2025年11月22日土曜日

日本フィルハーモニー交響楽団 第412回横浜定期演奏会

2025-11-22 @みなとみらいホール



太田弦:指揮
日本フィルハーモニー交響楽団
牛田智大:ピアノ*


ショパン:ピアノ協奏曲第2番ヘ短調 op.21*
チャイコフスキー:交響曲第5番ホ短調 op.64
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ショパン:ノクターン 作品62-1*
チャイコフスキー:弦楽セレナードから「ワルツ」





牛田人気は感じられたが、完売ではなかったらしい。
みなとみらい大ホールは今月に入ってはウィーン・フィル、ベルリン・フィルと人気の公演が続き客席も熱気があり、舞台も大編成で目一杯並んで賑やかだったが、今日のショパンは弦12型とコンパクト。

チャイ5では16型になるかと思ったが14型止まりだった。

牛田くんにはショパンコンクールでの残念な結果への客席の思いやりというか、激励というか、好感に溢れた雰囲気で、クラシックのコンサートとしては珍しい様子だった。



最近の日フィルの、特に弦の透明感、管とのアンサンブルの美しさには刮目すべきものがあると思っていた。
実際、同じホールの同じような場所の席で他のオケ、特に最近はウィーン・フィルやベルリン・フィルと聴き比べても遜色がない。十分世界に通ずる実力があると思っていたが、今日の出来について言えば、やや、寂しかったな。

日本三大オケを選ぶなら、その中では第3位くらいかと長く思っていたが、カーチュン・ウォンの9月定期で耳が覚醒して、以後、3大オケ中の第1位ではないか、と仮置きしている。
今後も楽しみにしよう。


♪2025-154/♪みなとみらいホール-34

2025年11月20日木曜日

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団来日公演

2025-11-20 @みなとみらいホール



キリル・ペトレンコ:指揮
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

ヤナーチェク:ラシュスコ舞曲
 第1曲昔の踊り1
 第2曲祝福の踊り
 第3曲ふいご
 第4曲昔の踊り2
 第5曲チェラデンスキー
 第6曲のこぎり
バルトーク:『中国の不思議な役人』組曲 作品19
 序奏-若い娘と三人のならず者
 ~最初の誘惑-老紳士
 ~第二の誘惑-若者
 ~第三の誘惑一役人
 ~娘の踊り
 ~追いかける役人
ストラヴィンスキー:バレエ音楽『ペトルーシカ』*(1947年改訂版)
 第1場 謝肉祭の市場
 第2場 ペトルーシュカの部屋
 第3場 ムーア人の部屋
 第4場 謝肉祭の市場とペトルーシカの死

*チラシ、プログラムでは「ペトルーシュカ」と表記してあったが、検索の便宜のために従来の「ペトルーシカ」と記録する。







10日前にウィーン・フィルを今日のベルリン・フィルと同じみなとみらいホールの近くの席で聴いた。僕の好みの1階前後左右の真ん中のエリアの良席だった。

ウィーンのチケットは45K円だったが、内容に比べて随分高いと思った。
今日のベルリン・フィルは50K円で、プログラムが別売り2K円なので、ウィーンより実質7K円も高い!

さあ、それだけの差が演奏に表れるのか?

好みの結論は、7K円どころか、せいぜい1K円くらいの差だろう。多少、ベルリンの方が好ましかった。
それと言うのも取り上げた音楽が両極端だったから。

ウィーンはコテコテの独墺の王道(Bプロ:シューマン&ブラームス)だったが、ベルリンは東欧(チェコとハンガリーは中欧と言うのが正しいらしいが)の舞曲で固めた(Aプロ:ヤナーチェク&バルトーク&ストラヴィンスキー)。

20世紀の民族色強い舞曲となると、管楽器も弦楽器もリズムマシーンと化するような音楽で、拍を合わせる技術など難しい面もあるだろうけど、弦楽器の透明感や潤いといった点がほとんど期待できない。
逆に言えば、弦の響の欠点やアンサンブルの失敗もカバーされやすい。

一方で、シューマンもブラームスも、冒頭から緊張感を要求され、アンサンブルの難しさが際立つ音楽だと思う。

なので、ウィーン VS ベルリンは、後者に特に破綻がなかったと言う点でややリードしていたか、という気がした…という程度の差だ。

ベルリンの弦も、やはり高域ではキンキンと聴きづらい音を出していた。

そんな訳で、この10日間で、世界のベスト1と2(と呼ばれているのが不思議!)を大枚を払って聴いたが、両オケに97K円も支払うなら、日本のオケ、特に最近の日フィル、うまくいった時のN響や読響をみなとみらいか、ミューザで聴いた方がずっといい(サントリーでは保証の限りではないけど。)。

ま、3年に一度でいいな。

♪2025-153/♪みなとみらいホール-33

2025年11月18日火曜日

新国立劇場オペラ「ヴォツェック」

2025-11-18 @新国立劇場



【指揮】大野和士
【合唱】新国立劇場合唱団
【児童合唱】TOKYO FM 少年合唱団
【管弦楽】東京都交響楽団
【演出】リチャード・ジョーンズ
【美術・衣裳】アントニー・マクドナルド
【照 明】ルーシー・カーター
【ムーヴメント・ディレクター】ルーシー・バージ
【舞台監督】髙橋尚史


【ヴォツェック】トーマス・ヨハネス・マイヤー
【鼓手長】ジョン・ダザック*
【アンドレス】伊藤達人
【大尉】アーノルド・ベズイエン
【医者】妻屋秀和
【第一の徒弟職人】大塚博章
【第二の徒弟職人】萩原潤
【白痴】青地英幸
【マリー】ジェニファー・デイヴィス*
【マルグレート】郷家暁子
 *は初顔

アルバン・ベルク:「ヴォツェック」
全3幕〈ドイツ語上演/日本語及び英語字幕付〉

予定上演時間:約1時間40分(途中休憩なし)



本舞台は初めて。
放映録画では23年のエクサン・プロバンス音楽祭や20年のMETを見ているが、どれも面白かったとは言えないが、今作が一番入り込めなかった。

精神に問題を抱えるに至った人間による殺人劇そのものが衝撃的ではあるが、その必然性が理解できないし、音楽はほとんど無調なので、意表を突く大音量などを別にすれば、何か人間の情感を表現しているとは思えない。

それで、どうしても舞台美術によって、理解しようと試みるのだが、あまりに具体的なセットなので、物語や音楽の抽象性と全然ピッタリこなくて、大いなる違和感のまま終始した。

無調だの調性拡張だの12音だのがそもそも好きじゃないけど、劇伴としての存在意義に疑いは持っていない。時に、調性などない方がピッタリくる芝居もある。

でも、今回は、新国としては僅かに3回目の公演なのになぜ、演出を変え新制作なのかも疑問だった。前演出を練っていったも良かったのでは?

ビデオを含め3種類の演出・舞台美術の中ではMETが一番、それらしい雰囲気を表していたと思うな。

♪2025-152/♪新国立劇場-16

2025年11月16日日曜日

NISSAY OPERA 2025 オペラ『サンドリヨン』

2025-11-16 @日生劇場



指揮:柴田真郁
読売日本交響楽団
演出/振付:広崎うらん
美術:松生紘子
衣裳:武田久美子
照明:中川隆一
合唱指揮:安部克彦

サンドリヨン(リュセット):金子紗弓*
シャルマン王子:山下裕賀
妖精:横山和美
ド・ラ・アルティエール夫人:星由佳子
パンドルフ:河野鉄平
ノエミ:別府美沙子*
ドロテ:北薗彩佳*
 *は初顔


J・マスネ『サンドリヨン』

原作:シャルル・ペロー「シンデレラ」
台本:アンリ・カーン
作曲:ジュール・マスネ

全4幕 原語:フランス語上演 日本語字幕付(新制作)

予定上演時間:2時間50分
第Ⅰ-Ⅱ幕幕…75分
 休憩 20分
第Ⅲ-Ⅳ幕 75分



先月、新国でバレエ「シンデレラ」を観て、今日は日生でオペラ「サンドリヨン」だ。ついでに「チェネレントラ」も上演されたら観にゆきたいな。

生舞台は初めてで、放送・ビデオでは18年のMETのディスクを持っているが、ここではJ・ディドナートがサンドリヨンを、アリス・クートが王子を歌っている。
2人とも声種はメゾだ。

マスネは、王子は最初からズボン役のメゾを想定したが、サンドリヨンはリリック・ソプラノを想定したらしいが、実演ではディドナートのように、メゾが歌うことも少なくないそうだ。

当然、2人のデュエットもあるが、メゾ同士より、リリック・ソプラノとメゾの方が面白いと思うよ。

今日のプログラムに歌手の声種が書いてなかったので、サンドリヨンを歌った金子紗弓を聴いたら、こりゃソプラノだろうと思って聴いていた。

念の為に劇場を出る時に、制作担当に金子の声種は何かと聞いたら、ソプラノです!と自信たっぷりに言う。
まあ、そうだろうな、と思って安心して帰宅…後、NETで調べたら、なんと、彼女もメゾだったよ。

まあ、メゾとソプラノって相互乗り入れみたいな声質だから、人によっては演目で歌い分けている人もいよ。

それにしても、なんでメゾ同士のペアにしたのだろうか?


肝心の内容。
まあ面白かった。METのディスクを観ているので比較はできないけど、最近流行りのプロジェクターマッピングの活用で、舞台装置や美術も検討。衣装も手抜きせずに豪華に仕上がっていた。かぼちゃの馬車がもう少しリッチにして欲しかったな。

耳馴染みのアリアもないが、抵抗なくスルスルと入ってくる音楽で楽しめたよ。


2025-151/♪日生劇場-02

2025年11月10日月曜日

ウィーン・フィルハーモニー ウィーク イン ジャパン2025

2025-11-10 @みなとみらいホール



クリスティアン・ティーレマン:指揮
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

シューマン:交響曲第3番変ホ長調 作品97「ライン」
ブラームス:交響曲第4番ホ短調 作品98
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J.シュトラウスⅡ:美しく青きドナウ



首都圏最高のみなとみらいホールの最良席で大好きなシューマン3とブラームス4を聴いた。

ラインのテンポ遅い。
あれではヘミオラの効果少ない。
ブラームス4は満足。

管に妙技あるも弦(特にVn1)がイマイチ。

こんな程度じゃ最近の日フィル4回聴く方が良い。



♪2025-148/♪みなとみらいホール-31

2025年10月9日木曜日

新国立劇場オペラ「ラ・ボエーム」

2025-10-09 @新国立劇場



指揮:パオロ・オルミ
演出:粟國淳
美術:パスクアーレ・グロッシ
衣裳:アレッサンドロ・チャンマルーギ
照明:笠原俊幸
舞台監督:髙橋尚史

【合唱】新国立劇場合唱団
【児童合唱】世田谷ジュニア合唱団
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

【ミミ】マリーナ・コスタ=ジャクソン
【ロドルフォ】ルチアーノ・ガンチ
【マルチェッロ】マッシモ・カヴァレッティ
【ムゼッタ】伊藤晴
【ショナール】駒田敏章
【コッリーネ】アンドレア・ペレグリーニ
【ベノア】志村文彦
【アルチンドロ】晴雅彦
【パルピニョール】髙畠伸吾

ジャコモ・プッチーニ:「ラ・ボエーム」
全4幕〈イタリア語上演/日本語及び英語字幕付〉

予定上演時間:約2時間50分
 第1幕・第2幕     65分
  休憩       25分
 第3幕     30分
  休憩       20分
 第4幕       30分




粟國版「ラボM」は何度も観ているが、無理のない演出で、安心して観ておれる。
強いて言えば、3幕の紗幕は意味がないけど、強い違和感はない。

歌唱陣は全員良い出来だ。
ミミ役のマリーナ・コスタ=ジャクソンが、えらく派手な容貌で、従来のミミのイメージとはだいぶ異なるので、感情移入が難しかったが、ともかく、歌は良かった。


ロドルフォのルチアーノ・ガンチ(23年シモン・ボ〜)を筆頭に、マルチェッロのマッシモ・カヴァレッティもコッリーネのアンドレア・ペレグリーニもみんな素晴らしい。
招聘外人歌手の出来がこんなに揃って良かったのはホンに珍しい。

日本人歌手も大健闘。
ムゼッタの伊藤晴は素晴らしい。

また、東フィルが冴えていたよ。
もう、ピットの存在を忘れるくらいにオペラと渾然一体。

余談だが、マリーナ・C=Jって、新国立劇場には初登場と書いてあったが、どうも聞き覚えが…。

調べたら18年の新国「カルメン」でタイトルロールを歌ったジンジャー・C=Jの妹なんだ。一番下のミリアム・C=Jもオペラ歌手らしい。

♪2025-134/♪新国立劇場-14

2025年10月3日金曜日

クァルテット風雅 山崎伸子プロデュース 輝く若手演奏家による「未来に繋ぐ室内楽」Vol.9

2025-10-03 @フィリアホール



クァルテット風雅
 落合真子:第1バイオリン
 小西健太郎:第2バイオリン
 川邉宗一郎:ビオラ
 松谷壮一郎:チェロ
山崎伸子:チェロ(特別出演)*


ベートーべン:弦楽四重奏曲第2番ト長調 Op.18-2
シューマン:弦楽四重奏曲第1番イ短調 Op.41-1
オンスロウ:弦楽五重奏曲第15番ハ短調 Op.38「弾丸」*
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ベートーベン:弦楽四重奏曲第6番から第3楽章





山崎伸子が主導するシリーズ9回目。
前半は若手カルテットによる王道の2曲。

後半は、いつも(だと思う)のように山崎センセイが加わって五重奏なのだけど、コの選曲がなかなか難しい。チェロ2本の5重奏曲はビオラ2本ほど多くはないし、よく演奏されるのが決まっているからなかなか選曲が難しいのかも。

それで、今日はオンスロウという作曲家(1784-1853)の作品で、作曲家の名前も初聴き、音楽も当然初聴きだった。

ベートーべンが1770-1827、シューマンが1810-1856なのでベートーべンより14歳若く、シューマンより26歳年上だ。

音楽は、基本的にはその時代の作品なんだけど、この曲(タイトルが「弾丸」という!)に関しては実に風変わりだ。

自分自身が狩猟中に中で頭を撃ったそうで、その時の痛み(第1楽章)、発熱と錯乱(第2楽章)、回復期(第3楽章)、治癒(第4楽章)を表現している。
そう言われればそうかもという感じだが、調性音楽としては、こんな劇的な内容を表現するには物足りないなと感じたよ。..



♪2025-132/♪フィリアホール-07