2016-08-16 @歌舞伎座
近松門左衛門 作
武智鉄二 補綴
一 嫗山姥(こもちやまんば)
岩倉大納言兼冬公館の場
荻野屋八重桐⇒扇雀
太田太郎⇒巳之助
局藤浪⇒歌女之丞
沢瀉姫⇒新悟
煙草屋源七実は坂田蔵人時行⇒橋之助
岡本綺堂 作
大場正昭 演出
二 権三と助十(ごんざとすけじゅう)
権三⇒獅童
助十⇒染五郎
権三女房おかん⇒七之助
助八⇒巳之助
小間物屋彦三郎⇒壱太郎
猿廻し与助⇒宗之助
左官屋勘太郎⇒亀蔵
石子伴作⇒秀調
家主六郎兵衛⇒彌十郎
2本とも初見。
「嫗山姥」は怪奇伝の類だろうか。
橋之助がその名前で出演する最後の舞台だが、それにしては甲斐性のない男の役(煙草屋源七実は坂田蔵人時行)だったな。
再会した女房八重桐(扇雀)から親の敵討ちや主家の難儀などを聞かされ、女房、妹や主君の苦労にひきかえ自分は源七と名を変え郭通いで身を持ち崩した不甲斐なさを恥じて切腹するが、その際に八重桐の胎内には時行の魂が宿り(将来坂田金時を産むことになる。)、そのため怪力の持ち主になって、悪党を蹴散らす~という話。
浄瑠璃(竹本)に合わせた長セリフが聴かせどころらしいが、あまり良く分からなかった。
元は傾城であった八重桐が神通力を得て変身するところが見どころで、これは衣装の早変わり(引き抜き?)もあっていかにも歌舞伎らしい。
「権三と助十」は江戸時代の長屋が舞台で繰り広げられる人情話であり、大岡裁きの話でもある。
まずは、この長屋の舞台装置がよく出来ていて、江戸時代の長屋はこういうものだったのか、と思わせる。猿回しや駕籠かき、小間物売りに女房たちが江戸の風情をよく表している。
染五郎(助十)と獅童(権三)もいかにもの江戸っ子ぶりで面白い。
話も良く出来ていて、セリフも現代劇風なので聴き取りやすい。
権三の女房おかんを演じた七之助が小粋な女っぷりでうまいなと思った。
♪2016-114/♪歌舞伎座-05