2024年6月12日水曜日

横浜交響楽団 第732回定期演奏会 【アンサンブルの楽しみ】

2024-06-12 @県立音楽堂



平野桂子:指揮
横浜交響楽団

コープランド:市民のためのファンファーレ
R.シュトラウス:13管楽器のための組曲
レスピーギ:リュートのための古風な舞曲とアリア 第3組曲
 Ⅰイタリアーナ
 Ⅱ宮廷のアリア
 Ⅲシチリアーナ
 Ⅳパッサカリア
ベートーべン:交響曲第7番イ長調 Op.92
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シベリウス:アンダンテ・フェスティーヴォ




平野桂子さんの指揮で聴くのは2回目。美形だし説明が上手なので楽しみにしていたが、今日は楽曲説明が2曲終わってからという変則だった。

そもそもプログラムが変わっている。

①金管11+打3 によるファンファーレ
②金管(Hrのみ)4+木管9 による組曲
③弦楽合奏
までが前半。
後半がベートーベン7番で、ようやく管打弦が揃った。

アンコールが
打(Tymp)+弦楽

これなら、いっそベト7やめて、ショスタコのピアノ協奏曲第1番(しか思いつかないが。独奏ピアノ+トランペット1+弦5部)のような変則編成のものばかり組み合わせたら面白かったのにな。

①はずいぶん久しぶり。
②は初聴き、だった。
この2本の出来はアマチュアらしい?仕上がりだったが、驚いたのは③で、一番ボロが出てしまうのではないかと思った弦楽合奏が、何ときれいなこと。特にビオラは終始高水準を保った。バイオリン群も一部高域に乱れがあったが、横響の弦がかくも上出来だったのは初めて…と言えば失礼かもしれないが、いつもこのレベルで聴きたいよ。

メインのベト7は、それまでに各部の直前リハを済ませてからの合奏なので?前半はとても良かった。3-4楽章のリズミカルな楽章はどうだったか。技術的にも合わせるのが難しいのかな、と思いながら聴いたよ。

♪2024-082/♪県立音楽堂-05

神奈川フィル”ブランチ”ハーモニーin かなっく 〜 木管五重奏 〜

2024-06-12 @かなっくホール



フルート:江川説子
オーボエ:古山真里江
クラリネット:安藤友香理
ファゴット:鈴木一成
ホルン:戸田大貴
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榊原徹(司会/神奈川フィルハーモニー管弦楽団音楽主幹)

ビゼー(ワルター編曲):「カルメン」組曲から“トレアドール”
◆トーク/楽器紹介◆
山の音楽家じゅんばん協奏曲
アメリカ民謡:わらの中の七面鳥
映画マイ・フェア・レディから「踊り明かそう」
久石譲(大森洋一編):スタジオ・ジブリ・メドレー
S.ジョップリン:ジ・エンターティナー
美空ひばりメドレー
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ファルカシュ:17世紀の古いハンガリー部曲集から最終楽章



今日は、ホルンは首席の坂東ちゃんが予定されていたが、体調不良で交代した。しかし、今日の戸田くんというのもなかなか上手だった。
木管はいつも弦の後ろに並んでいて、1階席からは見えにくいので、今日のメンバーではフルートの江川さん、オーボエの古山さんしか名前と顔は一致しなかった。

みんな上手で、気楽な音楽を楽しんだが、1曲くらい”固い”のがあっても良かったな。

余談:このシリーズで《金管》五重奏も何度か聴いているが、ここでもホルンは欠かせない。というか、本来入るべき楽器だが、《木管》五重奏にもホルンは当然のように入っている。歴史的にもそういう編成の作品が書かれているからだろう。バスクラとかバリトンサックスでもよいのではないかと思うが、そういう編成は聴いたことがない。

♪2024-081/♪かなっくホール-02

2024年6月8日土曜日

NHK交響楽団2013回A定期 06月公演

2024-06-08 @NHKホール



原田慶太楼:指揮
NHK交響楽団
反田恭平:ピアノ*

スクリャービン:夢想 作品24
スクリャービン:ピアノ協奏曲嬰ヘ短調 作品20*
スクリャービン:交響曲第2番ハ短調 作品29
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グリーグ:抒情小曲集から「トロルハウゲンの婚礼の日」*




プログラムは全部スクリャービン。
好きじゃないよ。
もう、あまり長生きもできないから、何人かの作曲家は聴かずともいいと思っている、その1人だ。

おまけに日フィルに続いてハシゴしたので、結構疲れていた。

しかし、「夢想」は寝る間もない短さで、これはちゃんと聴いた。ま、悪くない。

Pf協奏曲は18年にN響で聴いたが、全く覚えていなかった。ピアノが当然のように忙しく活躍する。第2楽章の頭を別にすればずっと弾きっぱなし。それもかなり元気の良い音楽で、反田君がエネルギッシュに弾いたので、ここでも寝る間もなかった。
毛嫌いせずに聴くと案外楽しめるのかな、と思いを新たにして前半が終わった。

しかし、後半の交響曲第2番。これは完全に初聴き。
う〜む。よく分からないままに終わってしまったな。

スクリャービンの交響曲では3番と4番は2-3回聴いたことがあって、いずれも調性のある案外聴きやすい音楽だったと記憶しているが、今日の2番はダメだ。全然乗っていけなかった。

1-2楽章と4-5楽章は続けて演奏されるそうだが、そのせいもあって、途中で迷子になってしまった。

体調が良ければ、案外着いてゆけたかもしれないのだけど。

♪2024-080/♪NHKホール-05

日本フィルハーモニー交響楽団 第761回東京定期演奏会

2024-06-08 @サントリーホール



大植英次:指揮
日本フィルハーモニー交響楽団
信末碩才:ホルン(首席奏者)

ベルク:管弦楽のための3つの小品 op.6
(リーア編曲:室内アンサンブル版)
R.シュトラウス:ホルン協奏曲第2番変ホ長調 TrV283
ドボルザーク:交響曲第7番ニ短調 op.70 B.141



ベルクは初聴きかと思ったら、19年に東響で聴いていたよ。でも全く覚えていない。尤も、その時は管弦楽版で、今日の室内アンサンブル版ではなかった。この版では日本初演だそうだから当然聴いてはいない。

しかし、なんでこういう編曲をしたのだろう。
弦5部は各部2人ずつ(計10人)だが、管打鍵の多いこと。奏者の数だけで23人だ。各自はいろんな楽器を持ち替えるので楽器の編成としてはさらに大きい。ティンパニーは2組。大小太鼓、銅鑼にハンマーまであった。ピアノにチェレスタ、マリンバ、シロフォン等々。

こんな大編成にしては弦が非力すぎる。そこが狙いなのだろうが、そもそも馴染みにくい音楽ということもあって、全然楽しめず。

その他は聴き慣れた音楽だけど、振替席で2階LBだったので、落ち着いて聴くことができなかった。見える景色が違うと聴き方に戸惑ってしまう。
大植ちゃんは好きな指揮者だけど、ドヤ顔するほどコントロールしていたようには見えなかった。
秋山御大の代役だし、やむを得なかったかな。


普段は1Fのど真ん中辺りで聴いている。

今日は、家のステレオでわざわざ左スピーカーの前で聴くようなもので、落ち着かなくて困った。
ただ、心配したほど違和感はなく、視覚が補ってくれるので各楽器の音がそれぞれの位置から聴こえてくるような気がする(そんなはずはないけど。)。

普段なら、下手高域弦の鳴り方や管と弦の混ざり具合などが気になるのだけど、2階のLBではもう混ざって出来上がった音として聴こえてくるので、これでもいいか、という気になる。いや、よくはないのだけど。今日はやむを得ない。

♪2024-079/♪サントリーホール-12

2024年6月4日火曜日

東京都交響楽団 第1000回 定期演奏会Bシリーズ

2024-06-04 @サントリーホール



エリアフ・インバル:指揮
東京都交響楽団

【定期演奏会1000回記念シリーズ⑤】
【ブルックナー生誕200年記念】
ブルックナー:交響曲第9番ニ短調 WAB109
(2021-22年SPCM版第4楽章付き)[日本初演]



都響の定期1000回記念シリーズの真骨頂、今日が本当の1000回目。という訳で大作が選ばれたのだろう(N響2000回に比べるとちとお粗末だけど。)。

ブルックナーの9番は珍しくない(全10作中一番聴いた回数が多い!)が、未完成の本作の演奏に当たっては、完成された3楽章までを演奏するものがほとんどで、稀に作曲家本人が指示したという自作の「テ・デウム」を続けて演奏したものも聴いたことがある。

今日は、4人(そのイニシャルがSPCM)が補筆して完成したという第4楽章も続けて演奏された(日本初演)。
これがプログラム上23分と予定されており、本編1-3楽章と合わせて約83分という長尺となった。

1000回記念ということで力が入っていたのか、今日も当然のように弦16型の大編成だったが、冒頭の響がとても美しい。いや初めだけでなく、最後までアンサンブルの良さは崩れなかった。
大編成の都響がサントリーで演奏しているとは思えないほど聴き応えのあるアンサンブルだった。

ほぼ全編大袈裟で刺激的で賑やかで長い、というのは困ったものだけど。

今年88歳のインバルの矍鑠としていること!
今日の上出来はこの人の牽引力だったのかな。

♪2024-078/♪サントリーホール-11

新国立劇場オペラ「コジ・ファン・トゥッテ」

2024-06-04 @新国立劇場



【指揮】飯森範親
【演出】ダミアーノ・ミキエレット
【美術/衣裳】パオロ・ファンティン
【照明】アレッサンドロ・カルレッティ
【合唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

フィオルディリージ⇒セレーナ・ガンベローニ
ドラベッラ⇒ダニエラ・ピーニ
デスピーナ⇒九嶋香奈枝
フェルランド⇒ホエル・プリエト
グリエルモ⇒大西宇宙
ドン・アルフォンソ⇒フィリッポ・モラーチェ

ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト:
歌劇「コジ・ファン・トゥッテ」
全2幕〈イタリア語上演/日本語及び英語字幕付〉

予定上演時間:約3時間30分
第Ⅰ幕
 90分
 --休憩30分--
第Ⅱ幕
 90分




「コジ〜」を初めて観たのは40年以上前。それが初めての日生劇場オペラだった。つまらなかった。
以後、何度も観ているしビデオも数種類あるが、ほぼすべて話に腑に落ちない。どんなに演出に工夫をしても台本を変えられない以上、話が腑に落ちるはずがない。

とはいえ、実は、過去に観た中で一番腑に落ちそうなのが新国立劇場の2011年以降今回に至る演出だ。2013年から観たのだけど、11年も前の舞台を細部まで覚えていないけど基本的に同じに再現されていたと思う。

D.ミキエレットの演出だけは、やや腑に落ちるというのは、結末が、そりゃそうでしょう、そうでなくちゃ、という気にさせるから。
つまり、圧倒的多数の演出が、最後強引にめでたしめでたしで終わらせるのに対して、この演出では、4人の男女が気持ちを収めることができずバラバラに舞台をさってゆくのだ。
同じ台本を使いながらよくまあ、こんな始末の付け方が不自然さもなくできたものだと感心するが、人間ドラマとしては当然だ。

設定は、本来の18世紀のナポリから現代のキャンプ場に変更された。
それで大きな破綻はなかったものの、なぜわざわざ設定を変える必要があったかは見えてこなかった。

今回は、歌手陣が良かった。
特に大西くんと九嶋ちゃんの大健闘が素晴らしい。海外勢以上の魅力・迫力だ。
13年の公演では姉妹2人が傑出していたと記憶しているが、今回はちょっと地味だったな。

おかげで、久しぶりにモーツァルトの才能をとことん味わった気がする。なんて素晴らしいオペラだ。

しかし、演出には工夫が必要。
今後も万事めでたしなんてやっていたら、いずれ女権拡張活動家に上演禁止を求められると思うよ。

♪2024-077/♪新国立劇場-08

2024年5月30日木曜日

東京都交響楽団 第999回 定期演奏会Aシリーズ(井上道義:都響最後の演奏会)

2024-05-30 @東京文化会館



井上道義:指揮
東京都交響楽団

ベートーべン:交響曲第6番ヘ長調 op.68「田園」
ショスタコーヴィチ:交響曲第6番ロ短調 op.54




ミッキーが都響を振る最後のコンサートだった。
ベト・タコ6番で有終の美を飾ったのは何故か分からない。

田園についてはミッキーらしい仕掛けもあって大いに楽しめた。
開演前に、田園については演出上客電を暗くするという注意があった。すると4楽章では客席と舞台にレーザー光線で雷鳴を光らせるのか、と思ったが、何にもなくて、何で暗くしたのか分からない。むしろ暗い客席との因果関係は分からないが楽章間の咳払いの賑やかなのには驚いた。

驚いたと言えば、第3楽章に入る時、上手の袖から管打の6人が入場し、何か変わったことでもやるのかと思ったら、普通に演奏をした。何だよ、この演出。
要するに、3楽章からしか出番のない6人が、途中入場しただけだよ。どういう意味があったのか分からない。
でも、Tp2、Tb2、Pic、Tympは3楽章まで出番がない。
Tbについては4楽章まで出番がない、ということがよく分かった。それは、まあ、勉強になったかな。

意表を突き、かつ、効果的だったのは、弦の編成を極小にしたことだ。「運命」でも16型でやる都響が、ミッキー版「田園」では8型なのだ(8-6-4-4-2)。まるで室内アンサンブルのような弦の響は、透明感があり、シャキシャキと明瞭で、あゝこういう「田園」を聴きたかった!と思い起こさせて、実に好感を持った。

もちろん、8型で前半6番をやったなら、当然後半の6番は16型で驚かすのだろうと思ったが、果たしてそのとおりだった。

過去数回しか聴いたことがないタコ6番(直近では18年秋の都響)。ほぼ初聴きに等しい。30分強のコンパクトな作品だし、それなりに楽しめたけど、先日のN響ニールセン2番を思い出して、ニールセンの方がずっと楽しめたと思った。第一、演奏力がだいぶ違った。
いつも思うが、16型にすればリスクも増える。前半のざわざわとまとまりの悪いアンサンブルは田園の透明感に比べたら話にならない。ただ、後半は大編成が生きてきて、終わりよければすべてよし。

カーテンコールはサービス精神旺盛なミッキーショウで大いに盛り上がった。

♪2024-076/♪東京文化会館-05