2014年9月16日火曜日

みなとみらいクラシック・クルーズ Vol.60 神奈川フィル名手による室内楽②

2014-09-16 @みなとみらいホール


石田泰尚(Vn)

プロコフィエフ:無伴奏バイオリン・ソナタニ長調 作品115
J.S.バッハ:無伴奏バイオリン組曲第2番ニ短調 BWV1004
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アンコール
黒人霊歌:Deep River
不明
リー・ハーライン:星に願いを(ピノキオから)


石田泰尚氏の活躍は、リサイタルや室内楽など多岐にわたっているが、なんといってももう14年目に入る神奈川フィルのソロ・コンサートマスターとして一番良く知られているだろう。

今日は、クラッシク・クルーズの室内楽シリーズで、地味なコンサートだけど、チケットは早くに完売となり、満席だった。

このシリーズは、毎回演奏時間が1時間強というミニコンサートであることや、チケットが格安ということで、観客席はいつも賑わっているけど、満席を経験したのは初めてだ。シリーズ会員以外にも多数が駆けつけたらしい。
いつもより女性客が多く、8割方は中年女性であった(おっかけおばさん連中がいるらしい。)。
近くの二人組など、いちいち過剰反応だったなあ。

曲目は、全くのソロばかり(ピアノ伴奏なし)。

プロコフィエフの無伴奏バイオリン・ソナタニ長調は初めて聴いた。「ニ長調」だそうだが、彼の作品(で、耳に入るもの)がだいたいそうであるように、調性はかなり怪しかったが、3楽章形式でテンポやリズムの変化は表題(モデラート、アンダンテ・ドルチェ、コン・ブリオ)どおりなので、初めて聴く無伴奏作品にしては分かりやすかったが、そもそもは、1947年、ソ連のどこかにあったバイオリン教室で学ぶ生徒2030人がユニゾン(斉唱)で弾くために作曲したものだそうだ。
ということで、多分、技術的にはそう難しいものではないのかもしれないけど、石田氏が身体をくねらせて情感たっぷりに弾くと、なんだか難しそうに聴こえる。

それにしても2030人はともかく、10人でさえ、これを合わせて弾くのは非常に難しいだろう。決して練習曲のレベルではなかった。
1人で弾くほうがよほどか楽だろう。
現実にも、バイオリン合奏曲という形よりもソロ音楽として定着しているらしい。

さて、どんな音楽だったのか、今、思い出そうとしてもかけらも出てこない。
Youtubeで検索してみたがここでもヒットしない。
Amazonでは数枚の現代無伴奏バイオリン曲集などの中にカップリングされていたが視聴できるものはなかった。


バッハのバイオリンのための無伴奏曲は、3曲のソナタと3曲の組曲から構成されているが、中でも演奏される機会が多いのは今日演奏された組曲第2番かもしれない。
6曲中一番演奏時間が長く(手持ちの前橋汀子版は32分)最終曲の第5曲「シャコンヌ」はこれだけで約15分。

もちろん音楽そのものが素晴らしいのだけど、「シャコンヌ」は1曲だけ取り上げてもまとまりのある長さであり、32の変奏という形式から、演奏家にとっても取り上げやすい、また、挑戦してみたい曲なのだろう。

そのダントツに有名な「シャコンヌ」を含んでいるからこそ組曲第2番の演奏機会が多くなり、リスナーも聴く機会が多くなる。
その相乗作用で、ますますダントツのレベルを高めているのだろう。

強面風の石田氏がどんなバッハを弾くのか、と興味深かった。
小ホールの前方なのでもう少し弦のナマの音が響くかと思ったが、丁寧な発音が残響を纏わり付けて実に柔らかい響で、とても優しげな音楽であるのに少々驚き、かつ、心地良かった。

プロコフィエフの時はもう少し硬い音がしたように思ったが、気のせいだろうか、音楽のせいだろうか。

プログラムの2曲を終わると、会場からはやんやの喝采。ファンのブラボーの声も普段にない大きさで指笛まで登場する。

先日の定期会員との交流会ではほとんど喋らなかったのが、今日はマイクを持ってちょっとお礼やら緊張しているなどというあいさつがあったが、そそくさと引き上げてしまった。

しかし、もちろん前もって準備していたのだろうけど、アンコールに応えて以外にも3曲を演奏した。
近くのおばちゃんたちのうるさいこと。

1曲めだけ曲目を紹介してくれたが、してくれなくとも分かる有名な黒人霊歌。2曲めは知らない曲だったが、ピアソラ風ではあった。
最後が、びっくりの「星に願いを」!
しみじみと童心に帰りたいと思わせる名曲の名演だった。

♪2014-85/♪みなとみらいホール-34