2015年3月7日土曜日

神奈川フィルハーモニー管弦楽団第307回定期演奏会

2015-03-07 @みなとみらいホール


広上淳一:指揮
小林美樹:バイオリン
神奈川フィルハーモニー管弦楽団

ラーション:田園組曲 Op19
ステンハンマル:2つの感傷的なロマンス Op28
シベリウス:(バイオリンと弦楽のための)組曲ニ短調  Op117
シベリウス:交響詩「タピオラ」 Op112
グリーグ:「ペール・ギュント」第1、第2組曲
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アンコール
菅野祐悟:「天才官兵衛」(軍師官兵衛から)


3月に入って最初の1週間で、神奈川フィルの定期演奏会が2回。定期外演奏会が1回と、神奈フィルウィークだ。

さて、今日は北欧特集だった。
と言っても、シベリウス(フィンランド。今年生誕150年)、グリーグ(ノルウェー)は知っているけど、ラーションとステンハンマルなんて名前も音楽も聞いたことないぞ!

そのラーション(ラーシュ=エリク・ラーション)は1908年にスウェーデンで生まれ、亡くなったのは1986年だからまさに20世紀の人だ。
ベルクに師事し12音技法を学んだと解説にあるから相当難しい音楽かなと思っていたが、「田園組曲」に限っては、後期ロマン派を思わせる分かりやすく(調性もある)、軽妙な音楽だった。3つの部分「序曲」、「ロマンス」、「スケルツォ」でできているが、古典的な意味での「組曲」は舞曲の集まりだから、これはむしろ交響詩のような感じか。

次のステンハンマル(ヴィルヘルム・ステンハンマル)は同じくスウェーデン人で1871年生まれ。ラーションより一世代前だ。でも活躍したのは20世紀。
どんな音楽だろうかと思っていたら、「2つの感傷的なロマンス」もやはり後期ロマン派でも通るような作風だ。
独奏バイオリンと管弦楽によるバイオリン協奏曲風だ。タイトルどおりにセンチメンタルなメロディーをバイオリンが咽び泣くように奏でる。


独奏バイオリンの小林美樹は前回のヴィエニャフスキ国際コンクール(5年に1回)で2位になった人だ。この1年で3回目になるが、舞台度胸も貫禄が出てきたように思う。

次は同じ小林美樹の独奏でシベリウスのバイオリンと弦楽のための組曲。
3つの小品からできていて、いずれも親しみやすい。作品番号から、たぶん最後の作品だが、交響曲や交響詩に見られるようなフィンランドのどんよりした冷気などとは無縁で明るい。
なかなか聴けない曲だと思うので、ようやく見つけたYoutubeのリンクを張っておこう。

タピオラも良い演奏だった。


しかし、一番はやはり本日のメインイベント「ペール・ギュント組曲」だった。

若い時分からこれが好きで、ボロボロに成ったピアノ用スコアを今も持っているが、発行年月日が記載されていないけど、日本楽譜出版社発行で値段は50円。因みに同じ会社の同じスコアは現在540円だ。ああ、いったい何年前の楽譜だろう。


第1、第2組曲計8曲がどれも魅力的だ。
中でも「オーゼの死」や「ソルベーグの歌」は胸かきむしられる甘美で哀愁に満ちている。特に「ソルベーグの歌」は物語を知っているだけに胸に迫るものがあったな。

今日の神奈川フィル。
全く破綻を感じさせなかった。
響がよく統率されているし、管楽器で目立つような部分もなく、久しぶりに大いなる満足を味わった。

日本一忙しい指揮者らしい広上淳一の力量がオケの団員にも乗り移ったか。
シーズンの掉尾(ちょうび)を飾るにふさわしい良い出来栄えだった。

♪2015-21/♪みなとみらいホール-08