小林研一郎:指揮
読売日本交響楽団
ロッシーニ:歌劇「セビリアの理髪師」序曲
ビゼー:「アルルの女」第2組曲
ベルリオーズ:幻想交響曲 作品14
----アンコール----
マスカーニ:歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」間奏曲
春分の日だというのに、関東広域で雪が降った。横浜も朝からの雨が昼には雪に変わり、それも桜の花びらがが舞っているような、牡丹雪というのだろうか、本格的な振りようで驚いた。家の前の道路は既に降り積もっていてシャーベット状になっている。途中、転びそうになって踏みとどまったが、頭でも打っておればコンサートどころではなかった。
帰りにはすっかり止んでいて、コンサート自体がとても心地の良いものだったし、寒かったものの、晴れ晴れとして帰途についた。
最初の「セビリアの理髪師」はイマイチだった。第1曲めの出来が悪いのは、どのオケでも大抵そうだ。弦の高域の透明感がない。あれあれ、今日は全曲こんな調子か、と不安に思っていたが、「アルルの女2」では出だしから全然違う。あんまり高域がキンキンする音楽でもないのだけど、管弦のアンサンブルはとても重厚だし、高域の耳障りな音もほとんど目立たなくなった。
第2組曲の4曲中第2曲「間奏曲」はあまり耳に馴染んでいないが、他の3曲〜とりわけ、第3曲の「メヌエット」と第4曲「ファランドール」は耳タコの有名曲だが、フルート単独曲としても演奏機会の多い「メヌエット」でのフルートの音色のきれいなこと。みなとみらいホールの音響の良さが実に効果的に作用していた。
そして、大曲「幻想」の素晴らしいこと。
元々大規模管弦楽曲として演奏効果の高い作品なので、どこのオケが演っても楽しく聴けるが、今回の読響の演奏はソロパートも巧いし、アンサンブルの溶け合った音響もいいし、指揮者とオーケストラが一体となって久々に唸らせる出来上がりだった。
コバケンは時にお客様サービスで演出過剰な音楽を聴かせるが、最近はプログラムに遊べる楽曲が含まれないせいか、本来のマエストロぶりを見せてくれるのはいいね。本当は凄腕の指揮者なんだろうな。今日も全曲暗譜だった。
今日は、今年度定期の最後の演奏会ということで、コバケンが3.11の犠牲者に捧げますと前口上して「カヴァレリア〜」をアンコール演奏したのもなかなかしみじみとして良かった。
♪2018-031/♪みなとみらいホール-09