2024年4月29日月曜日

第128回N響オーチャード定期 東横シリーズ 渋谷⇔横浜 <ブラームス・チクルス>

2024-04-29 @オーチャードホール



クリストフ・エッシェンバッハ:指揮
NHK交響楽団
バイオリン:岡本誠司*

シューマン:バイオリン協奏曲二短調 WoO23*
ブラームス:交響曲第2番ニ長調 Op73
----------------------------------
シューマン(岡本誠司編):若者のための歌曲集 作品79から第19曲「春の訪れ」*
シューマン(岡本誠司編):「天使の主題」による変奏曲 WoO24から「テーマ」*
ブラームス:ハンガリー舞曲集から第5番(パーロー版)





5日前にエッシェンバッハ+N響でシューマン3本を聴いて、これはあまりにもサントリーが乾いていて、Vcも同じく。潤いのない音楽にがっかりした。

オーチャードの響はサントリーに比べると少しマシではあったけど、こちらも決して潤いのある美しい響とは言えない。

今日もシューマンのVn協とブラームス2番という黄金番組だったが、オケの出来は良くない。

そもそも先日のシューマン2番といい、今日のブラームス2番といい、管楽器15〜18に弦が60本も必要なの?
多すぎて高域弦がキンキンシャリシャリと不快な音を立てるのではないか。

が、ブラームス2番は第2楽章以降は良い感じだった。

しかし、Encにハンガリー舞曲5番。
これが余計で、おそらくリハなしではなかったか。
弦の滑舌が悪く管とも合っていなかった。

♪2024-061/♪オーチャードホール-02

2024年4月28日日曜日

横浜交響楽団 第731回定期演奏会 【ファミリーコンサート 映画音楽特集】

2024-04-28 @県立音楽堂



泉翔士:指揮
横浜交響楽団

第1部:映画に使われたクラシック
R.シュトラウス:「2001年宇宙の旅」から「ツァラトウストラはかく語りき(導入部)」
モーツァルト:「アマデウス」から「交響曲第25番ト短調 K.183」から第1楽章
ワーグナー:「地獄の黙示録」から「ワルキューレの騎行」

第2部:映画音楽
A.ニューマン:「20世紀FOXファンファーレ」
J.ウィリアムズ:「スターウォーズ」メインテーマ
久石譲:「となりのトトロ」から「さんぽ」、「風の通り道」、「となりのトトロ」
久石譲:「魔女の宅急便」から「晴れた日に…」、「海の見える街」、「パン屋の手伝い〜仕事はじめ」
J.ウイリアムズ:「インディー・ジョーンズ」から「レイダース・マーチ」
ハンス・ジマー:「パイレーツ・オブ・カリビアン」のテーマ



横響定期はたいていほぼ満足。と言っても、そもそもあまり大きな期待はかけていないのだけど。
ところがどっこい、今日は大満足だった。

映画音楽特集だからお馴染みで軽快なものばかりだったということもあるが、選曲も良かったよ。
そして、演奏もとても良かった。
珍しく大編成で最大でHrは6本、Tbも5本並んでいたなあ。打鍵楽器も色々登場。

モーツァルト25番はアンサンブルに不満が残ったがその余は大きな破綻もなく楽しめた。

20世紀FOXファンファーレから間をおかずスターウォーズに入ったのも良かった。
Encの「パイ・カレ」の出来は特に良かった。

他にも、今日は子供たちも多かったので、それを意識してかMC付きで、これをVnの奏者が兼ねたのだけど、プロみたいに上手い。
そして、今日は舞台上のお姉さんたちがいつもの黒づくめではなく色とりどりのドレスを着ての演奏。やはり華やかでよろしい。
とても気分良くして帰途に着いた。

♪2024-060/♪県立音楽堂-04

2024年4月27日土曜日

日本フィルハーモニー交響楽団 第396回横浜定期演奏会

2024-04-27 @みなとみらいホール



横山幸雄:指揮とピアノ
日本フィルハーモニー交響楽団

ショパン:《ドン・ジョヴァン二》の「お手をどうぞ」の主題による変奏曲変ロ長調 Op.2
ショパン:アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ変ホ長調 Op.22
ショパン:ピアノ協奏曲第2番ヘ短調 Op.21
-----------------
ショパン:12の練習曲 Op.10-12「革命」
ショパン:英雄ポロネーズ




横山幸雄の弾き振りによる全ショパン作品集。
「ドン・ジョヴァ」変奏曲は初聴き。
耳タコの「アン・スピと華麗ポロ」のオケ協奏版は初聴き。
メインはPf協2番。これこそ耳タコの名曲という訳だが、先の2曲も、Encの2曲も含め全曲がピリッとしなかった…のには訳がある。

ピアニストが弾き振りをするといつも、誰でも、どこでも同じだが、ピアノは舞台奥に向かって縦に配置され、奏者は客席にお尻を向けて座る。すると屋根が取り払われて全面オープンの状態だ。2階席の人(特にP席や袖上のバルコニーのお客)にとっては、いつもよりずっとPfの音に迫力があり、粒立ち良く聴こえるだろうけど、1階席では誠に残念な音になってしまう。音の輪郭がぼやけてしまい、塊となって聴こえるので各音の分離が悪く明瞭さを欠く。

オケの中に埋没気味にもなる。

いつもの景色と異なると、オケの音まで何だか頼りない。

最初から最後までピリッとしないコンサートだった。
来年4月にも第2弾が予定されているが、Pfは横を向けて、屋根を上げて欲しい。それでも弾き振りはできるだろうし、コンマスが意を介して協力するだろう。
でないと、せっかくの名人芸が台無しだ。

♪2024-059/♪みなとみらいホール-13

2024年4月19日金曜日

東京シティ・フィル第369回定期演奏会

2024-04-19 @東京オペラシティコンサートホール



高関健:指揮
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
バイオリン:南紫音

R.シュトラウス:楽劇「ぱらの騎士」作品59、第1幕及び第2幕から序奏とワルツ集
シマノフスキ:バイオリン協奏曲第1番 作品35
ベートーべン:交響曲第3番変ホ長調 作品55「英雄」



「ばらの騎士」の音楽は他人が編曲した組曲版ではなく、シュトラウス自身の手になる作品だそうだが、そもそも違いが分からない。冒頭のホルンで、ああ、これこれとオペラを思い起こしたが。

シマノフスキのVn協は3度目なのだけど、これもほとんど記憶がない。

いずれにせよ、この前半の2曲は、弦は14型と12型の違いはあったけど、多くの管打鍵が並んで賑やかなところは共通していた。
ここまで音を詰め込むか、という感じで暑苦しいばかりだ。
まあ、それをスマートにこなしていたとは思うが、楽しい音楽ではなかった。

後半。
シュトラウスと同じ弦編成(14-12-10-8-7)で「英雄」。これが実に良かった。
前半に厚ぼったいのを配したのは、軽快な「英雄」を聴かせたかったからか、と勘ぐりたくなるほど、気持ちの良い演奏で、何十回も聴いている「英雄」のオーケストレーションの巧さに、初めて気がついたものであった。
簡潔で無駄がなくすべての楽器が効果的に使われていて新鮮な驚き。これが高関健せんせいの今日の新工夫だったのだろうか。

♪2024-055/♪東京オペラシティコンサートホール-03

2024年4月14日日曜日

NHK交響楽団2007回A定期 04月公演

2024-04-14 @NHKホール



マレク・ヤノフスキ:指揮
NHK交響楽団

シューベルト:交響曲第4番ハ短調 D. 417「悲劇的」
ブラームス:交響曲第1番ハ短調 作品68





ヤノフスキはN響とのコンビしか聴いていない。
N響定期以外に東京春祭のオペラ・ワーグナーシリーズもいくつか聴いている。

しかし、見事にドイツものばかりだ。ワルシャワ生まれだけどドイツ育ちで、音楽の得意分野もドイツ音楽らしい。
こういう人のドイツ音楽は、安心して聴ける。おそらく、最も王道を極めつつあるのだろうな。

…と思って楽しみに拝聴したが、正統すぎて、存外淡白なドイツ音楽だった。そう聴こえたのは、たまたまその日の僕の体調のせいかもしれない。

N響の場合は、ほぼ全回?TV放送されるので、自分が会場で聴いた時の音楽と後日放送で聴く時では、印象が変わることも再々あるのでアテにはならない。

シューベルトの交響曲第4番は2〜3年に一度聴く程度なので、ほとんど馴染みがないけど、「悲劇的」なのは冒頭だけで、ほぼ全編明るく調子が良い。19歳の作だそうだ。

ブラームスの1番。いつ聴いてもよくできた音楽だと感心するが、もうちょっと、情緒的、情熱的な部分が欲しかったが、禁欲的なブラームスとしてはこんなところが正解なのかもしれない。

今日は振替席で聴いた。劣悪な席にふ振替られることが多いが、ラッキーなことに本来席とほぼ同じ場所でとても良かった。

♪2024-053/♪NHKホール-03

2024年4月13日土曜日

新日本フィル:すみだクラシックへの扉#22

2024-04-13 @すみだトリフォニーホール



佐渡裕:指揮
新日本フィルハーモニー交響楽団
角野隼斗:ピアノ*

チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番変口短調 Op.23*
チャイコフスキー:交響曲第5番ホ短調 Op.64
---------------------------
J.S.バッハ:羊は安らかに草を食み 変ロ長調 BWV208-9*
弦楽セレナーデ Op.48から第2楽章ワルツ




以前は好ましいと思っていた佐渡ちゃんも、昨年末の「第九」でちょいと違和感を感じた。

それ以来の登場で、今回は初めて聴く人気者の角野隼人とどんなチャイコを聴かせてくれるのか?と半ば不安混じりだったが、不安的中。

出だしのオケは良かったが、どうもPfのテンポが速い。オケとの会話が成立していないような気さえした。爆走するチャイコだ。
このテンポは指揮者と独奏者のどちらが決めているのだろう?少なくとも両者納得しているのだろうが、僕の耳は追いついてゆかなかった。

角野のピアニズムは華麗で、リストが生きていたらこんなふうに弾くのだろうかと思いながら聴いたが、落ち着きがなかった。

後半のチャイコ5番も第1楽章のテンポが”自在に変化”するのがちょっと耳障りだった。

佐渡ちゃんはもうしばらく、要観察だよ。

2024-051/♪すみだトリフォニーホール-03

2024年4月12日金曜日

みなとみらいアフタヌーンコンサート2024前期 佐藤晴真 & 仲道郁代 デュオ・リサイタル

2024-04-12 @みなとみらいホール



佐藤晴真:チェロ
仲道郁代:ピアノ

シューマン:幻想小曲集 Op.73(チェロ版)
ショスタコーヴィチ:チェロ・ソナタ ニ短調 Op.40
フランク:バイオリン・ソナタ イ長調(チェロ版)
-----------------------
ショパン:チェロ・ソナタから第3楽章






なかなか渋い内容だった。
ショスタコのVcソナタは2回目だったが覚えていなかった。が、彼の作品は何を聴いてもショスタコ印が刻印されているから、ああ、ここに印が、ここにも…と楽しんだ。

シューマンとフランクは何度も聴いている。
フランクのソナタはもちろんVnで多く聴いているがチェロも何回かある。直前は笹沼樹Vcと上田晴子Pfだったが、この時の楽譜は2人がチェロ用にアレンジしたものだった。
今回のはどうだったろう。聴き馴染んだVn用をそのまま使ったようにも思えたが。
この曲、いつも思うけど、第1楽章と第4楽章、いずれも好きだけど、前者のフランス風な軽いタッチと後者のドイツ古典派風な音楽の合体がしっくりこないけど面白い。

この演奏で、冒頭の旋律でVcは音を外した。ツボを外したというより、指遣いを間違えて音が外れたみたいな感じだった。ま、終わってみれば熱演でそんな小さな瑕疵は消し飛んだけど。

佐藤は今日で7度目。
彼のVcの音は大抵硬めだ。今日も硬かったが、明瞭で良い感じ。加えて仲道のPfもいつものYAMAHAらしい硬さがDUOに好都合だったかも。

♪2024-050/♪みなとみらいホール-011

2024年4月7日日曜日

團伊玖磨生誕100年記念公演 神奈川フィルハーモニー管弦楽団 Dramatic Series 歌劇「夕鶴」

 2024-04-07 @横須賀芸術劇場



沼尻竜典:指揮
神奈川フィルハーモニー管弦楽団
横須賀芸術劇場少年少女合唱団:子どもたち

砂川涼子(すなかわりょうこ):つう
清水徹太郎(しみずてつたろう):与ひょう
晴雅彦(はれまさひこ):運ず
三戸大久(さんのへひろひさ):惣ど

團伊玖磨生誕100年記念公演
神奈川フィルハーモニー管弦楽団
Dramatic Series
團伊玖磨:歌劇「夕鶴」<セミステージ形式>

第1部
 約85分
---休憩20分---
第2部
 約30分




「夕鶴」は、記憶が正しければ、半世紀近く僕が前に初めて観たオペラだ。つうは伊藤京子さんだったと思う。

それ以来の「夕鶴」だったが、物語自体は有名な木下順二の戯曲なのでいろんな形で頭に入っている。


横須賀芸劇は、あまり良い印象がないのだけど、今日の神奈川フィル・オペラの出来栄えが好印象に塗り替えた。


前回の神奈川フィル・オペラ「サロメ」も<セミステージ形式>と謳ってあったが、これが<演奏会方式>とどう違うのか、両者の違いに関する確立された見解はないようだが、この2回と、典型的な<演奏会形式>の東フィル・オペラと比べると、神奈川フィル版では、歌手はふさわしい衣装を纏い、舞台を縦横に動き回って演技をしながら歌う。舞台装置は極めて簡素だが一応ある。

したがって、歌手がドレスや燕尾服を着て立ったまま譜面台の前で歌うスタイルに比べるとずっと本舞台形式に近い上演だった。


特に、今回の横須賀芸劇では、ピット部分と客席の前3列を潰して舞台を拡張し、オケの前に相当広いスペースを確保したので、より本舞台に近い感じで観ることができた。


そして演唱と児童合唱とオケが、いずれも見事な上出来で、ぐいぐい引き込まれた。


なんと言っても、我がマドンナ、砂川涼子姫が抜群に良い。

これまでいろんな役を歌うのを聴いてきた。中ではミミやミカエラなどが嵌り役のように思っていたが、違うね。つうこそ砂川涼子にぴったりだ。もう他のソプラノじゃイメージできないくらいの嵌り役だった。


与ひょうの清水徹太郎も、運ずの晴雅彦も、惣どの三戸大久も、終わってみればすべて嵌り役だった。

横須賀芸術劇場少年少女合唱団もきれいな声で大役を果たした。


終盤のつうの最後の歌。

つうが鶴となって飛び立ち、残された与ひょうが痛恨の思いで「つう」と叫ぶシーンは、もうウルウルとしてしまった。


CCで並んだ際の砂川涼子の眼は潤んでいたと思う。オケの面々も心なしか眼を瞬かせていたようにも見えた。

舞台と客席が暖かい空気で一体感を以て繋がった、そんな印象を持った。


♪2024-049/♪横須賀芸術劇場-01

2024年4月3日水曜日

東京都交響楽団 第996回 定期演奏会Bシリーズ

2024-04-03 @サントリーホール



大野和士:指揮
東京都交響楽団
藤村実穂子:メゾソプラノ*

【定期演奏会1000回記念シリーズ①】
【ブルックナー生誕200年記念/アルマ・マーラー没後60年記念】
アルマ・マーラー(D.マシューズ & C.マシューズ編曲):7つの歌 [日本初演]
ブルックナー:交響曲第3番ニ短調 WAB103(ノヴァーク:1877年第2稿)




大野+都響は、先日「トリ・イゾ」で良い仕事をした。
同じ様な出来を期待したけど、こちらはどうもまとまりに欠けた。弦の響もイマイチ。

ピットと舞台。新国立劇場とサントリーという場所の違いもあるけど、今日の都響は、いつもの様に喧しいだけという印象が強かった。

それに、元々、ブルックナーは昔から良さが分からない。

冒頭数小節目からはじまるTuttiの強奏が、とても大げさで聴いていて恥ずかしくなる。その後も似た趣向が繰り返されるが、ベートーベンはもちろん、シューマンやブラームスなら絶対書かなかった旋律だ。
TVドラマの◯◯ライダー、とか◯◯サスペンスとか、◯◯将軍といった劇伴音楽ぽいので、笑ってしまう。

それでも演奏に隙がなけりゃ<管弦楽>として楽しめるけど、今日の都響はそんなレベルではなかった。

♪2024-048/♪サントリーホール-08