないが流石に新国立劇場合唱団。メリハリの効いた歌唱で、今回初めて「合唱付き」を実感できた。

終演後のカーテンコールが気持ち良い。

オケもソリストも合唱団も御大の下で良い音楽ができたという充実感が表れている。御大への信頼と敬愛が溢れている。客席から見ていても、その幸福感が伝わってくる。

恒例のLEDランプを点しながらの「蛍の光」に、以前は少女趣味だと思っていたが、今では感動してしまう。

評点90点

♪2020-097/♪東京オペラシティコンサートホール-05

備考:
弦の編成:12-10-8-6-4
合唱:女声20/男声20
演奏時間正味:69分08秒?
3-4楽章は半呼吸