2014年6月28日土曜日

日本フィルハーモニー交響楽団第661回東京定期演奏会

2014-06-28  @サントリーホール


ピエタリ・インキネン[首席客演指揮者]
日本フィルハーモニー交響楽団

シベリウス:交響詩《夜の騎行と日の出》 作品55
マーラー:交響曲第6番イ短調《悲劇的》

シベリウスの作品はお初だった。CDも持っていないし、放送でも聴いた覚えがない。
最初から最後までシャカシャカとリズムが刻まれて、急き立てられるような音楽で、なるほど、馬で夜を駆けるのだろうが、最終盤に至って少しゆったりした、と思ったらもう夜が明けて終わりだった。

同じ交響詩の「フィンランディア」や「トゥネラの白鳥」に比べると馴染みのないせいもあるだろう。今回は楽しめなかったが、次回聴く機会があればどんな印象だろうか。


本日のメインイベントは、前日に引き続きのマーラーだ。
前回のサントリーホールもマーラー(東京交響楽団で第9番)だった。これが実に良かった。
また、6番については3月にやはり神奈川フィル+金聖響の退任記念演奏会で聴いて、これも素晴らしかった。

なにより、前日の神奈川フィルの「復活」があまりに凄かったので、どうしても期待は膨らむ。

しかし、大きすぎる期待が邪魔をしたか、なかなか音楽に没入できないのには弱った。体調がイマイチだったせいもある。何やら朝からシャキッとしていなかった。
「悲劇的」も十分「刺激的」な曲なのだけどそれが伝わってこないのはどうしたものか…と考えながら聴いていると余計に気持ちが音楽から遠ざかってしまう。

さりとて決してつまらない訳ではなく、日フィルは長大な音楽を十分緊張感を持って演奏し切ったと思う。
終曲のタクトが止まって暫時の沈黙を経て会場は割れんばかりの拍手とブラボーの合唱。これは大曲をともに共有できたという喜びのほかに、若い指揮者への激励もあったろう。

〈ピエタリ・インキネン〉
胸を打たれる、というような高揚感は得られなかったけど、これは最近の生々しい感動の記憶が引き算をしてしまったということだろう。

..あえて言えば、最前列で聴いている60歳前後と思しき男性。

顔を天井に向け目は閉じているが口はポカンと開いたまま。
右手が胸の前で手刀を切るように音楽に合わせて動き、時には両手を繰り出してさも指揮をしているような塩梅で完全没入している。
まるで脱法ハーブ状態だ。
そんな音楽の聴き方ってあるものか、と呆れて心中憎まれ口を利いていたのが、僕が没入できなかった原因の一つかもしれない。
もっと気の毒なのは隣席の紳士。いい迷惑で集中できていない様子がありありだった。

♪2014-64/♪ @サントリーホール-02