2020年8月31日月曜日

みなとみらいクラシック・マチネ~名手と楽しむヨコハマの午後〜 郷古廉Vn、横坂源Vc、北村朋幹Pf

 2020-08-31 @みなとみらいホール

郷古廉:バイオリン
横坂源:チェロ
北村朋幹:ピアノ

【第1部】
フォーレ:ピアノ三重奏曲ニ短調 Op.120
ラヴェル:ピアノ三重奏曲イ短調

【第2部】
ヘンツェ:室内ソナタ(1948)
ブラームス:ピアノ三重奏曲第1番ロ長調 Op.8


番組がPfトリオ(郷古廉・横坂源・北村朋幹)であることは知っていたが、何を演奏するか確認もせずに出かけたら、なんと小難しいのばかりだった。

ラヴェルとブラームスはCDでも生でも何度も聴いているが、フォーレの室内楽は圧倒的にPf4-5重奏しか生の経験がなくヘンツェに至っては名前すら知らなかった(この作品は無視!)。

フォーレのトリオがとても興味深かった。
CDを持っているのだけど、なかなか親しめないでいる。今回生で聴けば一歩理解が親しみが湧くかと期待した。死の前年78歳の作で死力を尽くしたか初演を聴く体力がなかったらしい。

この状況での作品だから、もう何の外連もなく、自分の信ずるところを純粋に追求したのだろう。いったいどういう境地がこのような作品を生むのだろう。調性はあるが歌えるような旋律は少ない。不協和音も転調も頻繁でなかなか寄り付き難い。この音楽を楽しめる日がいつかくるだろうか。

最後のブラームス。これは多少慣れ親しんでいるので心地よく聴くことができた。

さて、「3人の俊英」か。

それぞれに独自でも活躍している若手三人のアンサンブルは必ずしも良く練れていたとは思わなかったが、切先の鋭い立ち合いが緊張感に溢れてとてもスリリングだった。


♪2020-043/♪みなとみらいホール-09

2020年8月30日日曜日

読売日本交響楽団第121回みなとみらいホリデー名曲シリーズ

 2020-08-30 @みなとみらいホール


尾高忠明:指揮
三浦文彰:バイオリン*

読売日本交響楽団

メンデルスゾーン:Vn協奏曲ホ短調 作品64*
チャイコフスキー:交響曲第6番ロ短調 作品74「悲愴」
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ヴュータン:アメリカの思い出『ヤンキー・ドゥードゥル』*


みなとみらいホールの大ホールは5か月ぶり。読響は6か月ぶり。

久しぶりに最も好きなホールの理想的な好みの席で聴く読響サウンドの華麗なこと。

ああ、オーケストラの響はこれだと心が浮き立った。

今日の読響は2曲とも12型。弦の譜面台は各自立てていたが、格別距離を置いている風ではなく、管打は後方で左右目一杯に広げた配置が見た目に良い効果をもたらした。

三浦君のメンコンは良く通る音色で淡々と弾きこなして心地良し。

メインの「悲愴」を12型で聴いたのはひょっとして初めてかもしれないが、十分音圧があり、金管は明瞭さを増して実に華々しい。

引き締まった管・弦のアンサンブルは12型とは思えない迫力だった。


ところで、入場時にマスクをしていた団員は多かったが、演奏時にはほぼ全員が外した。

奏者が本番舞台でマスクをする意味はないし、マスクをしている図は美しくない。そういう意味でも久々に見る読響の姿勢は好ましかった。


♪2020-042/♪みなとみらいホール-08

2020年8月22日土曜日

モーツァルト・マチネ第42回「青年期 X 名手モーツァルト」

 2020-08-22 @ミューザ川崎シンフォニーホール


大谷康子:バイオリンと指揮
水谷晃:バイオリン*

東京交響楽団

<オール・モーツァルト・プログラム>
2つのバイオリンのためのコンチェルトーネ ハ長調 K. 190(186E) *
バイオリン協奏曲第5番イ長調「トルコ風」 K. 219
永遠のお姫様が古巣に戻って協奏曲を2曲、弾き振りで。


1曲目はVn2本協で水谷コンマスと共演。

弦5部で21人。管が6人という小編成で、ホンに室内楽的なサロン音楽を聴く気楽さ。

お姫様も迎えた東響もみんな楽しそうで心地良い演奏会ではあった。


♪2020-041/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-11

2020年8月19日水曜日

ランチタイムコンサート 口笛とギターで奏でる爽やかな響き

 2020-08-19 @ミューザ川崎シンフォニーホール


口笛:青柳呂武

ギター:志野文音

成田為三:浜辺の歌
ロブレス:コンドルは飛んでいく
ピアソラ:リベルタンゴ
青柳呂武:Fly in My Sky
コリア:スペイン
モンティ:チャルダッシュ
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マイ・フェヴァリット・シングス


口笛位僕でも吹けるが青柳くんは藝大卒・現院生で口笛の世界チャンプだ。見事なもので、音も実に美しく、どんな管楽器より微妙な音色を出す。加えて超速のタンギングなどの超絶技巧には”舌”を巻く。ギターとの相性がとても良く、2千人のホールが静まりかえった。


コロナは多くの厄災をもたらしているが、一方で、”静謐な音楽会”を味わえるのは怪我の功名だ。

市松配置とマスク(感染予防効果は疑わしい)が観客の声を封じている。

曲間のゲホゲホもまず聞かなくなった。

プログラムをめくる音さえしない完全な静けさの中で、口笛とギターが一層美しく響いた。



♪2020-040/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-10

2020年8月15日土曜日

東京交響楽団 東響オペラシティシリーズ第114回

 2020-08-15 @東京オペラシティコンサートホール


沼尻竜典:指揮
東京交響楽団

辻彩奈:バイオリン*

ストラヴィンスキー:バレエ音楽「カルタ遊び」
ブルッフ:バイオリン協奏曲第1番*
ベートーベン:交響曲第2番ニ長調 op.36
-----------------
J.S.バッハ:無伴奏バイオリンのための組曲第3番ホ長調 BWV.1006からロンド風ガボット


1曲目は腕慣らし。

期待の辻彩奈によるブルッフのVn協が実に素晴らしい。

この曲自体が大好物だが、彼女のVnはいつも明確な主張があるように思う。ホールの響きの良さにも助けられたか音量も豊かでオケに全く埋もれない。べト2番は聴く機会が少ないので聴けて良かった。


東響の編成は典型的な弦12型。3曲とも変わらなかった。

1プルト1対でスカスカではない普通の配置。やはりこれがいい。

指揮者、独奏者、水谷コンマスはマスクなし。それでよし。

他の弦奏者はマスクをしていた。何の為にマスクしているのか分からないよ。20分休憩ありの2時間コース。


添付したチラシは本来はノット氏の写真だったが来日できないので沼尻氏に変わったのでお遊びで顔写真などを貼り替えたもの。


♪2020-039/♪東京オペラシティコンサートホール-03

2020年8月12日水曜日

8月中席第2部

 2020-08-12 @国立演芸場


落語 桂南太郎⇒
平林
落語 桂宮治⇒上燗屋
落語 三遊亭兼好⇒夏泥
落語 三遊亭笑遊⇒幽霊の辻
俗曲 桧山うめ吉
落語 三遊亭円楽⇒読書の時間


TVでの人気者が揃って満員御礼。
先日の上席なんかガラガラだったのに。

確かに今日は高水準だった。
滅多に聴かない前座も巧かった。

二つ目ながら桂宮治は慣れたものだし、三遊亭兼好は軽さがいい。
三遊亭笑遊の捉えどころのないおかしさ。

円楽はイマイチだが。

♪2020-038/♪国立演芸場-04

2020年8月8日土曜日

八月花形歌舞伎 第三部

 2020-08-08 @歌舞伎座


義経千本桜
吉野山(よしのやま)

佐藤忠信実は源九郎狐⇒猿之助
逸見藤太⇒猿弥
静御前⇒七之助


今日はホンに「花形歌舞伎」の看板にふさわしい猿之助・七之助の「義経千本桜-吉野山」。

本来の演題は「道行初音旅(みちゆきはつねのたび)」というそうだ。「道行」は、一般的には道ならぬ恋をした男女の逃避行が多いが、ここでは義経の愛妾「静御前」(七之助)とその家来「佐藤忠信」(本当は狐:猿之助)という主従の道中を描いているのが珍しい。

ほとんど台詞のない舞踊劇だが、特に猿之助の表情がとても雄弁。狐であるからすっぽんから登場。最後も衣装の早変わりで狐の忠信として花道に消えた。

途中に大立ち回りもあって賑やかだ。

筋らしい筋もなく、妙な芝居だけど、型や仕草が満開の桜を背景に華やかだ。

拍手盛大だが、やはりここぞ、というところで「大向こう」の掛け声が欲しい。

世界の演劇に通じている訳ではないけど、「歌舞伎」は舞台と客席が一体となってその相互作用が生み出す芸能として稀有な存在ではないだろうか。

客席側の態度表明が拍手だけ(それもタイミングが難しい。)では寂しいし、芝居が成り立っていないと思う。


帰りに歌舞伎座のお兄さんに「大向こう席」を作るように申し入れをしておいた。
2、3階の上手通路後方に一角を区切って声を掛けたい人たちの専用席を作り、臨席との間はアクリルで仕切れば問題ないはず。真剣に考慮するかな。

♪2020-037/♪歌舞伎座-03

2020年8月5日水曜日

8月上席第2部

 2020-08-05 @国立演芸場


落語 入船亭辰ぢろ⇒たらちね
落語 柳家緑太⇒狸鯉
落語 春風亭柳朝⇒牛ほめ
落語 柳家小袁治⇒王子の狐
ものまね 江戸家小猫
落語 柳家さん遊⇒らくだ

半年振りの再開だが、興行形態が変わって2部制に。各90分中入りなし。各部別料金。短縮されたが料金変わらず。客席は市松でマスク着用。今日は40人弱が出せず😷、ほとんど声も笑いもせず😶…って何だよ。

本命の落語に聴きものなく、動物物真似の猫八が巧い。

♪2020-036/♪国立演芸場-03

2020年8月4日火曜日

フェスタサマーミューザ2020 新日本フィルハーモニー交響楽団 ≪久石譲、ベートーベンを振る!~≫

 2020-08-04 @ミューザ川崎シンフォニーホール

久石譲:指揮

新日本フィルハーモニー交響楽団

豊嶋泰嗣(新日本フィルハーモニー交響楽団 ソロ・コンサートマスター)*

久石譲:Encounter for String Orchestra
ベートーベン:バイオリン協奏曲ニ長調 作品61*
(カデンツァ:ベートーベン/久石譲)

ベートーベン:交響曲第7番イ長調 作品92


久石譲指揮による自作とベト2本。
Vn協は空中分解気味。

交響曲7番に至って纏り出した。

弦12型と言っても、Vc7、Cb6という低域増強が、2楽章では足枷のように音楽を引き摺ったが、3-4楽章に進んでからは音の厚みに変化して納得の仕上がり。

久石流ベトの独自な節回し。

♪2020-035/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-09

2020年8月3日月曜日

八月花形歌舞伎 第四部

 2020-08-03 @歌舞伎座

三世瀬川如皐 作

与話情浮名横櫛(よわなさけうきなのよこぐし)
源氏店

切られ与三郎⇒幸四郎
妾お富⇒児太郎
番頭藤八⇒片岡亀蔵
和泉屋多左衛門⇒中車
蝙蝠の安五郎⇒彌十郎


半年ぶりに再開した歌舞伎座で、幸四郎・彌十郎・児太郎・中車らの「与話情浮名横櫛」を観る。
掛声・大向こうの禁止、幕間の私語遠慮、という異常な状態で、観客の声援は拍手のみ。

幸四郎が見得を切る〜そこで拍手。
児太郎も見得を切る〜そこで拍手。

この気脈がなかなか飲み込めない。

それにしてもなんと静寂な歌舞伎座!
いつもなら開幕前や休憩中はそこここでおばちゃん達の甲高い話し声。

それがない。
全然ない。

座席は市松模様で前後左右が空いているから、友達も、恋人も、夫婦も、目下不倫中の2人も仲を割かれるので話しづらいということもあるが、みんなお行儀よく決まりごとを守って大したものだな。むしろ、開幕前に繰り返し放送される注意事項がホンに煩かった。


♪2020-034/♪歌舞伎座-02