2016-08-07 @ミューザ川崎シンフォニーホール
ラデク・バボラーク:指揮
仲道郁代:ピアノ
日本フィルハーモニー交響楽団
ウェーバー:歌劇「魔弾の射手」序曲
クーラウ:ピアノ協奏曲 ハ長調 Op.7
ベートーベン:交響曲第3番「英雄」
「魔弾の射手」序曲、有名なホルンの重奏によるメロディがあまり美しくないし、次いで出てくるクラリナットのメロディーも部分的に瑕疵があったように思った。
なぜ、指揮者のラデク・バボラークがこの曲を冒頭に置いたのか。自身が元はベルリン・フィルのソロ・ホルン奏者だったというから、そのホルンの聴かせどころの多いこの作品を選んだのだろうか。とすればあまり成功したとはいえないな。
彼女のfacebookから |
続いて、ソナチネ・アルバムで有名なクーラウのピアノ協奏曲だが、これは初聴き。
仲道郁代にとっても初めて弾くのだそうで、協奏曲のソリストにしては珍しく楽譜見ながら、当然に譜めくり付きでの演奏だった。
プロなら暗譜して臨むべきではとも思ったが、初めての作品で大して練習量も取れなかったのだろうな。やむを得ないか。
カデンツァは自作のものを弾いたようで、その楽譜、というより落書きのような覚書は(彼女のfacebookで)公表していた。
クーラウは、ベートーベンより16歳年下(1786年生まれ)でこれは「魔弾の射手」を書いたウェーバーと同い年だ。
ベートーベンを尊敬していたそうで(この時代の作曲家はまあ、誰も同様だろうが)、このピアノ協奏曲は意図的かどうか知らないけどベートーベンのピアノ協奏曲第1番ハ長調に出だしがそっくりだ。全体が、彼自身のソナチネを複雑巧緻にした感じで、ベートーベンのような構成力や重々しさはない。まあ、軽快な音楽というべきか。ソナチネ・アルバムと違って、技術的には相当難しそうだったが。
トリはベート-ベンの交響曲第3番「英雄」。
まずは、スローに始まったのに少し驚いた。第2楽章はさらに遅い。何と言っても「葬送行進曲」だから当然とも言えるが。
第3楽章のスケルツォくらいは早いテンポかと思ったが、これも聴き慣れたものより遅い。さらに第4楽章も相当遅く、結果的に実演時間は55分だった。もっとも第1楽章の提示部を楽譜通り繰り返したのかどうか記憶に無い。この長さだと繰り返したのだろうな。すると反復省略時に比べて4分位は余分にかかる。
すると今回の演奏が格別長いとも言えないのかもしれないが、まあ、聴いている時は遅い!と感じた。
テンポが遅い場合、演奏する側にも聴く側にも高いテンションを要求する。さあ、それが今回の演奏ではどうだったか。
僕の耳にはテンションに欠けたように思った。どうもイマイチまとまりが悪かったな。
余談だけど、帰宅して家のCDを確かめたらトスカニーニの第3番は47分、朝比奈隆のは61分。前者が提示部を繰り返したかどうか調べていないけど、とにかくテンポが早いので繰り返したとしても全体に短いのは理解できる。朝比奈はテンポが遅い上に確実に繰り返しているから長い。
♪2016-110/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-20