2018年3月10日土曜日

日本フィルハーモニー交響楽団 第335回横浜定期演奏会

2018-03-10 @みなとみらいホール


広上淳一:指揮
日本フィルハーモニー交響楽団
小山実稚恵:ピアノ*

ショパン:ピアノ協奏曲第1番*
ブラームス:交響曲第4番ホ短調 作品98
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アンコール
ショパン:ワルツ第19番イ短調 遺作*
ブラームス:ハンガリー舞曲第1番ト短調(管弦楽版)

ピアノの小山実稚恵は伊藤恵と並んで好きなタイプだ。と言っても、音楽性は別として、人柄に好感を抱いている程度だ。
音楽性に関して僕が言えることは、プロとして当然のことだが、音楽に対して真摯な取組みを感ずることができ、外連味がないということは理解できるし、ユジャ・ワンを生で聴くような音楽外の感情移入をしなくて済む(いや、したいという側面も否定できないな。)ので、その分、音楽に没頭できる…というと褒めているのかどうか。いや、褒めているのだけど。
まあ、とにかく、テクニックは全然衰えを感じさせないし、女性だが、ダイナミックレンジも広く、安定して、正統的な音楽を演奏できる一流のピアニストだと思う。

不思議なもので、一昨年、昨年は一度も聴く機会がなかったが、今年は先月に続きもう2度めだ。

ショパンの協奏曲第1番(作曲順では2番)、は同じみなとみらいホール、日フィルの組合せ、菊池洋子のピアノで聴いたのがほぼ半年前。この作品は耳に馴染みすぎているせいか、いつも、あまり気合を入れて聴くこともないのだけど、今日は、久しぶりの小山実稚恵ということもあって、何時になく熱心に聴いたが、長いオケの前奏(帰宅後スコアを調べたら138小節もあるんだ!)に続いてようやくピアノソロがffで入ったときのピアノの音がとてもきれいで驚いた。

いや、ピアノの響だけではない。
今日の日フィルはどうしたことか響が良い。いつも同じ場所で聴いているのに、不思議に思うくらい(特に弦の)アンサンブルがきれいだ。

ブラームスの4番は全体にゆったりとしたテンポだったが、アラが目立ちやすい高音部も含め、きれいにホールに鳴り渡った。

みなとみらいホールは日頃聴く首都圏のホールの中でオーケストラ演奏には最高にきれいな響を放つと思っているが、だからといって、いつもきれいとは限らない。何が原因するのか、オケとホールがうまい具合に共鳴し合う場合と反撥する場合があるように思う。いや、ホールが反撥したりはしないので、オケの調子がイマイチなのだろう。

日フィルが本来の力を出したのか、僕の体調が良かったのか、お客の入り具合も関係したのか(このところ暖かくなってきたので、厚着の程度が穏やかになると残響が多くなるだろうな。)、よく分からないが、実に心地よい響だった。
ひょっとしてブラームスの管弦楽技法が優れているのだろうか。

定期演奏会には珍しく、オケのアンコールがあったが、これもブラームスの「ハンガリー舞曲第1番」で、この冒頭の弦の鳴りようの芳醇なこと。
ブラームスがピアノ用に書いたこの舞曲集のうち、自身で管弦楽用に編曲したのは今日演奏された第1曲のほか第3曲、第10曲だけだそうだ。今日の演奏が素晴らしかったのは、やはり、ブラームスのアレンジの巧さのせいもあるかな。

♪2018-028/♪みなとみらいホール-08