2025年4月30日水曜日

東京都交響楽団 第1020回 定期演奏会Aシリーズ

2025-04-30 @東京文化会館



下野竜也:指揮
東京都交響楽団
東京混声合唱団*

トリスタン・ミュライユ:ゴンドワナ(1980)
夏田昌和:オーケストラのための<重力波>(2004)
黛敏郎:涅槃交響曲(1958)*






黛敏郎の作品て、聴く機会が少ない。演奏機会が少ないから。
今日の「涅槃〜」は初聴きだった。

オケが大(舞台)と小(左右の客席)が2セット配置された。舞台後ろには合唱団。

冒頭から、ものすごい低音が左から、鐘の乱舞が右から聴こえるのだけど、どこから?
後ろを振り向けば分かったのだけど、何やら恥ずかしいし、黙って、どこでやっているんだろうと想像しながら強力なサラウンドを楽しんだ。

いわゆるバンダとは違って、終始鳴っていたような気がするが、どうだったか?

梵鐘の周波数をサンプリングして微分音で再構成したとか…。そういうのに根っから興味ないし、第一聴き分けられない。
ただ、よく分からないまでも、不協の音の洪水に格闘して、化け物のような音の世界を聴かせる特大管弦楽は、上野の都響にはよく似合うよ。

♪2025-055/♪東京文化会館-05

2025年4月27日日曜日

日本フィルハーモニー交響楽団 広上淳一&日本フィル オペラの旅Vol.1 「仮面舞踏会」

2025-04-54 @サントリーホール



指揮:広上淳一
演出:高島勲
振付:広崎うらん
衣裳:桜井久美(アトリエヒノデ)
照明:岩品武顕
舞台監督:幸泉浩司

日本フィルハーモニー交響楽団
合唱:東京音楽大学

アメーリア⇒中村恵理
リッカルド⇒宮里直樹
レナート⇒池内響
ウルリカ⇒福原寿美枝
オスカル⇒盛田麻央
シルヴァーノ⇒高橋宏典
サムエル⇒田中大揮
トム⇒杉尾真吾

ヴェルディ:オペラ《仮面舞踏会》
(セミ・ステージ形式/全3幕/字幕つき)
<台本>アントーニオ・ソンマ
<作曲>ジュゼッペ・ヴェルディ





今年は東フィルのチョンさんのオペラがなくなったこともあり、東フィル定期は止めにしたが、代わりに日フィルが広上センセと組んでセミ・ステージでオペラを演るとは嬉しい。

実に面白かった。
いやはや不思議なことに、サントリーの響については文句ばかり言っているが、オペラとなると全く問題がなく良く鳴るのは今日だけではない。どういうことなんだろう?

とにかく、日フィルは聴かせてくれたし、歌手陣も素晴らしい。今をときめく最高のキャスト!とは言えないまでも、人気者を集めてよく通る・響くこと。特に僕は7列目という、オペラ聴くなら理想的?な席だったので、迫力のあること。

セミ・ステージだから演出が良かった、というほどに演出の出番はないのだけど、物語を分かり易く伝えるという意味では成功していたと思う。


アメーリアの恋の動機は不明なのだけど、彼女に加えてリッカルドとレナートの3角関係の厳しさはひしひしと伝わって、普段なら覚めて眺めることが多い、この種の確執劇に我ながら驚くほど感情移入していて、おかしい。

欲を言えば、サントリーのホールオペラ®️のように、もう少し踏み込んだ舞台作りができなかったか。
同じくピットのないミューザや芸術劇場で公演したミッキー最後の「ラ・ボエーム」のような舞台作りができなかったのかなと思うが、これも作品次第で、そこまで手間をかけても成功するとは限らないし、まあ、正装で譜面台の前で立って歌う演奏会形式に比べれば、ずっとドラマティックで良かった。いや、大成功だろうな。大満足したよ。


♪2025-054/♪サントリーホール-04

2025年4月26日土曜日

NHK交響楽団2036回A定期 05月公演

2025-04-26@NHKホール



ファビオ・ルイージ:指揮
NHK交響楽団
女声合唱:東京オペラシンガーズ
児童合唱:NHK東京児童合唱団
オレシア・ペトロヴァ:メゾソプラノ

〜マーラー・フェスティバル2025 演奏曲 〜
マーラー:交響曲第3番ニ短調







今日のマチネの神奈川フィルが上出来だったが、N響はやはり1枚上手だな。弦のアンサンブルがきれいだよ。

マラ3は好きでもないマーラーの中では数少ない聴いてみたい曲の一つだ。期待通りの上出来で、これまで聴いた中では2番目に良かった。

1番は、16年のN響Pヤルヴィで、これは本当にくっきりスッキリでN響のレベルの高さを納得させた…が残念なことに一度も放映されていない(4Kカメラが入っていたのに。)。
今日も、弦も管のソロも大変良かった。ああ、大管弦楽のアンサンブルとはコレだよ、という感じ。

尤も、3楽章のバンダのポストホルンの高域が苦しそうだった。放映の時には編集するのかな?と思っていたが、今日の演奏は放映しないんだそうだ。
どおりでマイクが少なかった。ビデオカメラも見なかったような?

この曲、大好きな人がいっぱいいるだろうけど、ちょっと長すぎるね。終盤のカタルシスが得られないよ。


♪2025-053/♪NHKホール-04

神奈川フィルハーモニー管弦楽団 第404回

2025-04-26 @みなとみらいホール



沼尻竜典:指揮
神奈川フィルハーモニー管弦楽団
上森祥平:チェロ(神奈川フィル首席)*


グラジナ・バツェヴィチ:弦楽オーケストラのための協奏曲
ショスタコーヴィチ:チェロ協奏曲第1番変ホ長調 作品107*
ショスタコーヴィチ:交響曲第12番ニ短調 作品112「1917年」
-----------------------
ブリテン:無伴奏チェロ組第2番から「チャッコーナ(シャコンヌ)」*





Gバツェヴィチって、これまでEncピースしか聴いたことなし。でも、冒頭の弦のユニゾンが実に美して、今日の神奈川フィルの弦はいいかも…と思いながら聴いていたら、いつまで経っても管打が入ってこない。それもそのはず、舞台に奏者がおらん。弦楽オケのための作品だった。
終始、破綻なく、良い響きで、初聴きでも、抵抗感なく楽しめた。

Vc協1番は、ショスタコの全作品中でもトップに揚げたいくらい大好物。それだけになかなか満足した覚えがないけど、協奏曲のソリストとしては初めて聴く上森翔平のチェロはとても心地良かった。欲を言えば、もう少し、低弦など、ゴリ〜というような力強さが欲しかったけど、小ホールで聴くかぶりつき室内楽のようにはいかんのだろうな。

メインのショスタコ12番。これは多分生で聴くのは2度目。
前回が7年ほど前で、なんの印象も残っていなかったが、これも冒頭低弦の強奏がきれいでインパクトがあって、ずるずる引き込まれてしまった。終わってみると、これって全4楽章なのにすべて続けて演奏されるんだ。
何だか、騙されたように腑に落ちないモヤモヤ感あり。
全部アタッカで繋がっているのか。なら、最初から単一楽章で書けば良いのではないか?

ま、演奏は良かった。弦に破綻がなかった。


♪2025-052/♪みなとみらいホール-09

2025年4月22日火曜日

東京都交響楽団 第1019回 定期演奏会Bシリーズ

2025-04-22 @サントリーホール



大野和士:指揮
東京都交響楽団

アリョーナ・バーエワ:バイオリン*


【ショスタコーヴィチ没後50年記念】
ショスタコーヴィチ:バイオリン協奏曲第1番イ短調 作品77*
チャイコフスキー:交響曲第5番ホ短調 作品64
------------------
グラジナ・バツェヴィチ:ポーランド・カプリース






同じ大野和士ちゃんの指揮で2W前のA定期は良い出来栄えだったが、今回は楽しめなかった。

都響、16型、サントリーはまことに良くない組合わせだ(まれに良い時も)。

前半は、目立たなかった高域弦が、特に終楽章にキンキンシャリシャリと不快なこと。
これはいかんな。

でも、SNS評ではとても良い演奏だったという声も散見されるのでますます僕の耳に自信がなくなるよ。
音楽の作り方については好みの問題だが、音・響なんて‘れが聴いても同じだと思うが、場所の問題か?
つまり、最良の場所で聴く方がアラが目立つ?

…それは言えるかも。

いっそ、2回席の後ろの方で、直接音も間接音も聴き分けできないくらい混ざっておれば元のキンシャリもまろやかになるのかもしれない。

♪2025-051/♪サントリーホール-03

2025年4月19日土曜日

日本フィルハーモニー交響楽団 第406回横浜定期演奏会

2025-04-19 @みなとみらいホール



横山幸雄:指揮&ピアノ
日本フィルハーモニー交響楽団


ショパン:ポーランドの歌による幻想曲イ長調 Op.13
ショパン:演奏会用ロンド「クラコヴィアク」ヘ長調 Op.14
ショパン:ピアノ協奏曲第1番ホ短調 Op.11
-----------------------------
ショパン:12の練習曲 Op.10-1
ショパン:英雄ポロネーズ




横浜幸雄の弾き振りでショパンのピアノと管弦楽のための作品全6曲を演奏するシリーズの2回目。ちょうど1年振りだ。

今回は残りの3曲だった。

ただし、Pfの音はイマイチだった。
ピアノの屋根を取り払いオケに縦方向に据えられたピアノからは、いつも聴く屋根から反射する豊かな響とはだいぶ違う。物足りない。

前回も、このせいでしっくりこなかったけど、今回はなぜか、かなり入り込むことができた。

数日前(4/15)に放映されたクラシック倶楽部で、「ポーランド〜」も「クコヴィアク」も興味深く聴いたばかりだったせいかもしれない。

------前回(2024/04/27)のプログラム---------
ショパン:《ドン・ジョヴァン二》の「お手をどうぞ」の主題による変奏曲変ロ長調 Op.2
ショパン:アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ変ホ長調 Op.22
ショパン:ピアノ協奏曲第2番ヘ短調 Op.21


♪2025-050/♪みなとみらいホール-08

2025年4月18日金曜日

横浜弦楽四重奏団 横浜みなとみらいホール定期演奏会 Vol.07

2025-04-17 @みなとみらいホール



横浜弦楽四重奏団
 Vn:小笠原伸子、有馬希和子
 Va:百武由紀
 Vc:間瀬利雄
 Pf:広瀬則子


ハイドン:
弦楽四重奏曲 第76番 ニ短調 作品76-2「五度」
モーツァルト:
ピアノ四重奏曲 第1番 ト短調 K478
ベートーベン:
弦楽四重奏曲 第9番 ハ長調 作品59-3
「ラズモフスキー第3」
------------------
ボッケリーニ:メヌエット





◀️感想省略▶️


♪2025-049/♪みなとみらいホール-07

2025年4月13日日曜日

午後のアルゼンチンタンゴ 〜コントラバホ・ミロンゲーロ・コンサート

2025-04-13@かなっくホール



コントラバホ・ミロンゲーロ
 イレーネ・フェラーリ:歌
 東谷健司:コントラバス
 早川純:バンドネオン
 青木菜穂子:ピアノ


第1部
1ロレンソ・ロガッティ:「抵抗しがたいもの」
2イレーネ・フェラーリ:「五月大通りのワルツ」
3イレーネ・フェラーリ:「愛ってなんだか知らないわ」
4イレーネ・フェラーリ:「運命」
5アニバル・トロイロ:「南」
6ファン・デ・ディオス・フィリベルト:「カミニート」
7ファン・デ・ディオス・フィリベルト:「バンドネオンの嘆き」

第2部
1ルイス・ルビンスタイン:「私の街のカーニバル」
2カルロス・ガルデル:「帰郷」
3イレーネ・フェラーリ:「タンゴ好きな女の子」
4エドゥアルド・アローラス:「エル・マルネ」
5イレーネ・フェラーリ:「マファルダ」
6イレーネ・フェラーリ:「ボルデオ」
7イレーネ・フェラーリ:「Why not?」



◀️感想省略▶️



♪2025-048/♪かなっくホール-06

2025年4月12日土曜日

NHK交響楽団2034回A定期 04月公演

2025-04-12 @NHKホール



パーヴォ・ヤルヴィ:指揮
NHK交響楽団
アントワーヌ・タメスティ:ビオラ*

ベルリオーズ:交響曲「イタリアのハロルド」*
プロコフィエフ:交響曲第4番ハ長調 作品112
(改訂版/1947年)
----------------------
J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲第1番ト長調 BWV1007(ビオラ版)から「前奏曲」*





期待のPヤルヴィ。常任指揮者時代はたいてい響きも音楽の構成感も引き締まった演奏に好感していた。

今日も、一部にそういう雰囲気を彷彿とさせたが、全体としては、弦が美しくなかった。これがN響?と合点の行かない響きだったが、何が問題だったか?

2曲とも演奏機会が極めて稀で、おそらく、両方とも生では過去1回しか聴いていない。

「イタリアの〜」では、驚くことに指揮者の下手に用意してある独奏者用スペースに独奏者がいない状態で演奏が始まった。え〜?どこにいるんだ?と思ったら下手のハープの右に立って弾き始めた。以下、舞台中央(本来の独奏場所)、上手コンバスの内側、下手ハープの左と変幻自在だ。
独奏者ご本人のアイデアだそうだ(各楽器との掛け合いもあったかららしい。)。

また、終楽章に弦楽四重奏が入ることは覚えていた。
前回神奈川フィルで聴いた際は、Vn2人とVcが舞台から消え、舞台上の独奏Vaと弦楽四重奏を演奏した。

しかし今回はそういうバンダ的な演奏ではなく、各楽器のうんと後ろのプルトの奏者が独奏ビオラと舞台上で四重奏を弾いたので、あれ、どこでやってるの?とうろうろしながら結局カーテンコールで気が付いた次第。

まあ、管弦楽作品としてはコリに凝った作品だけど、あいにく、面白くない。


プロコ4番。これも随分久し振りで、かつ、始まっても覚えのある旋律も出てこなくて、記憶は完全消失していた。
そして、序奏?がニョロニョロと頼りなく、もうここで、集中する気力を失った。

ま、2曲とも楽しめなかった最大の原因はN響の、特に弦の響に艶がなかったことだと思う。

タスメティのEncでバッハの無伴奏Vc組曲1番前奏曲を弾いたがこれはとても良かったな。

♪2025-047/♪NHKホール-03

バレエ「ジゼル」

2025-04-12 @新国立劇場



【指揮】冨田実里
【振付】ジャン・コラリ/ジュール・ペロー/マリウス・プティパ
【演出】吉田都
【ステージング・改訂振付】アラスター・マリオット
【音楽】アドルフ・アダン

【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

【ジゼル】柴山紗帆
【アルブレヒト】速水渉悟
【ヒラリオン】渡邊拓朗
【ミルタ】山本涼杏

バレエ:アダン「ジゼル」
全2幕

予定上演時間:約2時間15分
第Ⅰ幕 55分
  休憩30分
第Ⅱ幕 50分



「ジゼル」はおそらく35年ぶりくらいで観たよ。
前回の内容は完全消失していたので、こんなに素晴らしいバレエだとは思ってもいなかった。

舞台美術、振り付け、演出に非の打ち所がない。
何よりもバレエ自体…特に群舞がよく揃って見事な出来だ。

パントマイムという宿命から、話の筋は見えにくいものだけど、今回は細かい仕草の振り付けもよくできていて、彼らの気持ちも良く分かる。

賑やかで明るい調子の1幕との対比で2幕のウィリ(裏切られた乙女たちの霊)の踊りがとりわけ面白かった。

裏切られた乙女がこんなにはいないだろうと思いたいが、24人かな?登場して、完全に無表情で完璧なシンクロ芸を見せて、悪い男を踊り狂わせて死に追いやる。
怖くて、しかし美しい。


ジゼルを初めは遊び半分で誘惑して夢中にさせた挙げ句、許嫁の存在がバレてジゼルを狂乱の踊りで死に追いやることになる王子もウィリの復讐を受けるが、ジゼルの霊が彼を助ける…が、本当に助かったのかどうかは分からない。余韻を残す幕切れでそれも面白いと思った。

とにかく、完成度が高い。
この作品は、7月にロイヤルオペラハウスでの公演が予定されているというが、このレベルの高さだと大成功するような気がするな。いや、して欲しいものだ。

♪2025-046/♪新国立劇場-07

2025年4月7日月曜日

東京都交響楽団 第1017回 定期演奏会Aシリーズ

2025-03-14 @東京文化会館



大野和士:指揮
東京都交響楽団
キリル・ゲルシュタイン:ピアノ*

ベルク:管弦楽のための3つの小品 作品6
ブラームス:ピアノ協奏曲第2番変ロ長調 作品83*






ベルクの「管弦楽のための〜」は3回目だったが丸切り忘れている。

特大規模の編成だ。
弦は当然16型。
管は多彩でその分演奏者も多い。
特に打楽器はドラが2台、Timpも2組。ハンマーまで登場した。尤も第2Timpには神奈川フィルの篠崎くんが客演していたが、ほとんど出番はなかった。ハンマーはか弱き女性が振り回したせいか迫力不足。

ともかく、大勢が駆り出されたが、音楽の方は面白くない。C/Pが悪い音楽だ。作曲家の自己満足に過ぎないような気がするよ。

とはいえ、文化会館のビッグステージに目一杯広がった都響の演奏は、粒立ち良く定位も良くこれぞ超立体音響(…本末転倒なことを言っているよ。)で聴く管弦楽の面白さも味わった。


音楽的には後半のブラームスが盛り返してくれた。
ピアノのキリル・ゲルシュタインは23年に都響と共演しているそうだが僕の記録にないのでAB以外だったのかも。
それより、もう1人のキリル(ペトレンコ)が指揮するベルリン・フィルと共演した22年のワルトビューネでのラフマニノフ2番はちょっと印象に残っていたよ(TV録画で)。

今回も、とても良かった。
正統的で、ケレンなく、堂々として、これぞドイツ・ロマン派の真骨頂という感じ。
ブラームスの素晴らしさを全幅に味わった。

ゲルシュタインのステージマナーにも風格を感じた。大人だね。45歳。僕と歳はだいぶ違うが誕生月日が同じなんだ。どうでもいいけど。

この頃、体力的に衰えているのではないかと心配していた大野ちゃんも、今日、見る限りではすごく力をセーブしながら、しかし、手勢を明確にコントロールしていて、大編成大好きな都響から良いアンサンブルを引き出していた。

♪2025-035/♪東京文化会館-03