2025年8月31日日曜日

ミューザ川崎市民交響楽祭2025

2025-08-31 @ミューザ川崎シンフォニーホール



和田一樹:指揮
かわさき市民オーケストラ2025
(幹事オケ:麻生フィルハーモニー管弦楽団)

三舩優子:ピアノ*


レスピーギ:ローマの噴水
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番ハ短調 Op.18*
レスピーギ:ローマの祭り
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ラフマニノフ:前奏曲「鐘」嬰ハ短調 Op.3-2*
レスピーギ:ローマの松からアッピア街道の松




川崎市内4オケの選抜合同オケ。
ミューザという響きの良いホールのせいもあって、アマオケとも思えぬ巧さ。管楽器のソロも本に上手だ。

レスピーギの「噴水」と「祭り」をやると言うから、いっそ、3部作にしてラフマをカットすれば良かったのに…なんて思いながら聴いていたが、三舩優子のピアノが溌剌として好感。おまけにEncがラフマの「鐘」だった。この曲は、時に聴いてみたくなるのだが、そろそろ聴きたいというタイミングに嵌ってうれしや。

ローマ二部作はいずれも上出来。もう少しオケを大きくできなかったろうか(14型だった)。管弦楽をナマで聴く楽しさだ。

終演したか。と思いきや、袖からゾロゾロ管が入場し、最大規模になってEncが始まった。すぐ分かったよ。
「ローマの松」から「アッピア街道の松」だ。
心憎い選曲。
3部作のおいしいところを全部聴かせて、客席も高揚感で大いに盛り上がった。
「交響楽祭」に相応しい。



♪2025-118/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-20

2025年8月16日土曜日

横浜みなととなみ管弦楽団 第17回演奏会

2025-08-16 @ミューザ川崎シンフォニーホール



児玉章裕:指揮
横浜みなととなみ管弦楽団
混声合唱:東京オラトリオ研究会
みなととなみ「千人の交響曲」合唱団
児童合唱:ゆりがおか児童合唱団

独唱:
 Sp見角悠代
 Sp朴瑛実
 Sp宮原唯奈
 Ms増田弥生
 Alt後藤真菜美
 Tn市川浩平
 Bar大井哲也
 Bs渡部智也

マーラー:交響曲第8番変ホ長調「一千人の交響曲」






その都度メンバーを集めて年に2回程度演奏会をやっているという、横浜みなととなみ管弦楽団。妙な名前だ。回文にするなら「横浜みなととなみ浜横管弦楽団」だろうに。

この聞いたこともないアマオケが「千人の交響曲」をやるって!ほんまかいな?

もちろん千人もいないけどやはり300人くらいは並んでいたかも。概略オケ100人、声楽200人の見当だ。N響でも何度か聴いたが「300人の交響曲」だった。過去に一番大規模なのは神奈川フィルが650人くらいだったかな(合唱が大規模だったということだが。)。

オケも合唱も、ある程度の規模になれば、あといくら増えても限界効用逓減の法則でさほど変わらないので、音楽的には300人くらいでちょうど良いのかもしれない。

とはいえ、大した数だから、アマオケがよくこんなに大勢の奏者、合唱団を集めたものだと感心する。

音楽が始まると、冒頭のオルガンと合唱でもう威圧され、そのまま、この大袈裟な世界に引き摺り込まれて85分間。
音の洪水を楽しんだ。

全体としてざわざわしていたけど、俄づくりのアマオケとは思えない迫力。いや、なかなか上手だったと思うよ。

♪2025-114/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-19

2025年8月13日水曜日

新国立劇場オペラ「ナターシャ」 <新制作 創作委嘱作品・世界初演>

2025-08-13 @新国立劇場



指揮:大野和士
演出:クリスティアン・レート
美術:クリスティアン・レート
   ダニエル・ウンガー
衣裳:マッティ・ウルリッチ
照明:リック・フィッシャー
電子音響:有馬純寿
振付:キャサリン・ガラッソ

【ナターシャ】イルゼ・エーレンス
【アラト】山下裕賀
【メフィストの孫】クリスティアン・ミードル
【ポップ歌手A】森谷真理
【ポップ歌手B】冨平安希子
【ビジネスマンA】タン・ジュンボ

【サクソフォーン奏者】大石将紀
【エレキギター奏者】山田 岳



細川俊夫:作曲「ナターシャ」
多和田葉子:台本
<新制作 創作委嘱作品・世界初演>

全1幕〈日本語、ドイツ語、ウクライナ語ほかによる多言語上演/日本語及び英語字幕付〉

予定上演時間:約2時間35分
 序章〜第4場         70分
  休憩    30分
 第5場〜第7場 55分




不満だらけの新作だった。
そもそも「ナターシャ」と「アラト」は同一価値のキャストでありながら「ナターシャ」というタイトルが既に混乱している。ナターシャにヒロイン性はない。なら、同一に扱って「ナターシャとアラトの地獄珍道中」とでもすべきだった。

津波などで地獄に漂着した二人がなぜ地獄めぐりをするのか分からないし、ナントカ地獄を次々巡るのだが、その意味も分からん。
現代社会の地獄のような様相を切り取って社会批判にもなっているのだろうけど、それが何だよ。
そもそも主人公は漂着しただけで地獄に値する罪は犯していない。いや、なんの罪も犯していないのに、なぜ地獄めぐりなのか?

上方落語の名作「地獄八景(ばっけい)亡者の戯れ」を台本にしてこれに音楽を付けて抱腹絶倒のオペラにしてくれたらなあと切に思ったよ。

電子音楽を含むやかましい魅力のない音響。
客席内にはPAが特別に設置されていたらしい。
歌手もなぜかマイクを使って歌う場面もある。
アリアらしいアリアもなく、2人の主人公らしき男女も場繋ぎの役でしかない。



感心したのは、紗幕の使い方だ。3〜4層に幕を張ってそこにプロジェクションマッピングで状況が表現されるのがとてもよくできている。最後のスモークのコントロールも大したもんだなあ。

ま、そういう舞台装置の工夫には好感持った。
ゼッフィレッリの「アイーダ」なんか、全幕に全面紗幕だが全く意味がない。「椿姫」の最終幕に何で全面紗幕が必要なんだ。そういうつまらない紗幕の使い方が多い中で、今日の紗幕はこういうふうに使うんだ、というお手本のような活用法に胸の痞が降りた感じだ。

ああ、ついに今季も終わったか。有終の美は飾れなかったな。いや、そもそも不作の1年だった。

♪2025-112/♪新国立劇場-13