2025年6月17日火曜日

MUZAランチタイムコンサート 6月 ギターとピアノが紡ぐヨーロッパの音風景

2025-06-17 @ミューザ川崎シンフォニーホール



ギター:斎藤優貴*
ピアノ:上下玲奈

タレガ:アルハンブラの思い出*
トゥリーナ:セビリア風幻想曲*
カステルヌーヴォ=テデスコ:ファンタジア Op.145
 Ⅰアンダンティーノ
 Ⅱヴィヴァチッシモ
フンメル:ギターとピアノのためのポプリ
-------------------------------
ラヴェル:マ・メール・ロアから第3曲「パゴダの女王レドロネット」
*ギターのみ



ギター&ピアノという珍しい組合わせ。
音の大きさが相当違うので、ギターの前にはマイクが立ててあった。
ピアノにはそばにモニタースピーカーが置いてあった(でないと自分の弾くピアノの音でギターの音は聴こえなくなるだろう)ので、まずはその収音用のマイクだろうが、それだけではなく、PAを使って客席に拡声していたように思うが…。

とにかく、ギターの音は明瞭だった。

どれほど名手なのかはさっぱり分からないけど、この斎藤優貴という人は、国際コンクールでの受賞数が日本人ギタリストとして最多の55なんだそうだから、ま、飛び抜けて優秀なんだろう。

最初の2曲がギターソロで、ギターの王道をゆくような作品だった。

後半にピアノを迎えて、作曲者の名前も知らないような作品が2曲。元々こういう楽器の組み合わせが珍しいから、作品も限られてくるのだろう。いずれも演奏時間10分というから、小品というには、骨のある作品だった。

やはり、2台とも弦をはじくか叩くか違うと言っても似たような表現になるのと音の大きさに違いがありすぎて、果たして音楽として成功しているのかなあ、と疑問も頭をかすめつつ聴いたが、終始、ギターの世界の王道を外さない潔さは心地良かった。


♪2025-081/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-07

2025年6月15日日曜日

都響スペシャル

2025-06-15 @ミューザ川崎シンフォニーホール



沖澤のどか:指揮
東京都交響楽団
フランク・ブラレイ/務川慧悟:ピアノ*

ビュッシー:牧神の午後への前奏曲
プーランク:2台のピアノのための協奏曲ニ短調 FP61*
ストラヴィンスキー:バレエ音楽《春の祭典》
---Enc---------------
プーランク:カプリッチョ FP155*





楽しみは「春の祭典」。それ以外はどうでも良かったけど、聴かない訳にもゆかない。「牧神〜」は好物だ。
でも、これにはがっかりした。肝腎要のFlの音色が最初から最後までぼんやりしていた。もっと明るく艶っぽい音色で誘惑して欲しい。拍手しなかった。そんな気になれなかった。
とは言っても、2曲目プーランクは過去何度か聴いて楽しめる作品だと知っているし、若手の2人のピアニストに期待して前向きに臨んだが、やはりこれは面白い。第2楽章のモーツァルトの引用は20番の協奏曲だ。これで気分を直して後半へ。

弦16型のビッグサイズに拡張して並んだオケは文化会館やサントリーよりも広いミューザの舞台でも目一杯という感じ。
この音楽、リズムさえ破綻なければ上手いも下手も分からないような音楽だが、今日の都響のまとまりの良さには驚く。いつもの都響とは一味違って繊細さも豪胆さも備えて、行き詰まるような緊張感を最後まで維持した。
のどかマジック⁉︎

今日は、完売だそうで、ホンに、客席はもうすずなりだった。久しぶりに都響に大満足したよ。

♪2025-080/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-06

2025年6月14日土曜日

日本フィルハーモニー交響楽団 第408回横浜定期演奏会

2025-06-14 @みなとみらいホール



小林研一郎:指揮
日本フィルハーモニー交響楽団
千葉清加:バイオリン*

モーツァルト:バイオリン協奏曲第3番ト長調 K.216
マーラー:交響曲第1番(巨人)ニ長調
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J.S.バッハ:無伴奏バイオリンのためのパルティータ第3版*
マーラー:交響曲第1番(巨人)ニ長調終楽章最後尾部分



日フィル定期に限らず、どのオケ定期でも席は1階の真ん中だ。しかし、今回は、振替でもないのに席が変わった。
2階席を買った友人が、1階の真ん中で聴きたいというので交代してあげた。僕もミューザ以外の2階席はもう10年近く座っていない。たまには2階(4列目の中央なので、
決して悪い席ではないし、1階よりこの辺が好きだという人も少なくないのではないか?)で聴いてみたくて交代した。

しかし、全然没入できなかった。

最初のモーツァルトVn協は弦が10型だったかな。それに管が6本という小編成で、それはいいのだけど、音がもうか細いのなんのって、悪いけど、千葉ちゃんのVnも蚊の鳴くような音だよ。こりゃ、もう音楽以前だ。よくこんな席で(S席なんだけど)聴いているなあ、と心底驚いた。

後半は流石にマーラーの1番だ。弦は16型に管打が並ぶだけ並びましたと言わんばかりの大所帯。Hr8本、Tp5本、Tb4本、Tympも2組。その他打楽器も多い。

それで、2階席にも十分届いたので、これはまずまず楽しめたが、それでも弱い。1階のいつもの席で聴いていたらどんなにすごかったか、と悔やむこと頻り。

もう2度と2階席はゴメンだ(ミューザを除いて)。



♪2025-069/♪みなとみらいホール-14

神奈川フィル クローズアップコンサートinかなっく


2025-06-14 @かなっくホール




[第一部]
Vn1東亮汰
Vn2桜田悟
Va池辺真帆
Vc長南牧人
◆ボロディン:弦楽四重奏曲第2番二長調

[第二部」
SoloVn東亮汰
Vn1横山琴子
Vn2桜田悟
Va池辺真帆
Vc長南牧人
◆ビバルディ:四季メドレー
◆シューマン(萩森英明編):子供の情景 作品15〜第7曲:トロイメライ
◆ドボルザーク(クライスラー編):我が母の教え給し歌
◆エルガー:愛の挨拶 作品12
◆シャミナード:スペイン風セレナーデ
◆クライスラー:前奏曲とアレグロ
◆エンニオ・モリコーネ(萩森英明編):ニュー・シネマ・パラダイス(愛のテーマ)
◆J.ウィリアムズ:シンドラーのリストから「追憶」
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モンティ:チャールダーシュ


東くん(中学2年)を初めて聴いた時のポスター

神奈川フィルのメンバーによる室内楽@かなっくは”ブランチ”ハーモニーと銘打ったシリーズが3年ほど続いていたように思うけど、なぜか、今年度から”クローズアップ〜”に変わったらしい。尤も第2回目は予定されているとは聞かないから、今回で立ち消えになるかもしれない。

なので、今後も定着するかどうかは分からないけど、今回は、神奈川フィルの弦4人にゲストとして東(ひがし)亮太クンが加わった。

前半は、彼がVn1を受け持つSQでボロディンの2番。
後半は、彼がSQをバックにSoloを受け持つポピュラー名曲集。

前半は、どうもしっくりこなかった。冒頭の旋律はVn2以下の3本で奏でられるが、その部分が分解しそうな気がしてたよ。Vn1が入ってからはだいぶ軌道に乗ってきたが、最初の不信感は長く尾を引いたな。

後半は、普段はPf伴奏の部分をSQに編曲し直した名曲集だが、こちらはとても良かった。東クンのVnが実に明瞭で美しい。バックに徹した感のあるSQの方も良い調和を見せていた。この5人の弦の響がとてもいい。

そこに感心しながら、満足して聴き終えた。

「雨の日はホールが良く鳴る」というみつばちの法則がピッタリ当たった。

♪2025-078/♪かなっくホール-08

2025年6月13日金曜日

バレエ「不思議の国のアリス」

2025-06-13 @新国立劇場




【指揮】デヴィッド・ブリスキン
【振付】クリストファー・ウィールドン
【音楽】ジョビー・タルボット
【美術・衣裳】ボブ・クロウリー
【台本】ニコラス・ライト
【照明】ナターシャ・カッツ
【映像】ジョン・ドリスコル/ジュンマ・キャリントン
【パペット】トビー・オリー
【マジック・コンサルタント】ポール・キエーヴ


【アリス】池田理沙子
【庭師ジャック/ハートのジャック】速水渉悟
【ルイス・キャロル/白ウサギ】李明賢
【アリスの母/ハートの女王】益田裕子
【手品師/マッドハッター】スティーヴン・マックレー
 (英国ロイヤルバレエ


バレエ:J・タルボット「不思議の国のアリス」
全2幕

予定上演時間:  約2時間50分
プロローグ・第Ⅰ幕 50分
  休憩 25分
第Ⅱ幕 30分
  休憩 20分
第Ⅲ幕・エピローグ 45分


英国ロイヤル・バレエ・シネマで1月に観て、素人目にも全く新しいバレエだなと印象深かった。

映画版も分かり易くて良かったけど、今日の舞台でやはり生の迫力には敵わないいな、と当たり前のことを実感した。

音楽がポップだ。ピットの中まではよく見えなかったが、オケの半分は打楽器だそうだ。なので、クラシックバレエの雰囲気とは全然違う。

舞台が凝っている。なにしろ「不思議の国」だ。アリスが大きくなったり小さくなったり、それをプロジェクションマッピングなどでうまく見せる。

大きな猫が登場するが、あの造形もユニークだ。何人で演じているのか分からなかったが、体がバラバラになるのも面白い。

バレエ自体も、多分、新しいのではないか。
何しろ、衣装がほぼ普通の衣装で、いわゆるチュチュは全く出てこない。男性もタイツ姿は不思議の国の兵隊などに限られる。バレエというより芝居を見ているような感じだ。

しかし、なんと言ってもバレエが美しい。いつも思うが、特に女性の一挙手一投足が磨き上げられていて美しい。
全3幕もあって、しっかり中身が詰まってCCを含めて3時間の、夢のような、くすぐったいような、時間だった。

バレエ公演はいつものことだが、圧倒的に女性が多いが、今日は、というか、この演目だからかもしれないが特に多かったように思う。因みに、僕が座った列と前の列の計40席中、男性客は5人だったと思う。

♪2025-077/♪新国立劇場-10



2025年6月11日水曜日

横浜交響楽団 第740回定期演奏会 【交響曲の楽しみ①】

2025-06-11 @県立音楽堂



鏑木蓉馬:指揮
横浜交響楽団

ハチャトゥリアン:組曲「仮面舞踏会」
ベートーべン:交響曲第3番変ホ長調 作品55「英雄」
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ブラームス:ハンガリー舞曲第1番



◀️感想省略▶️





♪2025-076/♪神奈川県立音楽堂-07

2025年6月8日日曜日

クァルテット・インテグラ ベートーベン:弦楽四重奏曲全曲演奏会Vol.1

2025-06-09 @フィリアホール



クァルテット・インテグラ
 三澤響果:第1バイオリン
 菊野凛太郎:第2バイオリン
 山本一輝:ビオラ
 パク・イェウン:チェロ


ベートーベン:
弦楽四重奏曲第01番ヘ長調 Op.18-1
弦楽四重奏曲第16番ヘ長調 Op.135
弦楽四重奏曲第10番変ホ長調 Op.74「ハープ」



このメンバーは2回目で、前回もフィリアだった。
前回は、ハイドン、バルトーク、シューベルトで全部楽しめなかった。楽しめなかったのは、楽曲に馴染みが薄かったから。
で、今回は、ベートーベンの四重奏曲全16曲を1年に1回、全部で6年6回で演奏するという壮大な計画なので、これは乗ってみようと思ったが、最終回は2030年かい?生きているか、生きていても耳が役に立たなくなっているかもな。

やはり今回もあまり楽しめなかった。
30歳前後のグループだけど、地味な感じで、遊びというか、ゆとりというか、もう少し抜けていてもいいのではないかと思いながら窮屈なベートーベンを聴いていた。

今日は、1番、16番、10番だったので、もうこれでベートーベンSQの最初と最後と真ん中を聴いたので、全曲聴くこともないかと思ったよ。


♪2025-075/♪フィリアホール-03

2025年6月7日土曜日

NHK交響楽団2039回A定期 06月公演

2025-06-07@NHKホール



フアンホ・メナ:指揮
NHK交響楽団
ユリアンナ・アヴデーエワ:ピアノ*

リムスキー=コルサコフ:歌劇「5月の夜」序曲
ラフマニノフ:パガニーニの主題による狂詩曲 作品43*
チャイコフスキー:交響曲第6番ロ短調 作品74「悲愴」 
--------------------------
チャイコフスキー:18の小品作品72-第5曲「瞑想曲」*





フェドセーエフの病休による代理がフアンホ・メナ。悪くはなかったけど、できたらフェドとアヴデーエワで聴きたかったよ。

リムスの5月の夜序曲は全然良くない。冒頭のオーケストレーションが悪いのでは?
チャイコ6番も最近(5番も)楽しめなくなった。
アンサンブルが、さすがはN響というところがなかった。
マチネの日フィルの方とどっこいどっこいかな。

しかし、2番手だけは別格官幣大社だよ。
アヴデーエワが下手袖から一歩登場しただけで、客席は引き締まる。もう全員の関心を一手に攫った。

演奏中も超絶技巧を弾きこなしながらオケに気配りして一緒に音楽を作っているのが分かる。

終演後のステージ態度も好ましい。大物の貫禄を漂わせながらも愛想が良くてつい惹き込まれてしまう。

まあ、彼女を聴いただけで十分だったな。

ところで、今日の演奏はBS4Kで生放送だった。もちろん録画しておいたので、帰宅後再生すると、音もいいし、アンサンブルも纏まっている。

音楽は”生でなくちゃ”主義だけど、最近はTVの音もすごく進歩したので、時には、生でがっかりして帰るより家でTVなどで鑑賞した方がいいと思える場合も増えてきたよ。

だんだん老化が進んでいるのかもな。


♪2025-074/♪NHKホール-05

日本フィルハーモニー交響楽団 第771回東京定期演奏会

2025-06-07 @サントリーホール



ガボール・タカーチ=ナジ:指揮
日本フィルハーモニー交響楽団

ミクローシュ・ペレーニ:チェロ*

ドボルザーク:チェロ協奏曲ロ短調 作品104*
ブラームス:ハイドンの主題による変奏曲変ロ長調 Op.56a*
モーツァルト:交響曲第41番ハ長調 K.551「ジュピター」
-------------------------
J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲第1番ト長調 BWV1007から第2曲アルマンド*
モーツァルト:交響曲第41番ハ長調 K.551「ジュピター」から第3楽章





ペレーニは初聴き。写真で見るよりずっとおじいさん。
きれいな音だけど、やはり、物足りない。
この頃、管打楽器とPf以外の協奏曲は”生”では無理じゃないかという気がしてきたよ。

自分の聴力の問題だろうか?
そうではないと思う。室内楽じゃなんの不満も感じないもの。2千人ホールではPA付けたらいいと思うがなあ。

タカーチ=ナジは1W前に横浜定期で聴いたばかり。弦をとことん抑えてどうかと思ったが、今日はそうでもなく、日フィルの弦の美しさは健在だ。

横浜では、本編のつまらなさをEncのルーマニア民俗舞曲で一挙に大逆転して満足させてくれたが、Encも正統派でむしろつまらない。

タカーチは陽気な愛想の良い人で、CCが盛り上がる。
いやはや、オケも何度も客席に頭を下げさせられていておかしかったよ。

♪2025-073/♪サントリーホール-07

2025年6月6日金曜日

東京シティ・フィル第379回定期演奏会

2025-06-06 @東京オペラシティコンサートホール



藤岡幸夫:指揮
東京シティ・フィル管弦楽団
合唱:東京シティ・フィル・コーア**

戸澤哲夫:バイオリン*
安川みく:ソプラノ**
大西宇宙:バリトン**

ベートーベン:バイオリン協奏曲二長調 作品61*
ヴォーン・ウィリアムズ:カンタータ「我らに平和を与えたまえ(ドナ・ノービス・パーチェム)」**




前半はCMの戸澤氏の就任30年の祝賀の選曲と独奏でベートーベンVn協。これが全般的に元気がなくてがっかりしたよ。カデンツァはベートーベンがPf協へ編曲した際の自作のVn版だったと思う。最近、このティンパニーとの対話を聴くことが多い。

後半は、熱血漢藤岡氏が大好きだと言うVウィリアムズのカンタータ。プログラムには約40分とあったが、実演は36分くらいだった。
初聴きだが、もう冒頭から漂う香りは、英国風でノスタルジックだ。ホルストやエルガーでも感ずる英国民謡風の音階なのか旋法なのか知らないけど、ドイツ音楽の長調や短調とは別の世界で、なんだか懐かしい感じがするのは、アジアにも共通する5音音階なども取り入れられているのかも…と無責任に感じながら聴いた。

どういう物語が紡がれているのかは、藤岡ちゃんのプレトークで大体分かったので歌詞を見ることもなく雰囲気を味わった。
合唱、オルガンとSp、Brの独唱も良い感じで、これはもう一度聴いてみたい。
ただ、全曲はもう少し長いだろうと思っていたのと、最後が消え入るように終わるので、不意に終わってしまったような物足りなさは残った。

♪2025-072/♪東京オペラシティコンサートホール-05

2025年6月5日木曜日

東京都交響楽団 第1021回 定期演奏会Bシリーズ

2025-06-05 @サントリーホール



小泉和裕:指揮
東京都交響楽団
大木麻理:オルガン*

モーツァルト:交響曲第31番ニ長調 K.297(300a)<パリ>
芥川也寸志:オルガンとオーケストラのための<響>*(1986)
【芥川也寸志生誕100年記念】
R.
:交響詩《ツァラトゥストラはかく語りき》op.30






帰宅後、録画済みの今日放送の「クラTV」を観た。
今日は「ブラームスを味わう」で、解説極少で断片だがブラームスの固め撃ちに痺れた。そして、サントリーで過ごした2時間がえらく空疎なものに思えてきた。

小泉氏は好感度高い。
でも、都響はイマイチだった。最初のモツ31番で出鼻を挫かれた。弦が美しくない。
芥川の<響>は意表を突くのが身上の面白くない音楽だ。
演奏はこちらの方が良い出来だったが。

まあ、楽しみにしていたツァラトゥストラは、大規模編成の管弦楽を楽しむには(オルガンも入って)もってこいの作品だが、やはり、高域弦に難あり。音楽自体、賑やかなだけで心の響く類のものではない。

余生はベートーベン、シューマン、ブラームスだけあればいいか…とクラTVを観ながら思ったよ。

♪2025-071/♪サントリーホール-06

2025年6月3日火曜日

新国立劇場オペラ「セビリアの理髪師」

2025-06-03 @新国立劇場



【指揮】コッラード・ロヴァーリス
【演出】ヨーゼフ・E.ケップリンガー
【美術/衣裳】ハイドルン・シュメルツァー
【照明】八木麻紀

【合唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

Tn【アルマヴィーヴァ伯爵】ローレンス・ブラウンリー
Ms【ロジーナ】脇園彩
Br【バルトロ】ジュリオ・マストロトータロ
Br【フィガロ】ロベルト・デ・カンディア
Bs【ドン・バジリオ】妻屋秀和
Ms【ベルタ】加納悦子
Br【フィオレッロ】高橋正尚
Br【隊長】秋本 健
BsBr【アンブロージオ】古川和彦


ジョアキーノ・ロッシーニ「セビリアの理髪師」
全2幕〈イタリア語上演/日本語及び英語字幕付〉

予定上演時間:約3時間05分
 第1幕        95分
  休憩    30分
 第2幕     60分






20年の公演と同じ演出・同じ舞台美術(ロジーナとベルタも同じ歌手)なので、特に新たに感じたこともないのだけど、演出はやはり疑問だ。1960年代に移し替える意味は分からない。特に現代の日本人にとって、フランコ政権なんて全く興味の埒外だ。
オペラの演出家は、何か、独自色を出さなければ自分の存在意義がないとばかり、あれこれ読み替えをしたがるが、本作も全く成功していない。
黙役が多いがこれもいなきゃ舞台が寂しいがなんだか鬱陶しくもある。

尤も、演出の不足も、元の台本も音楽も面白いのでこれはこれで楽しめるけど。

伯爵役(R.ブラウンリー)以外はみんなとても良かった。
伯爵は本作の唯一のテノールなのに、ベルカント・テノールの良さが全く発揮されなかった。声に輝きがない。むしろ、バルトロやフィガロはバリトンだけど、かなり高域まで明るい輝きがあった。

また、なぜか、本作にはソプラノが登場しない。
しかし、物足りなかったのは序盤だけで、どんどん調子が良くなった。この時代、少なくともロッシーにはあまり声部にこだわっていなかったという話を読んだ記憶がある。音域的にソプラノに近いメゾなのかもしれない。現にロジーナ役はソプラノが歌っているDiscも持っている。

細かな装飾音やとてつもない早口言葉の歌唱など、ベルカントの魅力を堪能できる。

カーテンコールが長かった。もういいのにと思いながら付き合ったが、今日が千秋楽だったからなんだな。

♪2025-070/♪新国立劇場-09