2014年3月22日土曜日

日本フィルハーモニー交響楽団第295回横浜定期演奏会

2014-03-22 @みなとみらいホール


シューマン:ピアノ協奏曲 イ短調 Op54ブラームス:交響曲第2番 ニ長調 Op73

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アンコールシューマン(リスト編):献呈(小菅優)E.エルガー:愛の挨拶(管弦楽)

小菅優:Pfアレクサンドル・ラザレフ:日本フィルハーモニー交響楽団




昨日に続いて同じみなとみらいホールだけど、席が完全に対極だ。昨日の神奈川フィルは舞台後方のP席。日フィル定期は3階正面が定位置。

昨日、P席から遥か彼方の3階席を眺めて明日はあそこだなあ、遠いなあ、と思っていたが、今日は3階席からP席を眺めている。まあ、どちらも一長一短だ。3階から舞台はあまりに遠いので、臨場感に欠ける。今日は、単眼鏡も持ってゆかなかったのでソリストの表情も見えない。
しかし、音はとてもまろやかで、良い録音のCDを家で聴いているようなきれいでバランスの良い音が届く。


特に、今日はピアノ協奏曲だったので、これはあまり近くで聴くより残響に包まれた方が良いみたいだ。音がきらめいている。

さて、小菅優というピアニストは多分初め聴くのだと思う。まだ若い女性だ。事前に何の予備知識も持っていなかったが今年『ベートーヴェン ピアノ・ソナタ全曲演奏会シリーズ』により芸術選奨新人賞音楽部門を受賞したというから、将来が楽しみな逸材なのだろう。

大好きなシューマンのピアノコンチェルト。

先月も金聖響、神奈川フィル、川﨑智子で聴いたばかりだから、ついそちらと比較してしまうが、聴く側の体調や気分も影響したのかもしれないものの、もっとやるせないような哀愁を滲ませて欲しい感じはあったなあ。


そしてブラームスの2番。
こういうドイツロマン派の組み合わせは、まがい物ではない正統的な西洋古典音楽の代表として安心して楽しむことができる。

時々、こういう音楽を聴くのは、音楽に対する雑念を初期化してリセットするのにいい。

ラザレフの指揮は多分2度め(過去の演奏会記録がなく記憶は曖昧。それで今年からは細大漏らさず記録することにしたけど続くだろうか…。)。


前回は苦手のマーラーで、あまり楽しめなかったが、今回は僕にとっては得意科目ともいえるブラームスで、十分楽しめた。

第1番の作曲で相当苦労した挙句成功を得たブラームスが肩の荷を降ろして取り組んだという作品だそうだが、心なしか、第1楽章や第3楽章にその軽やかさが感じられる。尤も全体としては自制された叙情性たっぷり?という屈折感が好きだ。



演奏が終わって、何度かのカーテンコールに応えていたラザレフのノリが尋常ではない躁状態に変だなと思ったが、そのうち、袖に引っ込んでから花束を持参して出てきた。

どういうことかと思っていたら、江口有香コンサートミストレス(女性のコンサートマスター)に手渡してみんなの祝福を受けよというジェスチャー。
そのうち彼女の手をとって指揮台に乗せ観客にも拍手してくれというサイン。なんだかよくわからないまま会場が盛り上がる。
そして、花束を持った江口氏と手を握り合ったまま、かねて準備してあったのだ。アンコールを兼ねたエルガーの「愛の挨拶」が演奏された。おそらくコンサートミストレスの退任を記念して謝意を示そうとしたのだろうと思って、帰りに日フィルの職員に確認したらまさにそのとおりで、今日で契約が切れるが、次期もやっていただけるようお願いしているところですということだった。
まあ、そうと知れば洒落た計らいだったが、多くの人は何のことか分からなかったのではないかと思う。

昨日に続いて、音楽以外のことでとても印象に残るコンサートになった。
明日もみなとみらいホールで読響定期だ。一体何が起こるだろう?





♪2014-23/♪みなとみらいホール11